さおりんの憂鬱 投稿者:Tago
ネタバレと混乱を招きます。『雫』未プレイの方は飛ばしてください。
『雫』の裏、ifトゥルー太田さんストーリー。第一回!
新城沙織の場合…LF97より。(彼女の場合本編では無理です)

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―――――オッス、オラ、サオリ!いっちょやってみっか!!――――――


卒業旅行にやって来たとある温泉街…。
ここは鶴来屋と言う高級旅館の一室。現在、みんな出払ってしまいあたし一人の
貸し切り状態だ。
あたしは広い和室の真ん中で大の字になり感慨に浸る事にした。
畳のいい香いのする…。なんか知らないけど気持ち良くって、とても懐かしい
感じがする心の中にもどかしい感情が一気に溢れ出した!
最ッ高!
好きな人がいて、あたしを邪見にしない友達がいて、こんないい旅館にお泊まり
して、祐クンに出会えて本当に良かった!!変なオバケの事なんて取り敢えず
おいといて、今あたしは、とっても幸せなのぉーーーーーーーーーーーー!!

「どうしたの?なんだか嬉しそうね…」

と言うのは太田香奈子さん。あたしは一人にやけていたらしく、太田さんは少し
怪訝な表情であたしの方を見ている…。
当然と言えば当然な反応だけどちょっと傷つくな、やっぱり。

言い忘れていたけど、部屋にはあたし一人だけど板の間には彼女がいたんです。
あはは…。こういう時は笑って誤魔化さないと…。

「ふぅ…」

太田さんは、溜め息を吐くと外を見る。

彼女は板の間に用意された椅子に腰を掛けている。手前のテーブルに置かれた
お茶が彼女のまめな性格を表している。先ほどからただただ外を眺めながら
時折お茶に口をつけるという行為を繰り返している…。

現在は、どうやら海に沈む夕日を見ているようだ。遠い目をした彼女を夕焼けが
朱に染め上げる。それはドキッとするほど綺麗に見えた――

彼女ってこんなに綺麗だったっけかな?いつも淡泊で全然女の子らしくない…
あたしは彼女…太田さんのことをそんな風に見ていた。中性的と言えるの
だろうか?男の子っぽい容姿や態度は一切ないのだ…はっきり言って女のあたし
から見ても彼女には女性としての欠陥など何一つない。何でもそつなくこなせるし、
優しいし、あんな事件さえなければ今でもみんなから好かれていただろう。
そう彼女は今校内で孤立している。みんな彼女を毛嫌い避ける、それって凄く
嫌らしい事だと思う。でもあたし…もし祐クン達と付き合いがなかったら彼らと
同じだったかもしれない。悔しいけどあたしはそんな弱い女なんだ…。
そんな生活の中彼女は色を失ってしまったのだろうか?それとも事件…精神障害の
後遺症だろうか?はたまた元々そうであったのか…彼女には色が無い。
何かに媚びる必要のない独特の力強さが彼女を中性的で色の無い者にしている
ようにも思える。…彼女の過去を全然知らないあたしがあれこれ考えても答えは
出てこないだろうけどね。

普段はあまり表情を見せない彼女が夕日によって眩しさそうに目を細めている。
そんな彼女を夕日が朱に染め上げている…。それは人に感動を与えるのに十分な
程美しい彫刻のように見えた。男女を問わない者のみが持ち得る美しさなのだろう。

だから…

「えっと・・・き、綺麗だね…」

あたしは自分でも何を言っているんだと思いつつ、それを口に出してしまった。

「そうだね、海に沈む夕日って綺麗だね。少し贅沢な感じが味わえる…
此処にいる間くらいはこうした時間を過ごしていたいな…」

少し言葉が行き違ったみたいだ、あたしは半分自棄で続けた。

「そ、そうじゃなくて、その・・・太田さんが・・・」

あたしは言いながら、耳まで真っ赤にしてしまった。みんなには黙っておいてくれると
助かるんだけど…。

「……。誉めても何も出ないわよ」

太田さんの突拍子もない冗談にあたしは考えるより先に応えていた。

「『誉めても』って、漫才やコントじゃないのよ!これでも真面目に言ってるんだから
あんまり茶化さないでよ!まるであたしがバカみたいじゃない!!」

激情…あたしはありのままの激情を彼女にぶつけていた…。だって人が真剣に言ってる
のにあんな簡単に茶化してしまうなんて許せないよ…。だからあたしはありのままの
激情を彼女にぶつけた。

