電葉戦機バーチャリーフ・第7話 投稿者:T-star-reverse 投稿日:6月10日(日)00時08分
第7話 信じる気持ちは正四面体


「くっ……早いっ!」
 その言葉通り、相手のスピードは異様なまでに早かった。
 駆動系に一切のダメージを受けていないのか、鮮やかな動きを見せる。
 無重力下という特殊な条件下で、敵機は一糸乱れぬフォーメーションで
彼女たちを翻弄した。
 これまでの戦闘で、数多くの仲間が倒れた。


「耕一さん……」
 千鶴は、バイパー2のレーザーを放ちつつ、高速ライデンの姿を追った。
 ボムとレーザーでほとんどの攻撃を無効化し、逆にバズーカを放ってくる。
 そんな機体の動きを見つつ、千鶴はある確信をしていた。

『相手の動きさえ止めることができれば……勝てる』

 数に勝る彼女たちが、いくら性能に差があるとはいえこれほどまでに
不利な戦いを強いられているのは、ひとえにその機動力の違いにつきる。
 マインの追尾速度はそのスピードに追いつけず、レーザー等の高速度攻撃は
即座に反応してその射線から逃れてしまうのだ。
 ……いや、射界に入らないと言った方が正しいだろうか。
 当てることが出来なければ、当てるための攻撃は全てが無駄なのだ。

「少しの間だけでいい……三人の動きを制限できれば……」
 千鶴は敵機から放たれた攻撃を回避し、そのまま距離を主戦場から離した。
 呼吸を整え、冷静に戦況を確認する。
 
 あかりと梓、そして葵が主となって敵の攻撃を凌いでいる。
 芹香は戦闘不能になった機体を流れ弾から守っている。
 ……もとより、ドルドレイとの戦闘でかなりのダメージを受けているのだ。
 マルチとセリオはそんな彼女のフォローをしている。
 そして、琴音は必死にマインとリングを発生させていた。
「……楓? 初音?」
 そこで千鶴は、視界内に二人の妹が見あたらないことに気づいた。
 その特徴的な機体……バル・シリーズはこの場に全部で4機。
 浩之のバル・ケロス。
 琴音のバル・バス・バウ。
 そして初音のバル・バドスと、楓のバル・バロスである。
「……まさか」
 鷹の如くに空に舞い上がった千鶴は、そこでやっと二人の姿を確認できた。
 敵の三機をこちら側と挟みこむような位置で、ビットを配置している。
 そのことに気づいているのは……恐らく、自分だけ。


 ……味方では、の話だ。


「楓! 初音! やめなさいっ!」
 千鶴の叫びも空しく、二人の機体は同時に浮かび上がった。



「初音、準備はいい?」
「うんいいよ、楓お姉ちゃん」
 千鶴たちのいる位置と二人の位置で、耕一たちを中心に正三角形を描く。
 その位置で、二人が自分の周囲に手足のERL……ビットを固定する。
 センターゲージが満タンになり、二人の機体が同時に舞いを始めた。

「……やめなさいっ……」

「!」
「!」
 千鶴の声がスピーカーからかすかに届いた。
 恐らくは、通信可能距離ギリギリなのだろう。
 その言葉の意味に気づく前に、結論だけが全てを物語り始めた……。



「!?」
 敵が全機、突然背後にダッシュを始めた。
 すわ、逃げるつもりかと後を追う葵。
 直後、彼女の操るバトラーの鼻先を、緑色のレーザーが掠めていった。
 瞬時にブースターを止め、慌てて機体を停止させる。


 それは、粒子の雷。
 それは、破壊の雨。
 脚のERLから手のERLへ中継され、手のERLが狙いを定めて放つ。


 リ フ レ ク ト
 『反 射 す る』レーザー。


 見た目の派手さ、そして破壊力共に最大級の大技である。
 左右から迫り来る奔流を、しかし三機の敵は見もせずにかわす。
 そして、そのレーザーはそのまま、対角線上の二機に襲いかかった。

「あっ……!!」
「きゃあっ!!」

 どんっ!

