鬼騎士(エルクゥナイト)ジローエモン 投稿者: rosso
第3話 魔操師マサシオーネ (改訂版)

異世界トゥハートに召喚された初音・楓・千鶴は、彼女たち三人の前に現れた導師コーイ
チによって、三人が元の世界に戻るためには、伝説のエルクゥナイトとなってこの世界を
救うしかないということを伝えられた(ということにしておいてほしい…書いてないけ
ど)。
「マルロード姫はその『人気』でこの『トゥハート』を支えておられた…この『トゥハ
ート』では何よりも『人気』がまさるのだ」
トゥハートの崩壊のときは迫っているのだった…そして、三人の少女たちにも、神官浩之
の手が迫っていることを、彼女らは知るはずもなかった。なぜなら、彼女たちはいまだ
に導師コーイチのもとで、武器くらいよこせと駄々をこねているからである。
「だってか弱い女の子ですもの」
…要らんくせに。
「…分かった。そんなに武器がほしいか。」
あまりにも頑として譲らないので、ついに導師コーイチが折れた。
「ならば、創師アズセアのもとに行け。彼女ならお前たちにあう武器を造ってくれるはずだ…」
「…創師…アズセア…?」
「そうだ。この世界で最高の創師にして1,2を争う巨乳の持ち主だ…ってごめんなさいいぃぃぃ……」
三人にいっせいに睨まれてびくりと肩をすぼめる。どうにもこの導師はいわんでいいこ
とをつい口に出してしまうようである。
…と、そうこうするうちに、周囲がにわかに騒がしくなってきた。導師コーイチの周り
を小鳥達が飛び回りはじめ、そのうちの一匹が導師の肩にとまりなにやら耳うちする。
「…ん?どうした…レディジョイ」…鳥の名前らしい。鳥の言葉を聞きいたとたん、導
師コーイチの表情が変わり、あせりが浮かんだ。。
「なにぃっ!?…神官浩之の手の者が!?」
「浩之!?」
「…浩之って…さっきいってたマルロード姫をさらったっていう…?」
「…ということは完全に悪者さんですねぇ」
「…もう 間に合わん」コーイチがくやしげにつぶやく。
「えぇっ!?そんな、私たちまだ何の準備も…」初音は心底からあわてている。
「…耕一さん…私、信じてますから…」なにをだ。
「いや〜んこわいですぅ」…なにがだ。
「心配ないよ…初音ちゃん、楓ちゃん…」ちょんちょん「…はい?」くいっくいっ
「あ…あぁ、心配ないですよね?千鶴さんは」「……」にっこり。「ひぃっ!!」斬ッ…。
導師コーイチ…享年745歳。その死に顔は見るものをすら恐怖させるほどの苦悶の表情であったという…。
「じゃなくってぇ!!ああもう話が進まないじゃないですかっ!」実に頑健である。
「だって…耕一さんったら無視するんですもの…くすん」よくもまあ『くすん』などと
口でいえるものだが…確かにこのままでは話が進まないので仕切り直して先に進めることにしよう。
「『精猫召喚(クレフト)』!!」
導師コーイチの言葉とともに三人の目の前に光の柱が立ち上り、その中から巨大な猫が現れた。
「その精獣(タマ)にのっていけ」
「…お兄ちゃんは?」
「ここに残る…追手は私がくいとめる」
「そんな…お兄ちゃん!!」…とか言いながらすでに猫の上に乗ってやがる。
「コーイチさん…私…信じてますから…」まだいうか。
「あら そうですか?じゃ…すいませんけどよろしくお願いしますね。さ、いきましょう」…鬼か。…いや鬼だったなそういや。すいませんベタで。
「大丈夫だよ(心配してくれてないみたいだけど…)。お前たちを導き 『エルクゥナ
イト』となるべく見守るのがマルロード姫との約束…」
「お兄ちゃん!!」
初音に対してにっこりと微笑むコーイチ。
「いいから行け!西だ!西の『柏木の森』にアズセアがいる!そこで 武器と…セリオを!!」

