レミィと暑中見舞い 投稿者:takataka
 ハァイ! アタシ宮内レミィ。
 日本文化にふれるためことわざをおぼえまくる夢のような白人デス!
 そんなアタシもいまはちょっとブルー。
 そのワケは……。

「ヒロユキ……おはよ」
「お、どうしたんだレミィ。今日はいつもみたいにぶつかってこないのか?」
 ヒロユキ、どうしてそんな平気な顔して笑っていられるノ? アタシがこんなに寂しい
思いしてるのに。
「ショチュウ見舞い、返事くれなかったワネ……どうして?」
「暑中見舞いって……知らねえぞ、そんなの?」

「ちゃんと送ったモノ! ヒロユキのためにってアタシの覚えたことわざのすべてを叩き
つけた一世一代の傑作ヨ!」

「う……そういえば、なんか細かい字でずらずら漢字書きならべた不気味な手紙が来たこ
とがあったな。しかもその字がくずれててぜんぜん読めねえの。
 オレてっきり不幸の手紙かと思ったんだけど」
「それヨ!」
 ヒロユキは申し訳なさそうに頭を下げた。
「悪い。オレ、レミィがそんなに苦労して書いたもんだと思わなくて……。

 つーか、おまえ自分の住所氏名書いたか?」

 ……。
 Nooooooo!
 そう言エバ!
「忘れてマシタ……sorry、ヒロユキ」
「まあ気にすんなよ。オレもともと筆不精だからさ、返事する手間が省けてよかった」

 What?
 フデブショー?
 何ダロ……。


	「待てい! 藤田浩之進、一手お相手つかまつりたい。拙者矢島ノ丞と申す」
	「よかろう。先に抜くがよい」
	「参る!」
	 二つの影が交錯する。勝負は一瞬だった。
	 矢島ノ丞の顔面には墨痕もあざやかに、
	
	『あかりはやれねえ』
	
	 の文字。
	「く……さすがは天下一の筆武将といわれた漢……」
	 どしゃあっ
	「つまらんものに書いてしまった……」


 がばっ
「弟子にしてくだサイ!」
「はぁ?」