当の本人は何かに感心したかのように瞳を大きく開く。

まずい!どうしよう嫌われたかもしれない。彼女に嫌われたらあたしはここに居る事が
出来なくなっちゃうよ…。あたしは目をつむり俯いた。

太田香奈子さん…彼女がいなかったらあたし達つまり今回の卒業旅行のメンバーはきっと
出会えなかった。あまり触れてはいけない事だけど、2年の終わりに彼女は精神に異常を
きたして病院に入院した。そして、その原因を探るために事件の担当に当てられた
長瀬先生の甥に当たる祐クン…長瀬祐介君が夜の学校を探索する事になった。
あたしは情報の提供者として彼と出会った。みんな一歩引いてしまうあたしののりに
真っ向から相手をしてくれたのは祐クンが始めてだった。凄く嬉しかったからもっと
親しくなりたいと思った。
翌日から、その日の夜の記憶がなくってそれから知らないうちに――
思い出せない記憶を恐れ不安な日々を過ごしているある日。祐クンの方から語り掛けて
くれた。不安なあたしの気持ちを察してくれて、とても優しくしてくれる祐クン。
気が付いたらあたしの周りには月島瑠璃子さんと藍原瑞穂ちゃんがいた。祐クンと同じ
ようにあたしを邪見にせず正面から受け入れてくれた親友。今迄どんなに頑張っても
得られなかったのにみんな祐クンが運んで来てくれたんだ。あたしはそう思っていた、
でも太田さんが帰って来た事によりそうではない事が解った。そう直感的に…
気が付いたら彼女はあたし達の中心にいた。とても静かにその場所に居た、悔しくも
あるけど、それが当たり前であり、そうあるべきなんだと納得してしまった…。
彼女に嫌われたくない。現在のあたし達の仲を取り持っているのは明らかに
彼女なのだから――

あたしが恐る恐る顔を上げると、彼女はそれを待っていたかのように目を細めて…

「くす…御免ね、ありがとうお世辞でも嬉しいよ」

といった。あたしは安堵した。

「だからお世辞じゃないんだってばぁ!」

気を良くしたあたしはまたいらない事を言う。

「御免・・・・」

太田さんが謝るところじゃないのに、あたしと彼女の会話は大体いつもこんな感じで
幕となる。正直な所あたしは太田香奈子が苦手だ。何故だか絶対に敵わない存在に
思えるから。それに彼女と話すと結局あたしがバカをみる事になるもの。


―――――人の恋路を邪魔する奴はぁーーーーー!!!!!!――――――


「みんな大丈夫かな?」

太田さんは出掛けているみんなの事を気に掛けている。

TVのドラマなんかだと温泉といえばお色気湯煙殺人事件なんかが定番なのに起こった
事件は異世界のオバケの大発生、もう出るわ出るわの大騒ぎ!(謎)
あたし達は仕方なくオバケと戦っていて、祐クン、瑞穂ちゃん、月島さん、月島さんの
お兄さんの4人が現在戦っている。あたしと太田さんはお留守番だ。

みんなを心配する、太田さんを見ていたら少し悪戯心がわいた。これなら太田さんを
負かす事が出来ると思ったから。名付けて!お惚気大作戦!!(怪)

「みんなじゃなくって、月島さんじゃないのぉ?」

あたしは自分でも卑らしく思えるような口調で太田さんをからかった。あたしは他人の
惚気話を聞くのがそれほど嫌いじゃない。

「みんなよ!」

少しきつめの返事が返って来た。

「えーーー、でも太田さんにとって月島さんは―――」

「恋人じゃないわよ」

話はあたしの思惑とは裏腹な展開に進んできた。いつもならここら辺で話はお流れになる。
しかし今回は引き際を間違えてしまったようだ…。

あたしの言葉が終わるよりも早く釘を打つ彼女に意地で食らいついてみた。

「でも、でも二人は―――」

「付き合ってるけど…。でも恋人ではないの…」

付き合っているのに恋人じゃない…どういう意味だろう?

「あの…」

「知りたい?」

太田さんはそういって悪魔の笑みを浮かべた。あたしに出来る事はただ頷くことだけ
だった…。

「うん、なら話してあげる。でも長瀬君と瑞穂には黙っておいてね。お願い!」

「うん」

あたしが半ば太田さんの迫力に押されて短い返事をして話に耳を傾けた。

「月島さん高校の卒業式出られなかったの知ってる」

「うん」

何だか話が大分ずれている気がするが取り敢えずその事はあたしも聞いていた。

「月島さんね、卒業前から約半年くらいの記憶がなかったの、だから私の事なんか当然
憶えてなかった。病院を退院して暫くしたある日瑠璃子さんに誘われて、月島家に行ったの。
そして、久しぶりに月島さんあったわ。それで彼が私に対する第一声は『瑠璃子お友達
かい?あっと、始めまして。僕は瑠璃子の兄で拓也といいます』彼は何も憶えていな
かった。予想はしていた、瑠璃子さんが私を誘った時から解っていた。でも…
くす、情けないよね私、その場で泣き崩れたんだよ…。情けないよね…
私ってなんだろうね、求めるものなんかないはずだったのに。何の顧みも持たないつもりで
いたのに。私は2度も同じ場所で同じ人の前で泣き崩れた…」

