理力 投稿者:R/D
 エクストリーム大会高校女子の部決勝。強敵、綾香を新必殺技「百烈張手」で破り、優勝を果
たしたマルチは、さらに2階級制覇を狙い小学生女子の部に臨む。そして……。


 司会 「今、エクストリーム大会小学生女子の部優勝者に、メダルが授与されようとしていま
    す。前人未到の2階級制覇を成し遂げたHM−12マルチに対して大会委員長の……」
 マルチ「……ううっ。やりました、やりましたあ。コーチ、これもあなたのおかげです。あな
    たが空から見守ってくれたから、だからこうして優勝できましたあ」
 司会 「涙。涙です。チャンピオンが今、感激の涙を流しております。長く、苦しい日々でし
    た。いっそやめてしまおうと思ったこともありました。それでも……」
 ???「ちょーーーーーーっと待ったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
 マルチ「えっ、えっ?」
 司会 「あっ、これはっ」
 ???「このあたいを差し置いてチャンピオンだと? いい度胸じゃねぇか」
 司会 「小学生ですっ! チャンピオンの前に新たな小学生が現れましたっ! ピンと立った
    一房の髪が特徴的ですが……あ、今情報が入りました。柏木初音。どうやら彼女の名前
    は柏木初音というようですっ!」
 反転初音(以下反初)「おいっ、そこのっ」
 マルチ「は、はいっ」
 反初 「くっくっく。今からあんたを血の海に沈めてやるよ」

 右手の親指で喉をかき切るしぐさを見せる反初。

 マルチ「うう、うううううううううう」
 反初 「くくくくく。くはははははははははははははははははははははははははははははは」

 おびえるマルチ。と、その時

 コーチ『落ち着け、マルチ』
 マルチ「あ、そ、その声は……。拘置、もとい、コーチっ」

 静止衛星軌道上のコーチの声がマルチの下に届く。

 コーチ『マルチよ、フォースと共にあれ』
 マルチ「こおおおおおおおおちいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ」


  次回予告

 ついに始まった反初とマルチとの真の決勝戦。衛星軌道に浮かぶコーチの運命は。そして「ヨ
ーク」とは何か。すべての謎が明らかに。

 『マルチ、どすこいの星を掴めっ』

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  このおはなしのポイント

 昔のネタの使い回しに走るあたりに、作者がネタ切れで苦しんでいる様子が伺えます。



 みなさん、感想ありがとうございます。

 AEさん

    >ちなみに私は言葉という
    >ものは知性体に寄生している情報生命のようなモノだと思ってます。

   進化論学者のリチャード・ドーキンスが書いた「利己的な遺伝子」の中で提唱されている
   「ミーム」という概念はご存じでしょうか。
   人間の脳みそに寄生している情報生命、という概念に非常によく似た考え方です。もっと
   も、ミーム=言葉ではなく、言葉はミームを構成する部分要素という位置づけのようです
   が。ミームを構成する言葉=遺伝子を構成するDNA分子、といった感じでしょうか。

   元マイクロソフトの社員であるリチャード・ブロディという人物はずばり「ミーム」とい
   う本を書いています。
   ミームとは心の中の情報の単位。
   優れたミームとは人々の間を容易に拡散していく考えや信念。
   優れたミームは、必ずしも「優れた考え」を意味してはいない。
   論理的に矛盾していても、科学的な正確さに欠けても、道徳的に優れていなくても、多く
   の人が受け入れれば、それが優れたミームです。

   つまり、売れる本に書いてあることが正しい訳ではないし、メディアによく出てくる人物
   の発言内容が正確だとは限らない、ということですね。
   世の中に溢れかえっている言説の中には、非常に口当たりのいいものもあります。
   けど、それが論理的だとは限らない。一見いいことのように思えても、突き詰めれば矛盾
   があったり、ごまかしが含まれていたり……。

   だから、自分の頭で考えること。もちろん、間違うこともあるだろうけど、結論に至るま
   で遠回りするかもしれないけど、それでも他人の頭に頼って他人のミームをそのまま受け
   入れるよりは、遥かにマシだ。
   わたしはそう考えています。


