やくそく 投稿者:TURBO 投稿日:3月19日(日)22時57分
儂がまだ坊主だった頃、一人の変わった友人がいた。

彼は、何気ない会話の中で、未来から来たといった。

それが事実かを確かめるすべはない。

だが、儂と彼とは、短い間ではあったが確かに友情で結ばれていた。


彼は残り少ない命を精一杯生きていた。

そしてついに

彼は力尽きて眠りに就いた。

儂には彼を助けることが出来なかった。

それが何であったのかを知ることすら出来なかった。

儂はそれがとても口惜しかった。

今でもそれを、はっきりと憶えている。




何故僕が『こころ』を備えたロボットを作ることになってしまったのか。

幼き頃見た、いや、たった一日だけ『出会った』ほんもののロボット。

ひとと同じように話し、笑い、泣き、あまつさえ空すら駆ける。

余りの荒唐無稽さに、あれは夢だったのだと。

何度そう思ったかも忘れてしまった。

そう。決して夢などではない。




大旦那様が、そして私が友と呼ぶ友人は、今もこの屋敷の奥で眠りに就いている。

幾多の生命維持装置に繋がれつつ、生きる事も死する事も出来ぬ君を不憫に思わぬ事もない。

だが私達は君が死する事を望まない。

そう、少なくとも未だ貴様が朽ち果てるその時でない事を私達は知っている。

いつか貴様が目覚めるその日に至るまで、せめて安らかなる眠りの日々を。




君に紹介したい娘がいるんだ。

実はね。

僕たちの大事な大事な可愛い娘なんだけど。

まだ生まれたてのこどもだけれど、君も気に入ってくれると嬉しいんだけどな。

そして、君や彼女たちの未来が祝福に満ちたらん事を。




きょうおとうさまにおにいさまのところへつれていってもらいました。

おとうさまが「おにいさんだよ」としょうかいしてくれたひとはなんだかしんでるみたいでした。

おとうさまは「このひとはおにいさんだけどおまえのおとうとでもあるんだよ」といっていました。

わたしにはなんのことかよくわかりませんでした。




僕たちは

いつかきみに会えることを信じている。

もう一度きみに出会える事を信じている。

そのためにも、僕たちはきみが生きてきた未来をつくる。

僕たちはきみが再び生まれてくるときに決して寂しい思いなんてさせない。

だから。いつか来る未来でまた逢おう。

我らが友よ。

   <了>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 来須川爺、主任、セバス、主任、マルチ、主任の独白です。

 はじめまして。どうやらLeafの掲示板を見ていたらマルチの誕生日だそうで。
 だもんで2年以上HDDにホカしてあった駄文を思い出し、誤字を直して投稿してみ
ました。う〜ん。我ながら独りよがりぢゃ。

 多分、文章だけ読んでも何のことか判らないと思うので、ちょっちだけ。
 事実上の原典は「アトム今昔物語」でして。これがどんな話かというと。
 二次大戦直後の日本にタイムスリップし、エネルギーの残量に悩むアトムを狂言回
しとして、戦後〜21世紀初頭を描いた作品です。結局、力尽きてしまうのですが…。
 この時代ってのは、セバスがブイブイ云わせていた時代ですから、そこに絡めてみ
たって処です。後は。。。忘れました(汁

PS
 長瀬も天馬も馬面だから、きっと身内にちまいないって事で書いたらしいです。
 #手塚氏も兵庫に縁深い方ですしネ。