太田さんは少し俯き目を反らした、こちらもその方が助かる。話の内容自体あたしには
唐突なものでいまいち解らないけど、とても辛い話のようだ。あたしは彼女にどう声を
かけたらいいのか解らない。だから今目を反らしてくれるのは非常に有り難い。

「御免、話がずれたね。月島さんは記憶喪失を起こしてそれによる錯乱のために卒業式
には出られなかったの。現在大学に行っているけど、失われた半年間がなくても
どうにかなってるみたい。大学受かってから記憶喪失なんて虫がいい話だよね」

太田さんはそういうと僅かに微笑んだ。

「あはは、そうだね」

あたしに気を使いながら話しているのだろうか?ふとそんな疑問がわいたが詮索する
のはやめておいた。

「補足説明終わり。私は退院して再び月島さんに出会った。そして彼は私の事を憶えて
いなかった。それから何度か瑠璃子さんに誘われるまま月島家にお邪魔していた。
そんなある日、月島さんの方から私に相談を持ち掛けて来た。相談の内容は、瑠璃子さん
とどう接すればいいか、というものだった」

あたしはここで口を挟む事にした。どうしても納得のいかない所があるから。

「ねえ、あんなに仲の良い兄妹なのにどうしてそんな相談をしたのかな?」

「月島さんが知らない間に瑠璃子さんはまるで別人のように変貌していた。それが
自分の仕業だとしたら、彼は恐かったの瑠璃子さんと接する事が。次第に兄妹である
よりも一つ屋根の下に若い男と女がいる、兄妹としての接触をたった事により彼は
そのように思い始めた。このままでは自分は何をするか解らない、だから瑠璃子さん
との兄妹としての関係を取り戻すか、自分が瑠璃子さんの前から去るかの二つに一つ
彼はそこまで思い悩んでいた、だからワラをも掴む思いで私に相談を持ち掛けた。
私だって場を持たせるだけで精一杯だったんだけどね。それでも私にしか出来ない
事だったから…。そしてそれこそ瑠璃子さんが私を家に誘った理由だったから…」

「『だった』ていうのは?」

確かに月島さんが普通じゃないのは事実だし、性格の善い月島お兄さんの事だから
そのように考えるかもしれない…
でも何で月島さんは変ってしまったのか?そして何故月島お兄さんの記憶がないのか。
話の中の多くの事が立ち入ってはいけない事のような気がする。
ただ祐クン達の電波の戦いを見ていると何となく解ったような気がする…でも…。

「『記憶がなかった』って言ったでしょ。ガディムだっけ?に感謝しなくちゃ…」

?…。何を言っているのだろう?月島さんのお兄さんの記憶がもどっている…?
でもなんで『ガディム』に感謝するの…。

「私としては大きな荷物がやっと一つ下りてくれて清々してるんだけど。
まあ感謝はするけど放っておく訳にもいかないんだろうけどね」

「あの…太田さん?さっきから何をいっているの。あたしよく解らないんだけど…」

現在起きている事件において、太田さんの態度は明らかに他の誰とも異なっている
それは鈍いあたしにも解るほどに…。彼女は今回の事件ではあまり乗り気でないけど
普段は何事に対しても、もっと積極的で曲がった事を許さない正義感のとても強い
女の子だ。あたしはおバカだから彼女の突っ込み怖くてどうしても彼女の前では
いつも自重してしまう。そんな正義感の強い彼女が何故今回の事件ではあんなに
乗り気でないのか…。怖いのか、違う、彼女は落ち着き払っている。
彼女の場合いつでもそうなんだけど、あんた本当に女子高生かい!ってくらい。
だから彼女は、何かを知っていて、それを隠している?あたしはそう感じた…。

「まあいいじゃない。本来なら私達がやらなくてもいいような、言ってしまえば
単なる余興に過ぎないんだから」

「どういう意味?」

どういう意味だろう?『私達がやらなくても』?『余興』?全然解らないよ…。

「柳川って鬼…餌を撒いたら意外と簡単に釣れてくれたから…」

「……」

意味解んないよ!何が言いたいの太田さん!あたしはそう思った。

「やっぱ解らなかった?…そうだね…じゃあさ、まずはあの柳川という鬼なんだけど、
彼にはもう柳川って名前はないのよ。彼は死んだ人だもの…」

「『死んだ人』?」

あたしは鸚鵡返しに聞き返した。

「そう、死んだ人。柳川裕也はこの世には存在しない。でも彼は生きている。
生きている人間を死者に変え、死者を生かす…」

太田さんの表情が突然険しいものへと変った。それは嫌悪感に満ちた表情だ。

「組織があるのよ…」

「『組織』?」

現在のあたしに出来る事。それは聞き返すことだけだ。

「柳川という鬼は、私達で戦えと言った。私がそう仕組んだんだけどね…
あれは彼の言葉じゃないのよ。彼はあんな建設的な事言う人間じゃない!
彼は破局を望む者…全身から放つ殺気が嫌ってくらい物語っているよ」

