君の側にいる  投稿者:ran_3


・・・ゴトン・・ゴトン・・・・・・

目の前で列車が動き出そうとしている。

列車の中には、昨日まで共に戦っていた仲間の姿が見えた。

「・・・行ってしまうな」

見送りに来ていた俺は、誰に言うのでもなくポツリとそんな言葉が出た。

そんな俺の気持ちに気づいたのか、側にいた楓ちゃんがささやく。

「・・・そうですね・・・」

その言葉は俺をいっそうしんみりとさせる。

俺は苦笑いしながら

「・・・さみしくなるな・・・にぎやかなあいつらがいなくなると・・・」

「・・・そうですね・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


	・・・・・・・・・・・・・・


・・・発車前のプラットホーム

今回の戦いの中心にいた3人が向かい合っている。

祐介、浩之、そして俺。

そんな中、俺が今回起きた戦いの事を考えていると、『ピンポーン』と言う音がした。

『まもなく発車致しますのでご乗車の方はお急ぎください』

そんなアナウンスが流れる。

「それじゃ、皆さんお元気で」

「祐介もな、おっと、ついでに浩之もな」

「耕一さん、なんですかそれ」

「すまん」

「けど、おまえならいつでも元気だろうと思ったんだよ」

「だろうね」

「祐介までそんなことを、俺泣いちゃうぜ?」

「泣くのはいいが俺は気にしないぜ」

「ひでぇ」

その言葉に俺と祐介は笑ってしまう。


「それじゃ祐介、浩之、元気でな」

「耕一さんこそ」

「けど今回の事は、勉強になりましたよ」

笑っていった祐介の言葉に続けて真剣な顔で浩之がつぶやく。

「いろいろと、な・・・」

浩之の言葉通り、確かにいろいろあった。

それを聞いて祐介も思い出したのか、真剣な顔になり、それ以上何も話さない。

言った浩之自身も黙ってしまう。

実際俺達は、数々の『普通の人生では経験しないであろう出来事』に遭遇した。

体験の大きさが言葉になって出る。

「・・・そうだな・・・」

俺はさらに続ける。

「しかし今回の事で皆、自分にとって一番大切な人が誰なのか再確認出来たはずだ」

「そして、この先もその人を守り続けて行けるかという問題も・・・」

「戦いを潜り抜けた俺達には出来る」

「それだけでいいんじゃないか?」

そこまで言うと、二人同時に言った。

「・・・そうですね」

「・・・そうだよな」


浩之は時計を見て、時間が無いことを知り

「あ、まじでやべぇ!耕一さん、俺行きます」

「それじゃ僕も」

「2人とも、また来いよ!」

俺がそう叫ぶと、2人とも走りながら腕を上に突き上げた。


	・・・そして誰もいなくなった・・・


「・・・耕一さん・・・」

ふいに名前を呼ばれる。

後ろを振り向くと楓ちゃんがいた。

「・・・楓ちゃん」

俺がそう言うと楓ちゃんは何も言わず、すっと俺の隣に来た。

俺は少し戸惑いながらも、何も言わず列車の方に視線を返す。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

そうして俺達は、彼らを乗せた列車が出発するのをただじっと見つめていた・・・


	・・・・・・・・・・・・・・


「・・・行こうか」

完全に列車が見えなくなるのを見届けてから、俺達はその場を離れた。

改札を出て少し歩いた頃、後ろにいた楓ちゃんが俺を呼ぶ。

「・・・耕一さん・・・」

「どうしたの?楓ちゃん」

いきなり呼ばれて俺は思わず聞き返す。

「・・・あなたは・・・」

そう言ってから楓ちゃんはうつむき黙ってしまった。

彼女は何を言いたいのだろう。

何気なしか顔が赤い。

俺は答えを促すように聞き返す。

「俺がどうかした?」

俺がそう聞きなおすと、楓ちゃんは決心したように顔を上げ、真剣な顔つきで俺に

「・・・あなたはずっと私の側にいてくれますか?・・・」

それを聞いて俺はハッと気づいた。

楓ちゃんは不安だったのだ。

彼らと同じように俺が自分から離れてしまうのではないかと。

「・・・楓ちゃん・・・」

今回の戦いの中で気づいたことがある。

やはり俺にとって楓ちゃんは一番必要な人だ。

俺は楓ちゃんなしでいられない。

そうは思っていても、その事を口に出さなかった俺。

そんな俺を見て、楓ちゃんは不安になったのだろう。

「・・・楓ちゃん・・・ゴメン・・・不安にさせて・・・」

そして俺は心の底から湧き上がる言葉を言った。

「俺は君から離れない、絶対に」

その瞬間楓ちゃんの顔から涙が滴り落ちる。

「・・・耕一さんっ!」

そう叫んで楓ちゃんは俺に抱きついてきた。

俺はそれに答えるべく楓ちゃんを強く抱きしめ

「俺は君を離さない、ずっと君の側にいる」

そう言うと楓ちゃんは、俺の胸の中で泣いた。

「・・・ありがとうございます・・・耕一さん・・・」


・・・その後、俺達は・・・

							<了>

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はいっ!ということで、初めまして。(大阪人にしかわからんノリ)

「乱 蘭々」 といいます。

僕の生まれて初めてのSS、いかがでしたでしょうか?

設定はリーフファイト後、集合写真をとった次の日です。

この後のストーリは、皆さんそれぞれで想像してください。

僕も続かせようとは思いましたが、なんか一転してギャグになりそうだったので。

続きはまた別の機会に書きたいと思います。

感想などいただければ幸いです。中傷は勘弁してください。

ran_3@mail.goo.ne.jp

				2000/02/01	乱 蘭々