「わーい、遊びに来てくれたんだね。初音ね、楽しみにして待ってたんだよ。 初音の部屋にようこそ」 初音ちゃんはそう言って笑顔で俺を迎えてくれた。 俺、耕一は2月の頭から、ここ隆山温泉にヤボ用で来ていてまたここ柏木家に やっかいになっている。 朝、初音ちゃんに「学校から帰ってきたら私の部屋に来て」って言われていた ので俺は初音ちゃんの部屋へ来た、って訳だ。 なんで呼ばれたか。まあ、理由は分かっているけどね。 部屋にはいった俺は、初音ちゃんの部屋を見渡した。相変わらず女の子らしい かわいらしい部屋だなぁ。 「…どこ見てるの?」 初音ちゃんが寂しそうな目で見つめてきた。 「ん?ああ、悪い、悪い。初音ちゃんの部屋に入るのってなんか久しぶりだな あ、って思ってさ。つい部屋の中を…な」 改めて初音ちゃんの部屋を見渡す。ぬいぐるみの数が増えてるようだ。ん?何 だ、あのデカいぬいぐるみは?この前は無かったような…。 「初音ちゃん、そのぬいぐるみは…?」 俺は丸っこい奇妙な動物のぬいぐるみを指さして初音ちゃんに聞いた。 「ペンギンさんの、うっちー君だよ。かわいい?」 そういって、初音ちゃんは1/1○カチュウよりさらにふた周りは大きそうな 「うっちー君」を抱きかかえた。 ペ、ペンギン?たしかにカラーリングはペンギンっぽいけど…。 「…かわいく、ない…?」 「い、いや、かわいいよ、すっごく」 …初音ちゃんの方が、と聞こえないように続けた。 ・ ・ ・ 「そう言えば初音ちゃん。何か俺に用があったんじゃない?」 分かってて聞く俺。今日は全国的に2月14日、とくれば…。 「うん。はいお兄ちゃん、チョコレート」 そう言って初音ちゃんはリボン付きの包みを出した。質素だけど、初音ちゃん らしい包装だ。 俺は早速開けて初音ちゃんと一緒に食べることにした。開けるまでてっきり店 で買ってきたチョコだとばかり思っていたが、初音ちゃんの手作りチョコだっ た。一つ手にとって、食べてみると、 「うまい!」 思わず声を出すほどのおいしさだ。 昼前に、千鶴さんから貰った「チョコレートのような物体」を食べたせいもあ るかも知れないがお世辞抜きにおいしいぞ、これ。 「本当?本当に、おいしい?」 「ああ、とてもうまいよ。やるじゃん、初音ちゃん」 「えへへ…。実はね、梓お姉ちゃんと楓お姉ちゃんと一緒に作ったんだよ」 ぺろっと舌を出す。案の定、千鶴さんは制作メンバーから除外されていたよう だ。 「そうなんだ?…ってことは今年のチョコは3人とも同じ味なのかな?」 「うん、そうだよ」 「ふーん。でも、俺は初音ちゃんのが一番おいしそうだな」 「え?」 「だって、初音ちゃんが俺のために作ってくれたんだろ…」 「あ…」かぁぁぁっと赤くなる初音ちゃん。 そのまま俺は初音ちゃんにキスをした。 ・ ・ ・ 「じゃ俺、自分の部屋に帰るから」かなり長居していたようだったので、俺は 自分の部屋に帰ろうとした。 が、 「えー、もう帰っちゃうのぉ」 初音ちゃんが寂しそうな目で見つめてきた。俺はその目に弱いんだよぉぉぉ。 「も、もう少し遊んでてもいいかな?」 「わーい、もっと遊んでくれるんだね。お兄ちゃん、だーい好き!」 ぱぁぁぁっと笑顔に変わる初音ちゃん。そのまま俺に抱きついてきた。 「はっはっはっ。初音ちゃんはかわいいなぁ」 この娘の笑顔は天使の微笑みだよなぁ、そう思いながら俺は初音ちゃんの頭を なでなでするのだった。 <Fin> ---------------------------------------------------------------------- どうも、「いつも心に美優里ちゃん」のUMAです。 今回のバレンタインな時事ネタは「アイドル雀士スーチーパイ2」より、ミユ リの部屋です。ゲーム本編ではなくおまけディスクをネタにするのがミソ。 このミユリの部屋は、美優里ちゃんの着せ替えが楽しめるほか、「しばらく放 っておく」「何度も帰るマネをする」という「高度な」遊び方も用意されてい て…堕ちます(笑) #取説に「史上最強の回想モード」と銘打たれてるしぃ クリスマスん時は「真昇竜拳を撃つあかり」なんて希有なものを書いたけど、 今回は特に暴走キャラはいません。ヤンキー初音ちゃんの出番は今回は無しで した。 ぢゃ、そういうこって。