「つまり…柳川って人は、何か大きな組織によって…その…自分の意志とは無関係に
徴用されているって事」

「多分ね…」

あたしの解釈に対し彼女はこくりと頷いた。

「あの鬼は、元刑事である事を利用し警察の内部事情を語り、私達が戦わなくては
ならないように仕向けていたけど…今の彼にどうやったら警察の内部事情が分かると
言うの?」

「そう言えば…」

あたしは感心した凄いこの人凄いよ。

「全ては来栖川の魔女によって仕組まれた事なんだよ…言わば金持ちの道楽。
だから私達戦わなくっても収集は付くのよ」

「え…でもあんなおっとりしたお嬢さんが…あ、でも、確かに来栖川財閥であれば
あの柳川って人の事も納得がいくね」

「異界とこの世界を結んだのは、藤田浩之を試すため…あれはこの世界を変える…
そういう存在だ…冷徹な魔女の氷を溶かしたのもあれなのだから。最終的に言える事…」

太田さんそこで言葉を一端切り、半ば狂人のような笑みを浮かべた。

「これ以上知ったら、明日が無いかも…」

「あはっあはっあはははは…」

あたしは怖くて恐ろしくて恐怖から逃れたい一心で笑った―――


――――――馬キックの刑よ!!えいっ!キック!キック!―――――


「あははは、あのさ…何のお話をしていたんだっけ…」

あたしは現在の話題から逃れるためにそう言うと、太田さんは露骨に嫌そうな顔をした…。

「…私がみんなの心配をしているって事よ!」

太田さんは嫌そうにそう言った。

「あっそうか、月島さんと―――」

「わーわーわーー!」

どうやら太田さんはこの話題から話を反らせるために先程のような話をしたようだ。
本当に可哀相なくらい嫌がっているから話題を他に移そう、太田さんと二人きりでお話する
機会なんてそうそうないもの…。今日は特別よく喋ってくれるしもう少しお話したいから…。

「ごめん、ごめん。もう月島さんの話はしないから…」

「……」

太田さんが拗ねた子供のような顔であたしを見ている…。そこまで月島さんのお兄さん
の話題は禁忌なのだろうか?まるで太田さんが太田さんじゃないみたいな表情をしたいる。
まるで裸エプロンだ(謎)。

「太田さん、受験の事気にしてるみたいだけど調子はどうなの…
あっ、あたしの事はなしね!あたしお勉強とか駄目な子だから」

「最ッ悪よ!!」

「え…?」

太田さんは優等生で通っていて、成績もかなり上の方だと聞いていた。
昨夜お風呂での会話ではまるで『私には自信がある』とのように聴き取って
いたのだけれど…。

「何か勘違いされちゃったみたいね。私さ過去が壊れててさ…あと、入院していた
完全に空白の時間もあるし…瑞穂と偏差値…だいぶ違うのよね…でも瑞穂にはあの子
に相応しい大学を受けて欲しいのよ…」

「その事瑞穂ちゃんとしっかり話したの?」

「できないよ…そんな事…瑞穂にはわざと嘘の偏差値を教えている。まああの子は
あれで結構しっかりしているから気付かれているだろうけどね。あの子あれ以来
凄く敏感になったから…長瀬君を見る目を見れば解る…あの子は取り戻している、
そして受け入れている…もうあの子には嘘は付けないか…」

「祐クンといい太田さんといい今回変な事件に巻き込まれてから変な事言うね。
ひょっとしてあたしだけ仲間外れ?」

「ひょっとしてじゃないわよ」

「……」

そこまで言い切らなくてもいいじゃない!でも一体なんの事なのだろうか?

「ふう、昨夜露天風呂で私があんな事を言ったのはさ、瑞穂が定番の自爆を
やらかしたからよ」

「『定番の自爆』?」

あたしとした事がすっかり聞き役に徹してしまっている。

「最初に受験の事を持ち出したのは瑞穂。そしてあそこで私がああいう態度に出たのは
自爆を防止するため。あの時、私が手を打たなかったら瑞穂は私に気を使って自爆
していたよ。きっとね。」

