来栖川電工 開発室 「この夏の新モード、新しいメイドロボの開発案です」 「よくまあ毎回、懲りもせずに」 「大丈夫です。今度こそ究極の、至高のメイドロボを…」 「はいはい分かりました。早く説明してくれ」 「今回のテーマは原点回帰です」 「ほう」 「メイドロボもかなり普及し、ライバル各社も様々な商品を投入してきました。だが、我々は他 社との競争の中で何か大切なものを忘れてはいませんか? メイドロボとは何か、何のためにあ るのか。それを知るために、今こそ温故知新が必要なのではないでしょうか」 「何だかもっともらしそうなテーマだが、具体的にはどういうものだね」 「レトロスペクティブなメイドロボ。これです」 「これですって…」 「具体的にはまず、リモコン操縦のメイドロボを作ります。機種名はHMX−28、別名メイド ロボ28号」 「ちょっと待ておいっ」 「リモコンはレバー2本で簡単操作、が売り文句でして。CFのキャッチコピーは『敵に渡すな 大事なリモコン』。実際にリモコンを奪われるとメイドロボは暴走し、街を破壊する…」 「するなっ。却下だ却下っ」 「駄目ですか」 「駄目に決まっているだろうがっ」 「分かりました。では次の案です。マルチタイプを改装した高性能、高出力タイプのメイドロボ HMX−12A、別名鉄腕マルチ」 「おい、まさか」 「十万馬力の出力で、空を超えてラララ星の彼方まで行きます。なおエンジンは超小型の核…」 「我が社を潰すつもりかあああっ」 「…そんな大声を出さなくても」 「大声出したくなるわいっ。もうお前の意見は聞かんっ」 「まあまあ落ち着いて。もう一つアイデアがありますからせめてそれを聞いて下さい」 「どんなアイデアだっ」 「機種名はHMX−からくり。振袖を着用した可愛らしいタイプのもので、ユーザーが両手を鳴 らすと盆に茶を載せてコトコトと歩いてくることができます」 「……まさか、駆動機関は『ぜんまい』とか言うんじゃあるまいな」 「な、何故それをっ」 「貴様は馘首だああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」http://www1.kcn.ne.jp/~typezero/rdindex.html