君の中にいる AHI Ver  投稿者:ran_3


・・・ゴトン・・ゴトン・・・・・・

目の前で列車が動き出そうとしている。

俺はそっと目を開けた。

列車の中には、昨日まで共に戦っていた仲間の姿が見え・・・ない!?

それどころか、なんで俺が列車の中に?

「・・・アレ?」

見送りに来ていたはずの俺は、誰に言うのでもなくポツリとそんな言葉が出た。

そんな俺の気持ちに気づいたのか、側にいた楓ちゃんが『にっこり』笑って、

「きゃーんっ!! 耕ちゃんのあんぐりした顔もかーわいーんっ!!」

その言葉は俺をいっそうげんなりとさせる。

俺は苦笑いしながら

「・・・みんなは・・・どこいっちゃたの・か・・な・・・」

そう言いながら、目をプラットホームの方へスライドさせる。

「・・・っ!?」

「あーんっ。今日もおひさまべりーらいとにーんぐっ!!」

「・・・・・」

「きっと二人にやいちゃってるんだー」

「・・・・・・・・・」

「もーはずかしーっ!!きゃーん 」( ほんとに恥ずかしい )

「・・・・・・・・・・・」


	・・・・・・・・・・・・・・


・・・発車前のプラットホーム

今回の戦いの中心にいた3人が向かい合っている。

祐介、浩之、そして俺。

そんな中、俺が今回起きた戦いの事を考えていると、『ピンポーン』と言う音がした。

( ピンポンパOツ ってのもあったな )

『まもなく発車致しますのでご乗車の方はお急ぎください』

そんなアナウンスが流れる。

「それじゃ、皆さんお元気で」

「祐介もな、おっと、ついでに浩之もな」

「耕一さん、なんですかそれ」

「すまん」

「けど、おまえならいつでも元気だろうと思ったんだよ」

「だろうね」

「祐介までそんなことを、俺泣いちゃうぜ?」

「泣くのはいいが俺は気にしないぜ」

「ひでぇ」

その言葉に俺と祐介は笑った。

「キャハハハハハッ」

彼女も笑った・・・

「そ、それじゃ祐介、浩之、元気でな( いそげっ、二人とも!! )」

「こ、耕一さん?」

「今の、え、えと・・・」

笑って( 無理に )言った祐介の言葉に続けてまぬけな顔で浩之がつぶやく。

「あ、あの・・・耕一さん? 今の・・・って・・・・え?」

浩之の言葉通り、いろいろある。いろいろあるのだが、ここでそれを説明する

わけにはいかない。

それを聞いて祐介も、まぬけな顔になり、それ以上何も話せない。

( たのむから二人とも、そんな面白い顔しないでくれ。)

実際俺達は、数々の『普通の人生では経験しないであろう出来事』に遭遇した。

さらに、こいつらに見られてはいけない、見せてはならない彼女が

俺の隣まで来ている。

体験の大きさが言葉になって出る。

「・・・なんでこんな時に・・・」

俺はさらに続ける。

「そ、そろそろ時間だろ!? はやく乗ったほうが な?な?」

( どんな顔で言っているのだろうか )

「ほ、ほら。中でみんな待ってんだろ」

( さっさと乗れっ! 乗ってくれっ!! )

そこまで言うと、二人同時に言った。

「・・・そうですね」

「・・・そうだよな」

( そうだともっ!!! )

浩之は( たぶん落ち着こうと )腕時計を見て、時計が・・・無いことを知り

「へ?」

「キャハッ。この時計かわいーんっ!! あー でもー 音がいまいちーみたいなー。

もっとこう 『スクチャカ スクチャカ』って感じーのがいいなーてゆうかー

そっちがいいよねー耕ちゃんっ!」

マラカスをふるみたいな格好で、楓ちゃんはウィンクをくれた。

「2人とも、また来いよ!」

俺がそう叫ぶと、2人とも走りながら腕を上に突き上げた。

「!」

楓ちゃんも走ったっ!?

腹にも強い衝撃が走る。

俺の視界はフェードアウトしていく。

耳には何か鈍い音、切り裂くような鋭い音。

何だろう・・・でも、手には引きちぎられそうなほどの痛みと、

安らげる暖かみが伝わってきた・・・


	・・・そして誰もいなくなった・・・


「こーおーちゃんっ」

ふいに名前を呼ばれる。

後ろを振り向くと楓ちゃんがいた。

「・・・楓ちゃん」

俺がそう言うと楓ちゃんは何も言わず(でもにこにこと)、さっと俺の隣に来た。

俺は少し戸惑いながらも、何も言わず列車の外の方に視線を返す。

「・・・・・・」

「・・・・・・」( にこにこ )

そうして俺達は、俺達を乗せた列車が出発するのをただじっと待っていた・・・


	・・・・・・・・・・・・・・


「・・・座ろうか」

完全にホームが見えなくなるのを見届けてから、俺達は座席に並んだ。

駅を出て少し走った頃、隣で(やっぱりにこにこと )楓ちゃんが俺を呼ぶ。

「・・・こうちゃん・・・」

「どうしたの?楓ちゃん?」

いきなり呼ばれて俺は思わず聞き返す。

「・・・すー・・・」

そう言ってから楓ちゃんは頭を俺の肩にもたれた。

彼女は何を言いたいのだろう。

何気なしか顔が赤い。

俺は答えを促すように聞き返す。

「ど、どうかし・・・」

俺がそう聞きなおそうと思ったが、楓ちゃんは安心したような顔で目を閉じていた。

( たぶん )鬼の力と、普段使わない力( これは不可抗力だけど )を

フル回転させたのだから、つかれるのは当然だ。

「こうゆうのも、いいかな。」

とだけ言って、俺は楓ちゃんの頭にそっと手をそえた。

思わず顔がほころぶ。

夏の日差しが傾きはじめ、空が赤く染まりはじめる。

そして、窓の外にへばりついている千鶴さんの目も、紅くそまっていた。

( 今日の夕日は、特にきれいだな )

								<死滅>

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ぴこーん ぴこーん 

・・・・・ 言い訳速報 ・・・・・

お、俺は悪くないぞ・・・悪いのはあいつらだ・・・

知らん・・・俺は・・俺はしらんぞ・・・知らんからな・・

				以上 作者からのエールでした


	

CM

	読み終わったら消すのがお勧めです。
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はいっ!乱 蘭々です

こちらのほうは、友人のAHIさんが書いてくれました。

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