「あたし達って太田さんのお荷物だね…」

あたしは訳の解らない事を口走った。でも何故か心の何処かで歓喜していた
どうしてか解らないけど太田さんのお荷物である事が誇るべき事のように思えた。


―――――こうなったらサオリーナに変身よ!(きゅぴ〜ん!)―――――


「そうねお荷物よ。昨夜の露天風呂でも…」

「え…。あたし何にもしてないよー!」

ひえーーっ!標的があたしに移ってしまった。

「ふう…。あのね、瑠璃子さんの前で余り変な事考えないでね…」

「えっ、えっ、えっ?」

「ほら、あの…Hな少女漫画みたいなやつ…」

太田さんは疲れた顔で溜め息を吐いた。
嘘!何で?何で!?どうして太田さんにそんな事解るのよ!大体あたしが
何を考えたって――

「それが言葉として伝わる相手には勝手ではすまないのよ!」

太田さんは大きく溜め息をすると疲れの色を一層濃くした。
嘘!嘘だ!あるわけないよ!そうよあたしをからかって遊んでいるんだ。

「太田さん、冗談はよしてよ。あたしがそういうの嫌いなの知っているでしょ」

「そうね、知っている。でも夜の露天風呂っていうものは手前の人間の顔を
見るのがやっとなのよ。気付かなかった?」

「……」

そうだ、太田さんは確かに『新城さん顔赤いよ』って言った。あたしの顔が
見えない距離に居たはずなのに…なんで?

「私さ心の中で『わー、わー、わー!』って叫んでさ、瑠璃子さんの気を反らしたの。
笑われちゃったよ。『香奈子ちゃんって面白いね』って。何で私が瑠璃子さんに
笑われないと行けないのよ。新城さんは新城さんで変な事考えるのやめないし…」

「ひょっとして太田さんも電波使えるとか?」

そうだ、もし太田さんが電波を使えるとしたら納得出来る。電波の力なら否定しようが
ない。

「電波ね…。私のはそういう超常の力や、生まれ持ったとかそんな簡単なものじゃあない。
私のはもっとずっと合理的に培われた力…。私は開いたのよ」

「開いたって?」

「…閻魔帳。人の罪の全てを解こうとしたの…死ぬ前に私の生きる理由見つけるために。
まだ小学生だったのに私は地獄に足を踏み入れた…そして手に入れた、人の根元を、
それが私の力…一つの時代において頂上に立つ者も力だ。人喰いと呼ばれ、悪魔と
呼ばれる者の力だ。でも私は力なんて欲しくなかった。だってこれは閻魔帳に記された
最も忌まわしい力だもの」

「な…何を…言って…いるの?」

「それは事実と嘘を見抜く能力。歴史において罪が隠蔽される事なんてどうでも
いいような当たり前の事。でも閻魔帳を開くとは、あらゆる文献からそれに存在する
事実と嘘を振り分けて行き、最終的に…吐気をもようすような悪夢すら塗り潰す…
本当の現実に身を投ずる…人間という形に囚われている限り…決して耐え得ない…
本当の意味の地獄には…」

太田さんは目が合わぬよう反らし謳う。それこそ地獄の底から響く途轍もなく
どす黒くて…冷たくて…そしてマグマのように熱いドロドロとした歌を…。
地獄が今あたしの周囲に渦巻いている…怖い…太田さん…怖いよ…
何でそんな事言うの…?あたしもう――

「暇だったからよ」

「へっ!?」

あたしは間抜けな声をあげて太田さんを見た。目が合った。
それは何事も無かったかのような、いつもの太田さんの瞳だった。犬のように
ころころとした子供のような瞳…。
夢…?今迄のは夢…なの?

「閻魔帳は――」

「その話はイヤーーーーーーーーッ!!」

あたしは絶叫した太田さんが心を見透かす、あたしを裸にして苛める。
嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌ッ!!

「くすくすくす…沙織ちゃんは可愛いね…」

「えっ?」

「心が…」

「イヤーーーーーーーーーッ!おねがい!お願いだから、あたしの心を
覗かないでーーーーーーーーー!!!」

「って瑠璃子さんが言ってたけど。ホント羨ましいな…幸せの条件満たしてる」

「幸せじゃないよお!今とっても不幸だもん!」

「ふうっ…。でもね、まともな名詞もあるのよ。帝王学。でもそれは最近知った
言葉だけど。まあ私の場合は小学生だったから我流になるけど…そんな奇怪な
代物じゃないのよ。余り自信無いけど…」

「…怖くないの…」

「あは、あははは」                                    此処ら辺、思考中止中
                                                       さおりんの一人称は
「……」                                                 無理があったか…

「人を駒にしてあんな事やこんな事をするための学術が怖くないわけないじゃない。
帝王学っていうのは根本的に…」

「イヤよ…イヤ、イヤ、イヤ、イヤーーーーーーーーッ!!」

「ああああ…う〜〜っ…うんとねあくまでそれは一つの力なのよ…
ほら、長瀬君やここのオーナーの柏木さん達も自分達の力を人の役に立てるように
頑張ってるでしょ。ねっ、だからそんな怖がらないで、私だってこの力を結構
人の役に立ててるのよ!」

「本当…怖くない」

太田さんは脅えるあたしにまるで子供をあやすように語り掛けた。
あたしもまたそれに子供のような応答を取った。

「私は未だにそれの全てを得た訳ではないけど、大体中学に上がる頃には読むための
器を完成させていた…そしてその頃瑞穂と出会ったの。ただのよくいる苛められっ子。
だったら助けなかった。だってそうでしょ、いちいち苛められっ子なんて助けていたら
今頃私の周りには瑞穂みたいのが100人くらいいて『香奈子ちゃ〜ん』って…」