「お兄ちゃ〜〜〜〜ん!!!」三人を乗せたタマはさっさとその場を走り去った。
タマが完全に見えなくなった次の瞬間、コーイチめがけてサッカーボールがスっ飛んできた。
「!!」
ズガアアアァァァァン。(……なんか気が抜けるなぁ…この『ズガアアアァァァァン。』ってのは…)
「くっ…いてて…危ないじゃないか!!ボールを人にぶつけるなんて!!」
…どうやら直撃したらしい。コーイチがボールの飛んできた方向を見ると…
「お久しぶりですね…導師コーイチ」
そこには、とても恥ずかしい衣装(マントつき)を身にまとった、とても人当たりのよ
さそうな顔つきの少年が巨大なハムスターの上に立っていた。
「…マサシオーネ…やはり浩之のもとにいたか」
「…なんですかその『やはり』ってのは」
「…いうまでもないだろ?」…たしかに。
「…とにかく…お話ししている間はないんです 導師コーイチ そこをどいてください
…さもないと…たとえ先輩であるあなたといえど…」
「…どうするというんだ?」
「『悪友召喚(クレシホ)』!!」
マサシオーネが杖を振りかざし呪文を唱えると、杖の先からオニオンヘッドな精獣が現れた。
『ヤッホ〜〜〜ッ!みんなのアイドル志保ちゃんでぇ〜〜〜す!!元気ィ〜〜!?』
などと理解不能な鳴き声をあげている。じつにおぞましい。
「まともにやりあってもあなたに勝てるわけないですからね…僕の目的はあの『エルク
ゥナイト』の卵たちの抹殺です しばらくの間 それの相手をお願いします…その間に
あの子達には…死んでもらいます」
マサシオーネはそういってくるりと向きを変え、三人の少女達を追い始める。
「待て!!マサシオーネ!!こんな梓みたいなうるさい奴はいやだ!せめてお前の姉ちゃんぐらいよこしてからいけ!!」
コーイチのそんなナメた申し出は、
『ちょっと〜〜わたしじゃ不満だってーの?こんな超絶美少女があんたなんかの相手し
てあげるんだから超絶光栄におもいなさいよ!!』
というこれまた理解不能の雄叫びによってかき消された。
「では また…導師コーイチ」
走り去るハムスターを険しい表情で見つめる導師。
(異世界より召喚された『エルクゥナイト』たち…もしマサシオーネごときに敗れる
なら…『狩猟者』を蘇らせ『鬼騎士』になる事など不可能だ……『鬼騎士』の真の敵は
マサシオーネなど問題にならぬほど強い………異世界の少女たちよ 数々の苦難を乗り
越えこの『トゥハート』を救ってくれ!!)
「何?私は無視?いい度胸してんじゃないのよ〜」