 Hi-waitさん

    >確かに、最近の金融機関の腐敗は、目に余るものがありますね。

   単なる腐敗の域を超えています。
   開き直り、自分の不始末を棚に上げて他人を恐喝している点ではヤクザと同じではないで
   しょうか。

    >財政改革と言っても、その前に政治家、国民が変わらなきゃあ……

   そう、国民も変わらなきゃならないんでしょうね。でも、特に若い人ほどそうならないと
   損しますよ。今の「偉いさん」は全部、若い人間にツケを回すつもりですから。


 SS忍者 薔薇影さん

    > 支店長と足立のやり取りが作品全体をやや大人向きの味付けにさせておるものの、締め
    >の千鶴の呟きが良い清涼剤となって作品を潤しておるわ…。

   こんな地味な内容の作品にそこまで言っていただき、感謝しています。いやー、正直、ほ
   とんど反応ないんじゃないかと思っていたんで(苦笑)。


 無駄口の人さん


    >社会の歪みを直していくのは、結局大勢の弱者なんですよね。

   歪みは簡単になくなるものではないでしょうが、かと言って看過できるレベルではないと
   思います。

   いかん、どうもこの話になると冷静さを失ってしまう……。


 アルルさん

    >古い小説ですが角川スニーカー文庫に、『時空の果てのフェイブラリー(山本弘著)』
    >という本があります。言葉以外のコミュニケーションについての作品です。

   山本弘氏、というとわたしはどうしても「トンデモ本の世界」を思い出してしまいます。
   ま、自分の頭で考えろ、というスタンスは好きですが。ちなみにご紹介の本は存在は知っ
   ていますが、まだ読んだことはありません。機会があったら読んでみます。

    >今回は生活レベルのことではないようなので、ゲー
    >ムの性質上、東鳩の浩之や痕の耕一君は仕方がないように感じます。

   それはおっしゃる通りでしょう。恋愛シミュレーション(冷静に考えるとかなり変な言葉
   だなこれ)で、主人公を無視し続けるヒロインが出てきたら、購入した客から文句が出る
   でしょうしね(笑)。

    >この世に絶対は有りえない。
    > 絶対が無いからこそ面白いのだし、変化できるのだ。

   変化、かぁ。自覚して変わっていくってのは、望ましいかもしれないけど難しいことです
   ね。絶対が無い、と絶えず自分に言い聞かせているつもりだけど、何時の間にか自分も固
   定観念に囚われていないとは言い切れないし……。

   「囚われちゃ駄目だ」  ――夏目漱石『三四郎』より――

    >この国の旗を泳がせる風は、一体、誰がおこしているんでしょうね?

   やっぱりあなたは詩人です(笑)。わたしにはこんな表現は思い付きません。


 久々野 彰さん

    >私は昔は歴史の人だったんで・・・(笑)。南北朝が十八番でした。

   日本列島の歴史の中でも、かなり特異な時代だという認識があります。わたし自身はあま
   り詳しくないのですが。網野善彦の著作などを読む限りでは、この列島に住む人々が、現
   在とは異なる発想をしていた最後の時代。南北朝時代はわたしの目にそう映っています。

    >チェーザレの腹心の部下云々って確か・・・図書館にも残
    >してないリレー小説の時に書いたネタだったよーな(汗)。

   拓也「瑠璃子ぉぉぉぉぉぉぉ」
   祐介「瑠璃子さんっっっっっ」
   浩之「マルチぃぃぃぃぃぃっ」
   でしたっけ(笑)。
   即興小説コーナーに掲載された久々野さんの作品は、ほぼ全てフォローしています。
   "久々野ストーカー" R/Dと呼んでください(笑)。


 UMAさん

    >趣味ですから(汗)

   趣味、ですか。なんだか求道者のような趣味ですね(笑)。

   そうそう、上の「どすこいマルチ」のおはなしはUMAさんに捧げます。
   なお、返却は不可です。クーリングオフも認められません(笑)。


                                     R/D