「イヤーーーーーーーーーーッ!!あはっ!それ怖すぎだよぉ!!」

怖い、確かに怖いが、面白い怖さだ。頭の中で100人の瑞穂ちゃんが…。
イヤ!それ最高怖いよ。太田さんってそういう事言う人だったのか…。

「ふう、やっと笑った。でさ、瑞穂を助けたのはね…」


―――――ク…クリリンの事かぁーーーーーーー?!!―――――


「そうなんだ、あたしもさ中学生の時に、男子生徒で嫌な奴がいてさ。
そいつ、ことある毎に幽霊が憑いてるとか言って人を怖がらせては笑うの
さも愉快そうに、ある日それが我慢できなくなって。顔面グーで殴ってやった。
それから取っ組み合いの喧嘩になって…馬鹿だよね、男の子に勝てる訳無いのにね」

「……」

あたしにとっては一つの武勇伝と言える出来事なのに、太田さんは余り興味を
示した様子もない…当然だ、だって彼女は――

「ごめんね、つまらない話して。そうだよね、太田さんはそれが集団になっても
びくともしないんだもんね」

「誰に聞いたの?それにびくともって事はないよ、殴られれば痛いし血だって出る。
私はただオルゴールを取り替えして、そのあとは連中が飽きるまで殴らせた…
それだけだ、私は別に何もしていないよ」

「瑞穂ちゃんから。あたしその話を聞いて感動した、本当だよ。
だって、殴る方は怖がりだから殴るんだ。殴らせるなんてそんなの絶対嫌。
あたしが太田さんみたいに強かったらなあ…ねえ、太田さんならあたしの話した
男子生徒をどうする?」

「相手にしない」

「……」

ごもっとも…その通りだ。あたしは馬鹿だった。そんな最低な奴ならこっちから
相手にしなければ良かったのになんであんな事になったんだろう…。

「あたし…弱いもん。あたし太田さんみたいに強くないもん。
あたしは夢を見ていたいの!嫌な事ばかりの現実なんてまっぴら御免なのよ!」

「…同感だ。でも私の見る夢は現実意外の何者でもない。私だって夢が見たいのよ!
毎日、毎日。夢を見て自分だけの幸せ作って、嫌な事全部忘れたい!
夢見る力が失われたら人間は終わりだ。私から言わせれば、夢見る事が出来る
あなたは幾等でも幸せ掴める…だから新城さん、お願い、お願いだから…もうやめよ…
辛い現実に背を向けて夢見る事が出来る…それも一つの強さなんだって知って。
あなたは私の憧れだから。だからそんな事言わないで。そんな風に自分を卑下
しないで、でないと私が惨めだ…」

太田さんはあたしに背を向いてそう言った。肩がぷるぷると震えている…。
泣いてるの?泣いてるの太田さん?そうなんだ…彼女はもう人間では
ないのかもしれない…ただ人間のふりをしているだけ。彼女は自分に
嘘を付いて、何か…途轍もない何かを自分の中だけに仕舞い込んでいる。
彼女はぼろぼろなんだ…身も心も。彼女は自分の力に苦しんでいるのではない。
あたし達が弱いあたし達が彼女を疲れさせぼろぼろに蝕んでいるんだ。
みんなだ…全然気付かなかったの?あたしも、みんなも!彼女の苦しみは
誰が癒すの?あたしは彼女に同情すらしてあげられない。同じ人間でも
彼女は心がもう人間じゃないから。神…?悪魔…?そんな形容すら生温い。
あたしには背を向けて小さくなって震える彼女がガディムと呼ばれる怪物
以上の怪物に思えた。途轍もないバケモノに――
こんな事誰にも言えない。言える訳がない…。

「すっかり…暗くなっちゃったね」

太田さんはあたしに背を向けたままあたしにそう語り掛けた。
もう太田さんの事に触れるのはやめよう…。あたしはあたしであればいいんだ。
それが太田さんの望みでありあたしのためでもある…太田さんの死角突く事は
龍の逆鱗に触れるのに等しい…悪戯に彼女の心に触れるなんて自殺行為だ!
だからもうやめよう。あたしのために。太田さんのために。

