鬼騎士(エルクゥナイト)ジローエモン 第七話 投稿者: ROSSO

第七話 蘇る第一の『狩猟者』

創師アズセアの元で武器を手に入れた獅堂初音・龍咲楓・鳳凰寺千鶴の三人は、セリオに導かれて『伝説の狩猟者』の眠るという場所に向かっていた。…セリオの出したバスに乗って…。
「ねえセリオ、今どこに向かってるの?」
「ぷうぷう」
「ふ〜ん、そうなんだ…ところでね、セリオの好きな物って何?」
「ぷぷぷうぷぷう?」
「うん、食べ物。なにが好き?」
「ぷう」
「えっ?なにもないの?」
「ぷうぷうぷぷう」
「そうなんだ…セリオは何も食べないんだね…かわいそう…」
「ぷぷう〜…」
初音は先ほどから、バスを運転しているセリオと会話を弾ませている。
セリオは相変わらず無表情である。
…本当に会話が成立しているのだろうか…。
楓はバスの後部座席で横になってかわいらしく寝息をたてている。
「むにゃ…耕一さん…」
あ…よだれ…。
そして千鶴は…
しゃり…しゃり…
「うふふふふ……」
げ…包丁研いどる…。
どうやらアズセアがくれた武器がお気に召したらしい。ときおりその刃をうっとりと見つめ、また研き始める。
…どうにも『鬼に金棒』以上の何かを感じさせる。
「あっ!二人とも見て!!」
初音が声を上げる。何かを見つけたようだ。
その声に楓も目を覚まし、千鶴とともに窓の外を見る。
バスの前方に何か建物が見える。
「……あれは…」
「神殿…?」
というか…それは一般的には『神社』と呼ばれるもののような外見をしているのだが…まあ神殿といいたければそれでよかろう。そう呼べんこともない。なにしろデカさが尋常ではない。
「…?」
突然、楓の身体が光を放ち始めた。
「!?…楓お姉ちゃん!?」
「どうしたの一体!?」
「…わからない…」
自分のことだというのに、楓はどうでもよさげである。
三人の乗るバスが、神殿(外見は『神社』なのだがあえて『神殿』と呼ぶことにする)の前に到着した。
バスから降りて、その神殿の前に立つ三人+1。
楓がすっ…と前に歩み出た。
「…楓お姉ちゃん…?」
「楓…?」
楓の目はうつろであるが、足取りは確かに前へと進んでいく。
「…この神殿に…『狩猟者』がいる…」
「えっ…楓お姉ちゃん…?」
ずんずんと進んでいく楓の後を当惑しながらついていく二人+1。
楓は巨大な扉の前で立ち止まった。
その扉が開く。そしてそこには…
「あれは…猫…!?」
死ぬほどデカい猫がいた。
「楓っ!危ないわ!」
その猫に近づいていく楓を千鶴が止めようとする。しかし、
「ぷうっ!」
セリオが千鶴の前に立ちはだかる。
「セリオ…!?」
そのとき。それまで目を閉じていた巨大な猫が、目を開き動き始めた。
楓に首を近づける。
「お姉ちゃん!!」
「セリオさん、楓は大丈夫なの?」
「ぷう」
楓はじっとその猫を見つめている。
猫が口を開き、重々しく声を発する。
「「我が名は 『エディフィル』・・・ 伝説の『鬼騎士(エルクゥナイト)』のみが触れることの出来る 伝説の『狩猟者』…」」
自分のことを『伝説の』っちゅうのもナニだと思うが。
「『狩猟者』!?『狩猟者』って猫のことだったの!?」
初音と千鶴は驚いているが、楓はまゆ一つ動かさずに『エディフィル』に手を伸ばす。
二人がその様をじっと見守っていると…
「くすくす…」
二人の背後からそんな声がした。
「「!?」」
二人が振り返ると、そこにはデカイ帽子をかぶった赤い髪、少したれ目気味の少女が立っていた。
「こ…子供?」
初音に言われてはおしまいである。
その少女は少し傷ついたような顔をしたが、
「…(ううっ…浩之ちゃん、私、頑張るからね…)…こんにちは、エルクゥナイトのお姉ちゃんたち」
と、顔を引きつらせながらもにっこりと微笑んだ。
「私の名前はアカリコット。浩之ちゃんに頼まれてお姉ちゃんたちを殺しに来たんだよ」
「ええっ!?」
「まあ」
「ぷう」
…驚いてないなこいつら…

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クソあついなか、みなさんいかがおすごしでしょうか。スゲえ歯がいてえROSSOでス。
歯医者いかずに歯の痛み押さえる方法ってないのかな…。
ではまた。