 緑色の奔流が二人を包もうとした刹那、突如としてその機身が滑るように
その場を離れるように動いた。

「「「えっ……?」」」

 初音、楓、そし千鶴の三人の驚きの声が重なった。
 緑色の奔流は、そのままそこにあるものに叩き込まれる。


「間に……あったぁっ!!」


 傷つき、既にぼろぼろのバイパーの姿が。


「……良かった……」


 そして、片手を突き出した姿のベルグドルが。

 機体を射抜かれ、かすかに聞こえた声もノイズが流れるだけとなる。

「あ、ああ……あ……」
「雛山さんっ! 藍原さんっ!」

 呆然と、自分たちを助けてくれた機体を瞳に映していたのも一瞬のこと。
 すぐさま、攻撃をかわした敵からの攻撃がその視界を揺らす。
 慌てて距離をとり、追撃から身をかわす。
「楓! 初音!」
「ねえさん……」
 抑揚のない、かすれるような楓の声がスピーカーから流れる。
 今の出来事が、それほどにショックだったのだろう。
「……楓、初音、よく聞きなさい」
 千鶴は、あえて感情を押し殺した声で言う。
 今は、感傷に浸っている余裕などないのだ。
「普通に攻撃しても、耕一さんたちには当たらないわ」
「……じゃあ、どうやって……?」
 初音の声。
 こちらも、声が震えている。
「まずは、相手の動きを止めることが先決、そして……」
 その後に続いた言葉を聞き、初音と楓がこくりと頷き返す。
「それじゃ……お願いね。私たちは相手の気を引くから」
 そう言うと、千鶴は他のメンバーに向けて通信を開く。

「最後のチャンスよ! 全員で一斉に攻撃を仕掛けます!
 できる限り、相手を一カ所にまとめてください!」


 その通信を流した瞬間、敵が一斉に散開しようとする。
「やはり……相手は、こちらの動きをすべて把握している!!」
 いくら機動性能に違いがあるとはいえ、背後から仕掛けた攻撃すら、
軽々と回避されていた状況を、誰しも少なからず異常には思っていた。
 恐らくこの無重力空間内の行動は、全てモニタリングされているのだろう。
 そして、それはそのまま、祐介・耕一・浩之を操っているものによって
彼らの行動へとフィードバックされるのだ。
「でも……させませんっ!」
 千鶴がレーザーの速射で敵の進路を阻む。
「と、通さないよーっ!」
「ここは……命に代えても通しません!」
 あかりがハンマーで、葵がトンファーで、相手の離脱をそれぞれ塞ぐ。
「マルチさん、私たちの出番です」
「は、はいっ! セリオさん頑張りましょう!」
 今まで徹底したサポートに回っていたマルチとセリオも、それぞれ
攻勢に回る。
「…………」
 芹香も、できるだけ防壁を絶やさないように攻撃を放つ。
「もっと……もっと速く……!」
 琴音は、もとよりフロートマインなどで敵を妨害している。
「それそれそれーっ! 攻撃だけがこいつの使い方じゃないぞっ!」
 そして梓は逆に攻撃そのものを緩め、相手の行動を阻害する電磁ネットを
あちこちに連続して張り巡らせた。
 その猛攻は、一瞬相手をそのまま撃破するかに見えた。
 しかし、もともと相手を攻撃するための攻勢ではないため、次第に
全機体が傷だらけになっていく。

 しかし、逃がさないための攻撃は、たとえ相手に当たらなくとも有効だ。

 そして、ついに「その時」が来る。

「……今! 初音!」
 楓が叫ぶ。
 その瞬間、バル・バドスが祈りを捧げるようなポーズを取る。
 両手・両足共に外された状態のERLが、一瞬にして空間を飛ぶ。
 四方に散ったビットは、互いを繋ぐ光を展開する。
 そして、正三角形を4枚組み合わせた形、正四面体の結界は完成した。
 閉じこめられた3機は、結界の壁に向けて攻撃を仕掛けるが、それらは全て
光の壁に阻まれ、外部への干渉を許されなかった。