「…そうだね…」

あたしは短く相槌を打った。
本当だ、外は真っ暗になっていた。こう暗くなると、あたしも祐クン達の事が
心配になってきた。

「新城さんは優しいから…」

「…ありがと」

不思議と嫌な感じじゃなかった。太田さんは機械的に心を読んでいるのではない
彼女はあたしの事をそしてみんなの事は察してくれているんだ。
優しいのは太田さんだ。

「祐クン達なら心配ないよ!そうでしょ太田さん」

太田さんはこちらに向き直るとこくりと頷きあたしに微笑んでくれた。
あたしは今日始めて瑞穂ちゃんにとって太田さんがどれほどの存在だったか
知った。途轍もなく大きくて優しい…。もしあたしが瑞穂ちゃんだったら。
ある日突然太田さんがおかしくなったら。太田さんに会えなくなったら。
あたしだったら耐えられない。きっとおかしくなっちゃうよ。
選ばれたんだ瑞穂ちゃんは、なんて凄い子なんだろう。
あたしは全然気付かなかった瑞穂ちゃんの強さに…電波より鬼よりオバケ
なんかよりずっと強いと思う。暴力で強さは計れない…暴力に勝る
力はない…でもそれには強さを感じない。本当の強さって心に響く
事だもん。そうだよレールに転がされて踏ん反り返っていい気いたんだ。
あたしはテーマパークの乗り物から見る景色しか知らなかったのかもしれない。
だからあたしの正義感そして敵意も相応のものでしかない。
あたしらしさってなんだろう。あたしらしい強さってなんだろう。
…解らない。そうだよね、あたしだもん。

「ねえ、太田さん。祐クン達待ってるよりさ。せっかく珍しい二人組み
がペアなんだし、温泉で裸のお付合いでもしましょうか?
お背中流しまっせ!旦那!」

「くす、そうしましょうか」

これでいいんだよね太田さん…


―――――ひ〜〜の〜〜た〜〜ま〜〜サァァァァァァァァァァブ!!!―――――



      ―閑話(K1記念?アイダノカナコ番外編)―

プルルルル・プルルルルルル――

カチャ!

「はい、もしもし桂木です」

「もしもし、桂木?」

「太田?太田だよね。久しぶり!」

「どう、元気してる?」

「全然元気だよ。それより太田…」

「何?」

「昨晩なんだけど、由紀に電話したよね」

「うん」

「由紀が言ってた事本当?あいつが記憶を取り戻したって?」

「うん」

「あいつ太田に謝った?ちゃんと謝ってくれた?」

「昨日の今日だあの人にはそんな勇気はないよ…」

「…許せない!あいつ許せないよ!!」

「どうしたの?いままで耐えてこれたじゃない」

「あたしの事はいい!香奈子だ!あなたに…」

「……」

「許せない!許せない!許せない!」

「もういいから、私はいいからねっ。美和子」

「いいわけない!いいわけないよ!あたし達は!
  由紀とあたしは、あなたが全てを仕組んだ事を知っている。
  長瀬って奴は気付いてなかったみたいだけど。
  あたし達はあいつの強制する卑らしい行為に耐えられなくなって心を閉ざした。
  そしてあいつと一緒に心を抉じ開けられた。
  長瀬には感謝してる。
  だって彼が助けてくれなかったらあたし達は死ぬまで廃人だったもの。
  でもなによ!あいつ全然解ってないじゃない。
  今もあたし達があの男に操られていただけだと思ってる。
  あたし達は長瀬のおかげで目を覚ました。
  そして何食わぬ顔でその場を去った。
  あんたのおかげで月島兄妹も長瀬って奴も救われた。
  あんたが書いた筋書きなんだろ。
  あんたにしか出来ないし、あんたならそれが可能だった…そうでしょ香奈子。
  …でもあいつら全然解ってない!
  それじゃあ可哀相過ぎる、香奈子、可哀相過ぎるよあんたわ。
  そうだよ!本当だったらあんな奴等その場で全殺しだ!!」

「親に聞かれるわよ」

「いいんだよ、そんな事は!
  どうせまだあたしの事を以前通りにしか見てくれない両親なんかどうでもいい。
  太田だけだから。
  あたしの事解ってくれるの太田だけだから」

「桂木…口調と裏腹に顔真っ赤にして涙ぐんでるでしょ」

「…あたしをこんな風にしたのは、あんただ香奈子!」

「それが本来のあなたよ…」

「あんた…あなたが変えてくれたんだよ。
  あなたのおかげであたしは、由紀は、強くそして自分らしくなれた」

「そしてその強さはあだになってあの人の手駒にされた…」

「…そうね、勝手に太田のあと追っかけて。
  気が付いたら生徒会役員になっていて。
  そしてあの事件に巻き込まれた。
  そうよ、あたし達がいけなかったんだ…解ってる。
  だからこそこうやって耐えている」