一方、三人の少女達は、タマに乗ってひたすらに柏木の森へと向かっていた。
「…お兄ちゃん大丈夫かなぁ…」
「…大丈夫だと思う…千鶴姉さんの攻撃を受けて死なない人だから…」
心配する初音を楓がなぐさめる。…それにしても消極的な大丈夫さもあったものである。
「うん!そうだね!」
…納得するほうもするほうだ。
「くすん…ひどいわふたりとも…ほんのちょっとコーイチさんにツッコミいれただけ
じゃない…それじゃまるで私が化け物みたいじゃない…」なにをいまさら。
そんな会話を交わしていると…はるか後方で、
『なんでこの志保ちゃんの出番がこれだけなのよ〜〜!』
という断末魔の叫びが聞こえた。
「!?…お兄ちゃん!?」
「…なんの声でしょうか…?」
「きっとコーイチさんが浩之だかの手下をやっつけちゃったんでしょう」
「だったら…あの人はだれ…?」
初音の指差すほうを見ると、巨大なハムスターが猛烈な勢いで追いかけてくるではないか。
その上に乗っている男が杖を振りかざす。
「『蹴球投射(ドライブシュート)』!!」
その声とともに無数のサッカーボールが初音たちに襲いかかる。
「きゃああぁ!」
「…やっぱり…味方じゃないみたいね…」
「じゃあ、コーイチお兄ちゃんは…!!」
「ちっ…役に立たない…」
ハムスターが初音たちの乗る精獣(たま)の前にまわり込んだ。
「!!!」
「はじめまして異世界からきた…『エルクゥナイト』の卵さんたち…僕の名は
マサシオーネ…さっそくだけど死んでもらうよ」
にっこりと微笑む。…どうにも先ほどからさわやかである。
「あら…恐いですねぇ…」
千鶴がお返しとばかりににっ…こりと微笑み返す。ひんやり。
しかしマサシオーネはたじろぐことなく、
「あなたたちをエルクゥナイトにするわけにはいかないんだ。浩之のためにもね」
と返してのけた。たいしたものである。
「どうして私たちの邪魔するの!?マルロード姫がいなくなったら、この世界は滅んでしまうって知っているの!?」
楓が「あっ…」といった顔をする。
「…(初音…今はまだそのセリフ言う場面じゃないよ…)」
「…(えっ…ほんと?ど・どうしようまちがえちゃった…)」
「…(かまやしないわよ…どうせまともに話進むはずないんだから…)」
「…(う…うん、そうだね!)」
大きなお世話だ。
「うん…知ってるよ それがどうしたの?」
何事もなかったかのようにアドリブでこなすマサシオーネ。
「マルロード姫はこの世界を支える『柱』なんでしょ!?そのマルロード姫が
神官浩之にさらわれたのに…!!!」
…どうやらこのまま一気にゴリ押ししてしまうつもりのようだ。…別にいいけどね…。
「僕はその浩之に仕えてるんだよ」
「どうしてそんな奴に!?」
マサシオーネは、ウットリと微笑んで…
「浩之を…愛しているから」
そう答えた。
「えっ…えええええぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!」初音は凍ってしまった。
「………不潔(ぼそっ)」…楓である。他のキャラと間違えないよう。
「ほもっ!?」…意味不明の声を上げる千鶴。
「浩之が喜んでくれるなら…僕は何でもする…自習のプリントだってみせてあげるし
貧乏ゴキブリをオトすためのバトルッチだって喜んで譲ってあげる…CGが
BADエンド扱いされたって某ワイトアルバムのエセ親友みたいに"殴り倒す→蹴る→
蹴る→蹴る→蹴る〜→『ごめんね…』"なんて山崎竜二のドリルばりのコンボを決めたり
なんて絶対にしない……なのに…なぜ…なぜ僕のほうを向いてくれないんだ浩之…僕の浩之!!」
どうやらイッちまったようである。誰か止めないと話が進まないのであるが…
初音は凍ってしまっているし、楓は見るのも汚らわしいといわんばかりの顔をしてお茶を
すすっている。千鶴はというと、「PS版には雅史シナリオあるのかしらねぇ…あるとし
たら…やっぱり『実は女の子でした』ってことになるのかしら…それとも…ほ、ほももも
っ?」などとほざいている。こっちを先に止めるべきか。
ぶるぶるぶる…
「…ん?」
トリップしていたマサシオーネをこちらに連れ戻したのは、彼の足元の奇妙な振動であっ
た。見ると、彼の乗るハムスターがビクビクとおびえているではないか。体は小刻みにゆ
れ、目には恐怖がありありと見て取れる。今にも泡を吹き出し卒倒せんばかりである。
対して、三人の乗るタマは…
「…えっ?」「…?」「…そして修学旅行…それは二人の禁断の愛の逃避行…あら?」
…目の前にいる獲物に気を高ぶらせている。その目には狩猟者特有の輝きにあふれ、戦闘
力はスカウターを壊さんばかりに上昇している。
そして…カリノジカンダ。(BGM:鬼神楽)
たまのにらみ!!
ハムスターはひるんだ!
ハムスターはひるんでいる!!
たまのネコジャンプ! 
ハムスターは逃げ出した!(ちなみにこの時マサシオーネは振り落とされた)
しかし回り込まれてしまった!!
たまのネコジャンプ!!「にゃーーーん!」(攻撃)
げしっ(つかまえた)
べしっ(まず一発入れてひるませる)
ぱくっべしべしべし(しっぽをくわえてたたきつけまくる)
ぺしっげしっどかっ(もてあそぶ)
ぱくっがりっごり……(ごちそう)
そして…あとにはなにも残らなかった…。(あえて言うなら振り落とされて気ィ失ったマ
サシオーネだけである。)


…場面転じてここは学校の教室。
「…ふん…マサシオーネの奴失敗したみてぇだな…。」
「ふん…なっさけないやっちゃなぁ」
「ほんとだネ…あんな貧乳に負けるなんてネ」
周囲はマサシオーネへの嘲笑で満たされている。
「ねぇ浩之ちゃん 私に行かせてよあのお姉ちゃん達と遊んでみたいな…」
「…いーだろ…アカリコット…」
神官浩之がにやりと笑う。
「ふふふ…いってきます」
…ちょっと待て。こいつの出番はまだ先…まいっか。


ぴろぴろぴろぴろ……きょうはだ〜れだ?
ぴろりん  きょうは 矢島!
「…矢島シナリオってできねえかな…」
無茶言うな。

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…そう言えば…すごく大事なこと忘れてましたね。みなさんはじめまして。ROSSOと
申すものです。(…3話めですけど。)挨拶を忘れるとはなんとも失礼なことを…
それはともかく、あんな駄文でも感想をくださる方がいらっしゃるとは…感激でございま
す。やはり感想はうれしいものですねぇ…なのにまたこんな駄文を…平にご容赦を。とこ
ろで、本家の即興小説コーナーでトンでしまったSSには自分の"えるくぅ〜"も入っていたのでちょっとショックでした。
この第3話も本家のほうに投稿したんですけど、次の日(7・22)に見たら「ふぁいる のっと ふぁうんど」になってたんで…こちらに。