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           電脳疑似空間
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「あ、このお茶おいしー」
「いいのかなー、こんなにのんびりしてて」
「うーっ! 退屈よ退屈! つまんな〜い!」
「ええ加減にしいや! 五月蝿いわ!」
「お前ら……少し静かにできんのか……」
「加奈子ちゃん、どこも痛いとことかない?」
「気にするほどのことじゃないってば」
「くすくす……」
「結局、ここから出る方法ってそれしかないわけ?」
「行動を起こすとすれば、それ以外の選択肢はないだろうね」
「三人共、だからいないのネ?」
「心配だわ……あ、男なんかじゃなく梓センパイのことよ」

 がやがや。
 その部屋は、もはや満員と言って差し支えない混雑ぶりであった。
 現実世界でリタイアしたメンバーが、全て閉じこめられているのだ。

 半ば無意味な雑談をしているメンバーはともかく、部屋の中央、拓也を
中心にして、綾香、レミィ、かおりが、脱出方法について話し合っていた。
「ここから脱出できる可能性のあるだろう『扉』はたった一つ。
それを壊せば、あるいはここから脱出することも可能かもしれない」
「そしてそこに、浩之たち3人、ついでに好恵が行ってるわけね?」
「ああ、そういうことだね」
「それじゃ、アタシたちも行きまショウ!」
 レミィが丁度そう言った時、拓也の後ろから志保が首を突っ込んできた。
「ちょっとぉ、黙って聞いてれば、ずいぶん都合のいい言い草じゃない?
脱出方法が解ってるならあんたたちで何とかしなさいよ」
 その言葉に、苦笑しつつ答える拓也。
 祐也も、憮然としながら会話に参加してくる。
「あいにくとね、僕らではちょっと無理なんだよ」
「ふん……不本意だがな」
 志保の文句が発端となって、続々と全員が話に参加し始める。
「まあ、私達で出来ることならやってもいいんじゃない?」
「わたしはとにかく早く戻りたいし……」
「でも、勝手の分からない場所でうかつに動くのも……」
「えっと、私は……きゃあ!」
 みんながみんなで前に詰めかけて発言しようとしたため、理緒が躓いた。
 彼女の身体は不自然なくらいに宙を舞い、拓也めがけてダイブする。

 すかっ。

「!!?」

 べちっ。

 拓也が受け止めるかに見えた理緒の身体は、何に阻害されることもなく
床に激突した。
 そしてその瞬間、その場にいた祐也以外の全員の顔が驚きで満ちた。
「あ、あんた……その身体……?」
「……うん、これが僕らが『扉』の破壊に向かえない理由さ」

 拓也の身体は、理緒が通り過ぎた部分そのままに薄れ、歪み、今にも
消えてしまってもおかしくない程に虚ろになっていた。

「僕らは、君たちが、彼らが来る前からずっと、扉を破壊しようとした」
「……だが、扉は堅く、しかも一定づつのダメージを与え続けない限り、
自動的に修復してしまう。だから俺たちは交代で扉を破壊しようとした」
「その無理がたたって、僕らはこの空間での存在が希薄になってしまった。
幸い、扉へのダメージが残っているうちに三人が来たから、消滅はなんとか
免れたわけだけど……」
 そこまで聞いて、綾香がぽつり、と口を開いた。
「このままだと、浩之たちもそうなるってわけ?」
 無言で頷く拓也。
 それを聞いて、綾香はすっくと立ち上がる。
「行く気か?」
「当然。好恵も行ってるんでしょ? だったら行かなきゃ嘘ってものよ」
 そんな彼女に同調して、次々と立ち上がるメンバーたち。
 ほぼ全員が、部屋を真っ先に飛び出した綾香を追って駆け出した。

「お兄ちゃん」
「瑠璃子……うん。行っておいで」
 最後に残った瑠璃子が、拓也に声をかける。
 拓也がほほえんで返事をすると、瑠璃子も微笑みを返して駆けていった。

「……あれだけの数がいれば、あるいは……」
 祐也が呻く。
「いや、数だけじゃありません。彼女たちの心は、一途に純粋です」
「俺たちとは違う……か」
「ええ。これなら『タングラム』もひょっとしたら……」
 そこまで言って、不意に厳しい顔になる拓也。
「……あとは、現実側が保ってくれるかどうか……」



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 ごぅんっ!!

