坂下の宣戦布告を受けて、葵ちゃんはすっかり萎縮してしまっていた。 「しっかりしろ! 葵ちゃんは……」 ううむ、なんて言ってやったらいいんだ? そのときオレの脳裏にひらめくものがあった。 「葵ちゃんは、ドジでノロマな亀だ!」 「ええっ」 目を丸くして驚いている。当たり前か。 「葵ちゃん、いや松原! いいか、エクストリームの道は厳しい、努力した者だけがその栄冠を勝ち取れるんだ。 ドジでノロマな亀の松原としては、ここは一番努力するしかない」 「はいっ」 やる気十分のようだ。 「これからオレは教官だ!」 「はい教官!」 そしてフラッシュダンス日本語版をBGMにオレと葵ちゃんの特訓が始まった。 救命胴衣を着けてのコンビネーション、客を避難誘導しながら踏み込んでワンツー、緊 急脱出シューターを使っての訓練では飛び降りとハイキックのタイミングあわせに苦心し た。 特に走りこみは重要だ。 「浩之は学校で一番〜、イカスと言われる教官〜♪」 ランニング中の歌もこのとおり。 そしていよいよ坂下との決戦の日。 オレは先に来ていた綾香に軽く手を振った……なんだか様子がおかしい。 どうした? と聞くと、綾香は茫然としたまま震える指を向けて…… 「浩之ちゃん、みーつけた」 なにいいいいいいっ! ウレタンナックルをつけたあかりが振り返った。 足元には滅殺ずみの坂下。 「神岸せんぱい……」 「ふふふ、だめだよ松原さん。浩之ちゃんはわたしの浩之ちゃんなんだから」 あかりは両手を胸の前にさし上げ、ウレタンナックルを片方ずつ口でくわえて脱ぎさる。 その下には熊の手。 いい感じにハチミツがしみている。 「その手……」 「浩之ちゃんが悪いんだよ……どうしても満漢全席が食べたいって言うから」 その後、葵ちゃんは一人前の国際線格闘スチュワーデスになったらしい。 ―――――――――――――――――――――――― ごめんなさいm(__)mこの下のやつ二つ上げてしまいました。 しかしネタ古すぎ……おまけに落ちが滅殺あかりになってるし。