疑問 投稿者:R/D
 沙織「ねぇ、祐クン」
 祐介「え? なに?」
 沙織「実は、前から気になっているんだけど……」
 祐介「ウン」
 沙織「月島さんと瑠璃子さん、兄妹だけど似てないよね」
 祐介「はい?」
 沙織「だってさ、月島さんといえばちょっと吊り気味で細い目でしょ。でも瑠璃子さんは目が
   大っきくて、おまけに垂れ目よ」
 祐介「そ、そう言えば……」
 沙織「ねぇ、もしかしたらさ、あの二人、血の繋がりが無いんじゃあ……」
 月島「なんだとおぉっ」
 祐介「わあっ、つ、月島さん、いきなりベンチの下から顔出さないで下さい」
 月島「そうか、そうだったのか、もしかしたらそうなんじゃないかと思っていたが、やはり、
   やはりそうだったんだなっ」
 沙織「あ、あの……」
 月島「だったら何の問題もないっ。そうだっ、僕らは兄妹じゃないんだからあっ。瑠璃子、今
   行くからなああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー」
 だあーっしゅ
 祐介「…………」
 沙織「…………」
 祐介「……どっちかが父親似でどっちかが母親似、じゃないのかな……」
 沙織「……そうだね」

 耕一「(じーっ)」
 梓 「な、何だよ、あたしの顔に何かついてるのかよ」
 耕一「……いや、見事な吊り目だな」
 梓 「何だとぉっ、吊り目で悪いかあっ」
 耕一「ま、待て、落ち着け、そうじゃない」
 梓 「何がそうじゃないってぇっ」
 耕一「だ、だからさ、姉妹の中でなぜかお前だけ吊り目だなって……」
 梓 「な……」
 耕一「だってそうだろ? 千鶴さんも初音ちゃんも垂れ目で楓ちゃんはまぁ普通かな、吊り目
   ってほどじゃないよな。なのに、お前だけは違うんだよな」
 梓 「……そ、それがどうしたんだよ」
 耕一「……もしかして、お前、子供のころ拾われたんじゃないのか?」
 梓 「んなっ……」
 耕一「ウチは貧乏だけど、隆山一のお金持ちの家でならきっとこの子も幸せになれる、とか言
   ってクリスマスイブの夜に柏木家の玄関で肌着にくるまれて泣いていたあの小さな赤ん坊
   がこんなに立派になって、ううっ」
 梓 「あーのーなー」
 耕一「んで、もしもそうならぜひ本当のお姉さんか妹を紹介して欲しいんだけど」
 梓 「はぁ?」
 耕一「いやー、お前の実の姉妹ならきっとグラマーだろうしなー。巨乳姉妹かぁいいよな男の
   ロマンだよなぁそんでもって俺の周りにはべらせて『おっぱいがいっぱい』のわんちって
   むほほほほほほほほほほほほほほほ」
 梓 「……あんたはセクハラおやぢかっ」
 耕一「いやだってほら、せっかく美人四姉妹なのにさ、お前以外はみんなバストが控えめな女
   性ばかりじゃないか。俺だってぐらまらすなおねいちゃんたちに囲まれてる方が……」
 千鶴「こ・う・い・ち・さ・ん?」
 耕一「はあっ」
 ごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごごご
 千鶴「い・ま・な・ん・て・い・い・ま・し・た?」
 耕一「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」

 志保「ちょっとちょっとちょっとヒロ聞いて聞いてよニュースよニュースっ」
 浩之「うるさいっ。お前のガセネタを聞いてる暇なぞないっ」
 志保「いいから黙って聞きなさい。そうしないと後で後悔するわよっ」
 浩之「絶対にそんなことは有り得ないっ」
 志保「あらそうそうなの後悔しないのいいわよ残念よねぇせぇっかく来栖川の美人姉妹につい
   ての大ニュースだっていうのにしょうがないわよねぇ聞きたくないんじゃねぇ残念だけど
   もうヒロにはお話しできないわねぇ」
 浩之「……ま、待て、先輩がどうかしたのか」
 志保「そうそう最初から素直にそう言えばいいのよ。まったく本当はあたしの話を聞きたいく
   せに無理しちゃって……」
 浩之「いいから早く言えっ」
 志保「あの二人、二人って来栖川の芹香先輩と寺女にいるあたしらと同期の綾香って娘のこと
   だけどさ……」
 浩之「それは分かってるっ」
 志保「……もしかしたら、本当の姉妹じゃないかもしれないのよっ」
 浩之「……はぁ? 何だって?」
 志保「だから、あの二人が姉妹だってのは怪しいのよ。よく見れば分かるけどあの二人、姉妹
   というには似てなさすぎるわよ……」
 浩之「……お前、眼鏡作ってもらえ。なんで似てないんだよ、似てるじゃねーか」
 志保「フッ。ヒロ、あんた背中が煤けて……もとい、ロングヘアに騙されているわよ。もう一
   度、あの二人の顔をよーっく思い出してみてちょうだい」
 浩之「なんだと」
 志保「……いいこと、芹香先輩はそれはもう見事なまでの垂れ目よ。けどね、あの綾香っての
   はね、実はかなり強烈な吊り目だったでしょ」
 浩之「あ……い、言われて見れば……」
 志保「フッ、やっと気づいたようね」
 浩之「じゃ、じゃああの二人、血の繋がりは……」
 志保「いえ、多分繋がりはあると思う」
 浩之「な、何故」
 志保「相手は天下の来栖川財閥よ。おそらく旦那さんが側室に生ませた子供ってところじゃな
   いかしら。当然、もう一方は正妻の子ね。そんでもって大奥で激しい権力闘争が繰り広げ
   られているのよ。いかにして自分の子供に跡目を継がせるかでそれはもー陰惨陰鬱陰険な
   争いが……」
 浩之「ま、待て、どっちが正妻の子でどっちが……」
 志保「当然、綾香が側室の子に決まってるでしょ。芹香先輩といえばいかにも深窓のご令嬢っ
   て感じだけどあの綾香ってのは男勝りの乱暴者で格闘技大会で高校女子の部とはいえ優勝
   までしてるんだからね。でもそれにも裏があって実は綾香はこれまで正妻が送り込んでき
   た数々の暗殺者からその身を守ってきたのよそうよあの格闘技はスポーツのためではなく
   華やかな表舞台からは姿を消した一子相伝の恐ろしい殺人術でそれの使い手であるあの娘
   は……」
 浩之「な、なんてことだ、あの綾香が側室の子だったなんて……」
 綾香「誰が側室の子だって?」
 浩之「うわぁぁぁぁぁぁっ」
 綾香「教えて、浩之っ」
 浩之「待て、俺の腕を取るな、こ、こら、関節を極めるんじゃなああああああああああああ」
 綾香「ねぇ? 誰が? だあああああああれがそおおおおおくしいいいつううのおおおおお」
 浩之「ち、違ああああう、し、志保が、志保がああああああああああああああああああああ」
 すたこらさっさ
 浩之「うああああああああああああ志志保保おおおおおおおおおおににに逃げるなああああ」

