鬼騎士(エルクゥナイト)ジローエモン 投稿者: rosso

第2話 異世界トゥハートと導師コーイチ

異世界に召喚された初音・楓・千鶴。公園のような場所に放り出され途方に暮れる三人。…いや、途方に暮れているのはどうやら初音だけのようである。楓はベンチでうとうととねむりはじめ、千鶴はというと 茂みの中でちちくりあっているアベックを覗いている。
「ち…千鶴お姉ちゃん…」同学年…ということになっているのだが、なぜか"お姉ちゃん"をつけて呼ぶ初音。自分が幼いのを自覚しているのか、それとも千鶴が16歳というのが納得できないのか…
「貴方にはまだ早すぎます!…うわあ…あ、あんなことまで…」こっちも設定忘れて「妹」扱いである。ちなみに、茂みの中からは「あっ…祐クン…」「沙織ちゃん…もうタオルがぐっしょりだよ…」などと聞こえてくるが、何をしているかは不明である。
「あ…あらら〜…そ、そんなことまで…」・・・恥も外聞も忘れているんじゃなかろうか。「…お姉ちゃん…。」
「いつまだやっとるんだ」唐突な第三者のツッコミに楓も目を覚まし、三人はその声の主を見る。そこには…眉毛がわかれた髪の毛ボサボサの6,7歳…いや、もっと小さいか…くらいの少年がたっていた。
「わぁっ耕一お兄ちゃんかわいいっ!」「…黒服の男たちに変な薬でも飲まされたんですか…?」「まあぁ…昔を思い出しますね…(じゅる)」よだれをたらすな。
「ちょっ…三人とも!セリフ違うセリフ!今は導師コーイチなの!」
「じゃあ、コーイチお兄ちゃんでいいでしょ?あ…でも今はちっちゃいから"コーイチ君"かなあ?」「……(頬を赤く染めてじっ…とみつめている)」「うふふふ…逆光源氏…クスクス…(じゅるるっ)」
「ああもう…とにかくやり直しやり直し!」
うん、そうしたほうがよかろう。
「じゃあ…え〜っと………あれ?」「あ、お兄ちゃんもしかしてセリフ忘れちゃったの?」初音が手厳しいツッコミを入れる。「ち…違うって!ちょっとタイミングがつかめなかったの!」
恥ずかしいやつである。
「ゴホン!…お前たちが姫の召喚した鬼騎士(エルクゥナイト)たちか…なんだ…まだ"貧乳"ではないか………って ええっ!!?」ここまでセリフを読み上げて、導師コーイチは血の気が引くのを感じた。
「ひっ…ひどいよお兄ちゃん…私…私…」初音は今にも泣き出しそうである。
「………(無言)」楓は頭に『が〜ん』という文字をのっけてしゃがみこんで土いじりを始めた。そして千鶴は…
「ひィっ!!!」導師コーイチは息を呑んだ。背筋が凍る。
「こ・う・い・ち・さ・ん・? い・ま・な・に・を・い・っ・た・の・か・な・?」
「あっ…あのですね千鶴さんっ!今のは違うんです俺がいおうとしたんじゃなくてセリフがそうなってたわけであっそういえば千鶴さん今16歳ってコトになってるんでしょだったらこれから大きくなるかもしれないじゃないですかそれに千鶴さんはなくても十分魅力的ですってばていうか俺はないほうがそそるしそれに胸がないからこそちづるさんなんじゃないですかってうわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
絶体絶命の危機においても本音が出るとはなんたる正直者…というより阿呆である。

