第0話 ミッション・アンコンプリート
「頼んだぞ、三人とも……!」
長瀬源五郎は、戦地に赴く三人の男達の無事を祈らずにはいられなかった。
長瀬祐介。
柏木耕一。
藤田浩之。
彼らが向かうのは、機械で構成された危険なジャングルである。
太平洋沖に浮かぶ来栖川グループの実験施設が、何者かに制圧された。
その連絡が源五郎に届けられたのは、つい先日のことである。
「馬鹿な!あの施設がどんなに危険なものなのかわかっているのか!?」
「で、ですが、現に施設との連絡は途絶え、本社の送り出したセキュリティも
全滅したとの報告があります……」
うろたえつつ、源五郎に伝える研究員(矢島)。
「あたりまえだ!生身のセキュリティがあの施設に通用するか!」
と、言いかけて、彼は父親の顔を思い出す。
「……とにかく、あの施設はなんとしてでも取り戻さないといけない。
最悪の場合、施設ごと爆破せざるを得ないかもしれない」
深刻な顔で呟く源五郎。
と、そこに一人の研究員(橋本)が駆け込んできた。
「なっ、長瀬主任!大変です!」
「もう充分大変だ!今度は何があったというんだ?」
「連絡が取れなかった洋上施設から、このようなメッセージが……」
ひったくるようにして、メッセージが打ち出された紙を見る。
「 クルスカ゛ワノヨウシ゛ヨウケンキユウシ゛ヨハセイアツシタ
アナタカ゛タカ゛サイアクノシ゛タイヲノソ゛マナイノナラハ゛
ナカ゛セユウスケ カシワキ゛コウイチ フシ゛タヒロユキ ノ
サンニンタ゛ケテ゛ココニコサセルヨウニ ホウホウハトワナイ 」
「なんてことだ……」
思わず、頭を抱える源五郎。
「研究所は、漢字も書けない馬鹿なんかに制圧されたのか……」
「電報だと思うんですけど」
「いや、いまさら電報ってのもアレだと思うぞ」
源五郎の後ろで二人がひそひそ言っているが、そんな事は聞こえない。
さて、来栖川の洋上研究所、と銘打っているその施設の実体は、
戦闘用バーチャロイドの実験場である。
そこが制圧された、ということは、すなわち、その戦闘用バーチャロイドが
そのまま制圧側……テロリストの手に入ったということになる。
「くっ!……とにかく、三人を呼ぶんだ!」
……そして、源五郎は今、三人を見送っていた。
無論、生身ではない。それぞれ、現在源五郎の手元にある中でも最強の
バーチャロイド……規格外の三体に乗っている。
三人は、源五郎の予想に反し、何も言わず実験施設行きを承諾してくれた。
あるいは、彼らの元へも事前に何らかの連絡があったのかも知れない。
男達は、戦場へ向かう。
……そして、誰一人として帰ってはこなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
……どうも。突然長編に走ります。T-star-reverseです。
なんとなく考えついたネタです。
「バーチャロン」の機体に、リーフキャラが乗ったら、いったいどういう
戦い方をするのか、とか、いろいろ考えて書いてみました。
とりあえず、主人公キャラの3名(今回、WAは除いてます。あしからず)
には、ひとまず退場していただきました。
今回の主役は、女性陣!(……って、大抵そうか……)
……と、いうわけで、皆様のお気に入りのキャラが乗る機体は、一体何か?
いろいろと想像しつつお待ちください。
(「バーチャロン」を知らない方へ。)
(「バーチャロン」とは、3D対戦型ロボット格闘ゲームです。)
(現在、ゲームセンターで最新作「オラトリオ・タングラム」が)
(稼働中です。これを読んで興味を持たれた方(いるのか?)は)
(ぜひ一度、やってみることをお勧めします。)
(ストーリーは全然違うので、その辺りは心配せずにお読みください。)