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 息抜きその2です。



 皆様、ご感想ありがとうございました。


 無駄口の人さん

  >こんなマルチの妹たちが大ヒットするなんて、人類もまだまだ捨てたもんじゃありません
  >ね(笑) やはり、安定感ゆえ? …で、ほんとに低コストなの?(爆)

   「部品の軽量化、小型化が不要となった分、お値段はお安くなっております。ただし、木
   造アパートでのご使用はお控えになった方が賢明でしょう」
                    来栖川電工カスタマーセンターのパンフレットより


 AEさん

   ご感想、ありがとうございます。とても喜んでおります。実は「ココロ」と「買い替え」
   「錯覚」を一番読んで欲しいと思っていた意中の人が、AEさんとまさたさんです。
   いずれも長い感想をいただき、本当に感謝しています。

    >けれど、決して忘れてはイケナイのは、「彼女達を人間と同一視しないこと」だと私は
    >思います。心に種類は無い、でもその箱が異なっている事を忘れては、いけない。
    >あくまで「奉仕の道具」であり、人間自身ではないのだという事を。

   なるほどそういう持論だったんですねぇ。正直、意外な感がします。
   わたしは道具は道具、それ以上でもそれ以下でもないと思っていますが。

    >私としては、この三つの錯覚が混じり合っていた、と考えたのですが・・・どうですか?

   出来上がった作品は読者のものでもあります。
   ですから、好きなように解釈して下さって結構です。
   AEさんの解釈が、AEさんにとっての正解です。

    > ところで・・・これを読んでいて、「あかりとマルチの心が入れ代わってしまった、
    >さあどうしましょ?」などというSSを読みたくなったんですが・・・誰か書きません?

    ――尾道にて――

   浩之 「さあ、AEさんのご希望だ。二人でこの坂の上から転げ落ちるんだ」
   マルチ「あのー、なぜでしょうか?」
   あかり「……浩之ちゃん。……ネタ、古すぎるよ」

   失礼しました(笑)。


 アルルさん

    >>その前にこいつを多少なりとも奇麗にしておくか
    >この言葉が、もう少し早ければ・・・そう思わずにいられない作品でした。

   ここで初めてメイドロボと同じところまで視線を下げた、それまでは見下ろして
   いたということですか。
   鋭い指摘ですね。

   たとえ自分の書いた作品でも、一度提示されたら、それは読者のものにもなる。
   そう思わせられることが相次ぎました。
   アルルさんの指摘も、わたしにとっては新鮮な驚きです。


 久々野 彰さん

    > 梓ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――そんな奴は無視して私のところに来なさぁ
    >ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい。はあはあはあ。

   差し上げます(笑)。ついでに上の「セクハラ耕一」もおまけに付けます(^^;


 ゆきさん、くまさん、アクシズさんも、ありがとうございました。



 んで、またも個人的ファンレター、シリアス編です

  OLHさん
   「夢の中」シリーズ、いろいろと考えさせられました。
  ハイドラントさん
   「父から二人へ、祝福を」、とても面白かったです。
  睦月周さん
   「夏夜の子守り歌」、楽しみに読んでます。
  無口の人さん
   「野に咲く花」、グッと来ました。
  風見ひなたさん
   鬼畜雅史を操る方法を橋本に教えた本を監修した月島拓也、大好きでした。

 さて、仲間はずれはどれでしょう(笑)。

                                    R/D