「強いんだね、桂木は」

「…そう思うんだったらさ。
  あたしと試合してよタイマンでさあ!」

「そうね…そろそろ二対一はきついなって思ってたし…」

「でしょでしょ!もしあたしが勝ったらさ、あれ教えてよ」

「あれ?」

「ほらあの、正面からの力の流れを完全に逆流させるやつ!」

「あれね…でもあの技なら桂木なら自力でマスターできるよ」

「嘘!」

「本当…」

「…信じちゃうよあたし」

「うん」

「じゃあさ!音と気配のない移動術!あれ教えてよ」

「駄目!」

「なんでよ!」

「あれはあたしのオリジナルじゃないから駄目!」

「…よく解らないからいいや!
  それよりさ、太田!エクストリームに出る気ない?」

「どうして?」

「以前あたし達より、ずっと強い女と戦ったことあるっていったよね。
  空手道場同士の交流試合で、その数はちょうど3人。
  実は今月の格闘技ファンにエクストリームの特集があって、
  それに話の3人と一致する娘が載ってるのよ。
  一人は”リトルフォックス”松原 葵。
  小柄な体と幼い顔立ちとは裏腹なそんでもないパワーとスピードを持って
  いることからそう呼ばれてるんだって。
  空手と柔道をベースにした総合格闘技を使い。
  必殺技は――」

「ぽんけん」

「あれ、知ってたの?」

「知ってるも何も…
  ところでリトルなんとかって?」

「キャッチフレーズ!こういったものの選手には必ず付いて回るものよ」

「…そういえば、格闘技ファンなんて脂っこいものよく読めるわね…」

「悪かったわね…
  では二人目、”ミス空手”インターハイ優勝!坂下 好恵。
  今年のインターハイで全国一位になった。
  オリンピック候補生でありながらオリンピックの出場を蹴ってエクストリームに
  移ったんだって。
  コメントが凄いのよ。
  『私達はある戦いを切っ掛けにそれぞれの道を進むことになった。
  思えば我々は格闘家であり、同じ目標を持つものなのだ。
  同門の者のことを朋友と言う。
  そして、善を責むるは朋友の道なりということわざがあるように、
  馴れ合いを超えた真の友情とは、対立しそして互いを磨き合うものだ。
  私は綾香にそして葵に感謝したい。
  同門に甘ったれた馴れ合いを求めた、情けない私の目を覚ましてくれたことに。
  だが後悔するがいい、空手の神髄と正拳の硬さ改めて思い知らしてやる。
  そして、私があいつを、真の格闘家を引きずり出してやる。
  それこそ、私達が持つ共通の目的だからだ』だって…
  すっごい気迫だよね。
  真の格闘家さん!」

「なんのことかしら?」

「またまたー。
  いいわ別に、次行くから…」

「チャンピオン”帝王”来栖川 綾香…」

「あっ…」

「つまんないこと言ってると切るわよ…」

「ごめん、でもあたし太田の本気見てみたいんだもん!
  この人達なら太田を本気に出来そうな気がするから…だから。
  それに世間の奴等に太田式柔の凄さ見せてやりたい」

「その太田式柔って何?」

「あたしが勝手に付けた太田独特の格闘技の名前」

「う〜ん、でもそれはちょっと嫌かな…」

「取り敢えず考えといて。
  締め切りは―――」

カタン!

「(ふう、疲れたわ…でも、桂木と吉田があんなに成長するとはね…)」

                                                          閑話終了



―――――それじゃあ、またね。ちゅっ―――――


「御免、待った?」

太田さんはあたしより10分程遅れて露天風呂に現われた。

「ふ〜〜」

太田さんは温泉が好きなようだ。その証拠に凄く気持ち良さそうにしている。
ただ確かに少し離れているだけで顔の色までは解らない。

「太田さんって温泉好きなの?」

「そうね、好きよ。特に此処の露天風呂は…森林特有の香りと、海からの鼻のすっとする
冷たい風、そして何よりも星空が良い」

「星空…そうか!だから夜の露天風呂って暗いんだね。
でも太田さん目つむってるのに星見えるの?」

「そういうのは偶にでいいの。いちいち上見てたら疲れるじゃない」

「そうだね…ではここは一発あたしが歌でも唄いますかね…
伊東に行くなら♪」

「わー、わー、わー!」

「あれ、どうしたの?」

「ぜーはー、ぜーはー。…新城さん」

「なに?」

「私が何処の病院に行ってたか知ってる?」

「…えっと…確か近くの総合病院から長瀬先生の伝手で、どっかの精神病院に
移されたって…。確か瑞穂ちゃんが言うには、ずっと面会謝絶だったって」

「変だと思わない?別に生死の境って訳でも、伝染性の病気って訳でもないのに。
それに面識があるはずの私の両親に相談すればどうにかなったんじゃない?面会?
第一ただの高校教師を伝手に病院を移す事自体変だと思わなかったの?」

「あれ?あれれ?確か瑞穂ちゃんは太田さんの家は何の知らせもないまま引っ越したって…
じゃあ…太田さんは今どこから学校に通っているの?あれ?あれ?あれ?
嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!嫌!嘘!
イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」


                                                                     了



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−アトガキ−

Tagoです。四回目です。我真太田最強也です。

今回はしんどかった…反論下さい待ってます。

                                   以上




TO:まさた館長
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  コメント:無双?さおりんが太田さんで多分憂鬱(謎)
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