「幸せって何ですか?」 第2章 投稿者: TaS

  第二章 『Little Question』 小さな疑問、小さな疑念



「先輩、今日は来ないのかな?」
屋上のベンチに座りながら呟く。
昨日に負けず劣らずの好天だ。
陽射しも真夏の様な容赦の無い物ではない。吸い込まれるような、というよりは溶け込む
ようなという形容が似合うであろう空は緩やかに広がっている。
隣に座った志保は鼻からゆっくりと息を出しながらそんな空を見上げている。
その姿を横目で見ながら、あかりは小さく息を吐いていた。


「先輩はいつも屋上で食べてんの?」
志保の唐突な(いつもの事ではあるが)質問に、芹香は首を左右に振って答えていた。
「・・・・・・」
「え、いつもは中庭で食べる事が多い?あ、あたしも時々あそこで食べるんだ。」
今日に限ってその中庭に人が多いので屋上に来たという事らしい。人が多い所が苦手、と
いうのも目の前の先輩が言うのであればうなずける。
「・・・・・・」
「え、でも屋上も気持ちがいいって?うん、やっぱこういう天気のいい日はねぇ。眺めも
綺麗だしね。」
「芹香先輩、よかったらまたここで一緒に食べませんか?」
志保と話している芹香にあかりが声をかける。
それに少し戸惑うように視線をさまよわせる。
その視線が捕らえたものは彼女に何を教えたのか。
芹香はあかりの顔へと視線をゆっくりと動かし、こくん、とうなずいた。


「ま、今日食べるって約束した訳じゃないんだし、先輩には先輩なりの理由ってのがある
んでしょ。」
昨日の約束を思い出していたあかりは、志保の声を聞いてはっとしたように顔を上げる。
笑っている志保を見て、あかりは思っていたよりも自分が落ち込んでいる事に気がついた。
それが表情にも出ていたのだろうか?
「うん・・・そうだね。」
とりあえず、これ以上心配をかける訳にもいかない。あかりは笑顔を作って、手製の弁当
を広げはじめた。


箸を動かしながらあかりは空を見上げた。
澄んではいないが、綺麗な空。
それを見ながら、弁当を食べながら、あかりは何かを考えていた。
何を考えていたのかはわからない。自分でも分からないが、なんとなく頭を働かせていた。
隣を見る。
志保が妙に嬉しそうな顔をしてサンドイッチを口に運んでいる。
そういえば・・・
「んー、いい天気が続くわねぇ。」
「・・・ねぇ、志保。」
「ん、何?」
志保の返事を聞いてからあかりはまた少し考える。
自分は・・・何を聞こうとしていたのか?
「いい、天気だよね。」
少し首を振り、結局思い付く事も無かったあかりはそんな事を呟く。
「そだね。」
不思議な顔をしながらも、志保はそれだけ答える。
そのまま暫くの時間、二人はただ空を見上げていた。



キーンコーン、カーンコーン・・・
キーンコーン、カーンコーン・・・
「あ、もうこんな時間だ。あかり、ほら行くわよ。」
「うん、ちょっと待って。」
予鈴を聞いてまわりの生徒達が急にあわただしく動き出す。
そんな様子を見ながら志保はあかりを急かした。もっとも今予鈴が鳴ったばかりなのだか
らそれほど慌てる必要はないのだが。
あかりはいそいそと、それでも志保から見ればゆっくりとしか見えない手際で弁当箱を仕
舞い込んでいる。
その様子を見ながら、これならすぐ追いつくだろうと志保は階段へと足を向けた。
後ろからあかりの非難する声が聞こえたりするが、気にもせずに歩き続ける。
だがその声は志保が階段につく寸前にぴたっと止まった。
まるでその存在そのものが消えたかのようにいきなり声が止まったのである。
不思議に思った志保はそっと振り向いてみる。
あかりは・・・いた。
さっきまで二人が腰掛けていたベンチのすぐ側にいた。
フェンスをつかみ、外を眺めている。その表情はここからでは見えない。
「あかり?」
ここからでは届くかどうかというような小さな声で志保が声をかける。
だが、どうやらあかりには届いたらしい。いや、届いていなかったのだろうか?
弾かれるように振り返り、志保を見つめる。
「・・・あかり、どうかしたの?」
「ううん、なんでもない。」
感情のこもらない声で答えてから、あかりは荷物を手に志保の下まで歩いてくる。
志保には、それ以上尋ねる事は出来なかった。


その後、志保があかりの顔を見る機会はなかった。





                              第3章へ、


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TaS:申し訳ありません!!
柳川 :何だいきなり?
TaS:前回の後書きで「明日には出す」などと大きな事を言った挙げ句にはこの様です。
    本当に申し訳ありませんでした!
柳川 :ふむ、反省はしているようだな。
TaS:反省はしております。でも二度と繰り返さないと言い切れない自分が情けないで
    す。せめて今後は空約束をしないよう、心がけます。
柳川 :・・・本当に情けない話だな。しかも今回短くないか?
TaS:いや長さはそんなに変わらないはずですけど。でも確かに短いです。しかもほと
    んど繋ぎのシーンなんですね。
柳川 :ふむ・・・ひょっとして後から付け足したシーンなのか?
TaS:違いますよ。(苦笑)もっとも最初のプロットでは第1章と第2章は一つの章で
    したけどね。しかも同じ日の出来事でした。
柳川 :それを水増しした訳か・・・
TaS:水増しって・・・(汗)
柳川 :大体貴様プロット書くのは良いがほとんど無視して書いているだろう。そのせい
    で何時の間にか章が倍以上の数に増えているではないか。
TaS:言わないで(涙)何とか7章で終わりそうなんだから。
柳川 :それを倍以上と言うんだ。
TaS:まあまあ、細かいことを気にしてもしょうがないでしょう。明日はきっといい日
    ですよ。
柳川 :貴様が言うな・・・。で、第3章はいつアップするんだ?
TaS:だからそう言うのをしないよう心がけるってさっき言ったんですよ。
柳川 :(ちっ・・・)まぁ、早いうちに出しておくんだな。
TaS:努力はします。あぁ、WAやりたいよう・・・
柳川 :そういう事は書くもの書いてから言え。大体貴様まだ狩ってないだろう?
TaS:うぅ、ほとんど状況が某金貸し魔術師(爆)正直者が馬鹿を見るのか。
柳川 :それでは、今回はこの辺でお暇させてもらおうか。
TaS:あぁっ!!無視しないでくださいっ!!
柳川 :やかましいっ!!どの面下げて正直だと抜かすか貴様!!
TaS:そ、そんな言い方無いでしょうに!私だって・・・
柳川 :却下却下却下っ!!!寝言は寝ていうのが世の常だろうが!!!!
TaS:寝言ぢゃないぃぃぃぃぃ!!!
柳川 :それではさらばだ!この番組は柳川裕也と嘘吐きアフロの二人でお送りさせてい
    ただきましたぁ!!(柳川、強引に退場)
TaS:嘘吐き言うなぁぁぁぁっっっ!!!!