『冬の、そら』 投稿者: TaS
 足元の歩道は、ひどく不細工に彩られていた。
 舗装されたばかりの部分と、そうでない部分と。
 新しい埃に汚され始めている部分と、すでに埃の色を我が物としている部分と。
 不細工な凹凸は、それぞれの色を主張しあって、その色の醜さを際立たせる。
 その色を。
 頭に浮かんだ単語が、僕を苛立たせて、悲しませて、怒らせて、僕を辛くさせて。
 色は……色は、もうなくならない。
 それは、きっと、僕の……贖罪。

 色は、ある。
 この世界は、色を持っている。
 そして、それはとても美しいもの。
 それを、僕は知っていた。
 いや、知った。
 ある事件。ほんの小さな、ほんの些細な事件をきっかけに、僕はその事に気がついた。
 それは、素晴らしい事。
 素晴らしい、はずだった。

 下をむいて歩くのが嫌いになった。
 地面の色は、あまりにも惨めだから。
 上をむいて歩くのは、嫌だった。
 空の色は、僕の大嫌いな色だから。
 特に、こんな季節は。
 だから、僕には前を向くしかなかった。
 前向きに生きる。
 そんな言葉が浮かぶ。
 とんでもない、ブラックユーモア。
 雑多な色に閉められた世界は、確かに綺麗ではあった。
 だけど。

 空を見上げたくなった。
 だけど。
 こんな冬の空は、嫌でも思い出してしまう。
 あの人の、瞳を。
 だから。
 僕は、前を向く事しかできない。
 それは、きっと、僕の……贖罪。






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 ども、こちらに顔を出すのはじつに三ヶ月ぶりになります、TaSと申します。
 はじめましてな方もそうでない方も、皆様どーぞよしなに。

 今回は…あれ? また人物名一つも書いて無い(笑)
 一応「雫」トゥルーエンド後の物です。人物名は書かなくても判りますよね?(笑)
 なんかもう、最近手抜きを覚えてきたようでふ(笑)

 さて、なんか忘れ物をしているような気分にならんでもないですが、今日はこの辺で。
 であ〜。