 轟音とともに、機体が叩きつけられる。
 無重力空間が解除され、全てが万有引力の下に等しく放たれたためだ。

「……やり……ましたね……」

 千鶴の声が、わずかに無事なメンバーの耳に届く。
 全員が張りつめた糸を切ったような脱力感に襲われ、ぐったりしている。

 しかし、誰もがわかっていた。
 まだ、全てが終わったわけではないのだ。
 全員が全員憔悴感を漂わせたまま、通路の奥へ目を向けた。
「……来る」
 相変わらず地上では活動できないバルバロスを横たえたまま、楓が呟く。
 ゆっくり、ゆっくりと、わずかな地響きを立てながら、それが近づく。

 まず見えたのは、巨大な砲身。
 ゆっくり、ゆっくりとその全体像が見える。

「――拠点制圧用巨大兵器、ジグラット」

 そう呼ばれたその機体は、無造作に目標を探し始める。
 その機上に、水晶体で出来たようなまた別の機体が見えた。
 表情のないはずのその頭部は、鈍くいやらしく光って見えた。

「――純物質機、アジム」

 セリオの声が、淡々とその名称だけを告げる。
 ゆらり、ゆらりと動き出す機体。
 ジグラットが、動きの取れないバルバロスにゆっくりと狙いを定める。
 アジムが、いかにも嬉しそうにもったいつけた雰囲気で指をさす。
 そしてそこには、生き残った全員が集結を始めていた。
「これが、最後だよ」
「……きっと、なんとかなります」
「思い切り、全力で行くしかないね」
「………………」
「うん、頑張らないと」
 誰からともなく、肩を寄せあう。
 誰からともなく、手を繋ぐ。
 機体に残ったエネルギーを、全て一つにまとめるために。
 最後の最後まで諦めないために。

 一人だと、きっとくじけてしまうから。


 ジグラットの砲口の奥に、光が灯る。
 その光はそのままどんどん大きくなって、いつしか巨大な奔流となった。
 そしてその奔流は、身を寄せ合った物言わぬ機体たちを呑み込んでゆく。

 ……その光は、やがて巨大な砲身からは放たれなくなる。
 だが何故か光はそれでもそのまま、巨大な球形となってその場に留まった。
 微かに、影が見えた。
 両手を天に広げ、呑み込まれまいとしているようなその姿。
 だがそれも、すぐに光の中に消える。
 そしてすぐに、違う影が見える。
 先程とは違う方向に、両手を広げている姿。
 その姿も消え、さらにまた別の向きに両手を広げた影が見える。

 そうしているうちに、だんだんと光の球が巨大に膨れ上がってくる。

 驚いたような素振りを見せるアジム。
 慌てて、再度光の球に向けて指を向けた。
 ジグラットの砲口が、再び光を生み出しはじめる。
 そして奔流が溢れ出そうとした刹那。
「行くわよ!」
「了解!」
「……ん」
「うん!」
 光の球がいびつに膨れ上がり、そこから四つの光が勢い良く飛び出した。
 それらは渦を巻くように束ねられ、ジグラットの光と真正面から激突する。
 しばらく相殺し合っていたその光は、次第に束ねられた光が押し始めた。