「と…とにかく…この…世界は…今…滅亡の…危機…に…ある…お前たちは…伝説の…鬼騎士(エルクゥナイト)となって…この世界を…救って…欲しい…いや、ていうか…できればお願いします……」世界の滅亡以前に自分が瀕死の重傷を負っているにもかかわらず、息も絶え絶えに語る姿はあっぱれではあるが、いかんせんいささか舌足らずである。三人の少女たちには何の事やらさっぱりである。
「え…えっと…つまり…ここは"トゥハート"って世界で…その"マルロード"っていうお姫様が神官浩之って人にさらわれたんで滅びかけてるんだね?」
「…それで私たちがこの世界を救うために召喚された…と」
「そして、コーイチさんは私たちを導くために現れた外見6・7歳以下実は600ゥン歳の導師さん…という設定でいいんですね?」
「設定って…まあ…そういう事です」もう傷が治りかけているようだ。おそるべし鬼の回復力。
「質問してもいい?どうして私たちなの?」「…だってあっちの世界で最も戦闘力高いの君たちだろ?」…その通りである。
「…質問その2…どうしてその…神官さんは姫をさらったりしたんだすか?」
「……『だすか』?」三人声を合わせて聞き返す。「っ!……ですか…」あわてて言い直したが遅かった。コーイチは笑い転げ、千鶴は腹を抱えてうずくまり肩を震わせている。
初音は、「わ…わらっちゃだめだよ!だれだって言い間違いくらいあるよ!…ぷくくっ」…と笑いをこらえ顔を引きつらせながら楓をなぐさめている。…目に涙を浮かべながら。
これがいかに屈辱的かをこの少女はわかっていないのだ。ヘタな優しさは時として千の罵詈雑言よりも鋭く心をえぐる。楓はもはや再起不能ではないかと思われたが、何とか持ちこたえたようだ。心に一つ強い支えがあるものは追いつめられた時しぶといものである。しかし、さらに暗くなることは間違いなかろう。
「…はぁ…ゴメンゴメン。…で、なんだっけ?なんでさらわれたかだっけ…それは…なぜ神官浩之がマルロード姫をさらったかはまったく分からない(事もないんだがなぁ…俺も何度か姫を襲いかけたし…)。」
「こっ!コーイチさん!なんてことを!」
「いっ…いや、実際にはケツさえ触った事ないんですよ!…ってなんでわかったんですか!?」
「コーイチさん…最低です…」
「お兄ちゃん…ホントは違うよね?そんな人じゃないよね?」導師コーイチ2度目のピンチである。
「う…ううう…ほっ…他に質問は?」・・・逃げた。
「あっ…ええっとですね…」どうやら何とか話をそらす事に成功したらしい。…しかし…
「素朴な疑問なんですけど…どうしてそのマルロード姫がさらわれたくらいでこの世界が滅ぶんですか?」
「え…そりゃぁ…だって…マルチのいないトゥハートなんて孫悟空のいないドラゴンボールみたいなもんだろ?」
…ヤバい。これは問題発言である。マルチをTO HEARTの主人公といってのけたのである。マルチ以外のキャラのファンに脊髄をいただかれちゃっても文句は言えまい。今ここで謝罪しとくべきか。どうもすいません。
「…とにかく…これまで多くのマルロード姫フリークが神官浩之に勝負を挑んだが、皆戻っては来なかった…お前たちが最後の希望なのだ…頼む、伝説のエルクゥナイトとなってこの世界を救ってくれ!」
「そんな…無理だよ、そんな強い人に武器も持たずに勝つなんて…」
「そうですよ…私たちはただのか弱くて超かわいい女子高生なんですから…」・・・密かにあつかましい
「……(こくこく)」先輩ではない。念のため。
「……無理か?」「…え?」「本当に無理なのか?ほんっと〜に武器なんかが要るのか?」コーイチの疑いのまなざしが三人にむけられている。無理もない、先ほどのコーイチの傷はまだ完治していない。よほどひどい傷だったのだろう。そしてその傷を導師コーイチほどのものに負わせたのは、まぎれもなくこの"自称"ただのか弱い女子高生なのである。
「ほんっっっっと〜〜〜〜に無理だと思ってるのか???」
「うっ……」
じぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜。
「そ…そんなにみつめちゃいやですぅ」
……もう一度謝罪しておいた方が良いだろう…本当にすいません。



ぴろぴろぴろぴろぴろぴろ…・・・きょうはだ〜れだ?
ぴろりんっ  きょうは 月島!
「…みんなは月島ときいてなにを思い出すかな?僕は昔某週刊少年雀腐で連載されていた"心理捜〇官 草〇 葵"って漫画の作者の月島 薫という人を思い出すんだが…誰も知らないかそんなこと…ふ…ふふふ…」

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さらにもう一度いっておきます。すいません。自分はマルチより他のが好きなんですけど…。…やっちまいました第2話。今回はセリフが全然原作に忠実ではありません。…なお、前回のことで、「高1が修学旅行にはいかんだろう」とお思いの方、許してやってください。あと、「以上→異常」とか、「公舎→校舎」などの誤字もあったりして、お恥ずかしい限りです。"心理〇査官 〇薙葵"についての感想、お待ちしています(激嘘)