授業の間の休み。 唐突に教室に入ってくる二人の人物。 「はいはいはいはいはいっ」 みんなが注目するなか、二人は教壇に昇った。 「理緒ちゃんっ」 「マルチのっ」 「ショートコント・アワー!」 「ですー!」 どういう展開だ。 みんながあ然とする中二人はかまわず続ける。 「でゅーわっぱでゅわっ でゅーわっぱでゅわっ でゅーわっぱでゅわーでゅっ <学校にて>」 「あー皆さん聞いてくださいー。実は理緒さんの学食費がなくなりましたー」 「ううっみんな、わたしんち貧乏じゃないけど、学食費二度もはらえるほど裕福でもない の……」 『貧乏じゃん』 全員がそう思ったが、気の毒なので言わずにおいた。 「いいですかー先生犯人探しなんかしたくありません。でも先生うそつきは嫌いですー。 はい皆さん、机に伏せて目をつぶってくださいー。それで『自分が取った』という人は 手を上げてくださいですー。正直に言えば先生怒りませんー」 「はい机に伏せてねー」 なんだほんとに伏せなきゃいかんのか? まあ乗っとくか。 ふところに変な感触。 マルチが俺の財布に手をかけていた。 「あ、顔上げたら先生悲しいですー」 「オレが悲しいわっ!」 ぺしっ 「あうっ」 「お前いつからそういうことするようになったー!」 「あうう、私はただ理緒さんのお役に立とうと……」 「マルチちゃんマルチちゃん!」 「はいいっ」 「でゅーわっぱでゅわっ でゅーわっぱでゅわっ でゅーわっぱでゅわーでゅっ <警察にて>」 「何でそんなことしましたかー」 「太陽が黄色かったから……」 「カツ丼食べるですー」 「ううっすみません刑事さん」 「ごまかすんじゃねえお前らー!」 「きゃー」 逃げられた。