「……カナ」

 声が、響いた。

「バカナバカナバカナバカナバカナバカナバカナ……」

 何も理解できない、何も理解しようとしないその声が、空しく響く。
 繰り返し、繰り返し。



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           電脳疑似空間
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「あらら」
「おいおい」
「なんだぁ?」
「なにしに来たのよ」 
 どやどやと部屋になだれ込んできた面々に、そんな声が掛けられた。
「決まってるわよ、そこの出口を壊しに来たんじゃない」
「来たんじゃない、って、沙織ちゃん……」
 平然と言い放つ沙織に、苦笑するしかない祐介。
 彼だけではなく、今までの作業でその辛さを理解している四人には、
到底楽観視できる意見ではない。
「言うほど簡単じゃないぜ?」
「……らしいわね、いつもお気楽ぷーなアンタが」
 普段見られない弱気を見せる浩之に、志保が悪態をつく。
 そんな弱気を吹き飛ばすように、綾香がぱちんとウインクをしてみせた。
「これだけ頭数がいるんだもの、きっと大丈夫よ」
「そうそう、千里の道も一歩から、一本より三本の矢ネ!」
 レミィもその意見に同調する。
 さらに智子が意見を述べる。
「どうせなら、バラバラに力ぶつけるより、まとめた方がええんと違う?」
「そうですね……はい、その方が効率がいいという結果が出ました!」
 瑞穂が追随し、場のムードは一気にそちらの方向で盛り上がる。

「……ははっ」
 不意に笑い声を上げた耕一に、怪訝な表情を向ける祐介と浩之。
 ちなみに好恵は綾香と喋っている。
「どしたんスか?」
「いや、な……俺達の出る幕じゃないなって思ってさ」
「……そうですね」
 苦笑する三人。しかし、すぐにその意見が真っ向から否定される。
「祐クーン! 私たちのリーダーなんだから指揮取ってよー!」
 意地の悪い笑みを浮かべる浩之と、苦笑するしかない祐介。
「そうでも……ないみたいだな?」
「あはは……」
 ともあれ浩之も耕一も、いつまでもここに留まるわけにはいかない。
 それぞれがそれぞれの思いを抱きつつ、その扉に向き合う。

 重く、暗い、鍵のかかった扉。

「いくよ、みずぴー」
「ターゲットロック……OK、いったよ、さおりん!」
「まっかせなさーいっ!」

 みんなの心を一つにまとめて。

「いくわよ、好恵!」
「言われなくても!」

 全ての気持ちを、一点に集めて。

「一点集中ネ!」
「今よっ! 琴音ちゃんはいないけど、シュートっ!」
「わ、私だって……ええ〜いっ!」

 膨れ上がった、想いの力を。

「なんやの、その消火器」
「あなたこそ、その鞄どこから出したのよ」
「なんでもいいから、思いっきりいくのよっ!!」

 まとめて、扉に叩きつけるっ……!

「主役には」
「主役の」
「意地ってもんがある、なぁ?」
「お前ら、この話の主役じゃないだろ」
「……泣かなくったっていいじゃないですか」

 そして、扉に亀裂が入る。
 そして、それがだんだん大きくなる。
 そして……!


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 押し合っていた光が、弾けた。
 弾けた光は、そのまま四方からジグラットとアジムを囲んで舞い始める。


 ヴゥ……ン……!


 ジグラットから放たれていた光は既に一条として存在しない。
 巨大な敵を囲んだ光はやがて、その光量を増していく。


 ヴヴゥゥゥゥ……!


 やがてそれは光の柱となって、そのまま辺り一面に広がっていく。
 全てを公平に包み、そのまま全てを押し流すように広がっていく。
 縦に横に、貪欲に、全てを舐め尽くすように静かに広がっていく。

 光柱が消えたあと、そこにはなにも残っておらず。

 そして空にはあり得ないはずのオーロラが浮かび。

 さらに上空には、最後の舞台が用意されていた。

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 ぐぅ。T-star-reverseです。

 今年は葵ちゃんの誕生日SSすら投稿できませんでした(涙)
 なんかすっかり年間作家というか……嘆息するコトしきりです。

 ちなみに次回で最終回の予定です。
 出来るだけ力を注ぎ込んで、きっちり仕上げてみたいものです……。
 それでは。次回まで、また……。