それもないだろ、楓ちゃん!!  投稿者:Ken-G


 私はひどく後悔していた・・・

 あのあと、

「オチてないよ・・楓ちゃん・・・」

 耕一さんは優しく、少し疲れたように微笑んで、私の
部屋を出ていってしまった・・・

 はぁ、とため息を付きながら私は考える・・・

 すきすきす〜ではダメでした・・・すると、やっぱり、


 すい、すい、す〜だらたった〜すらすらすいすいすい〜

・・・と、いくべきだったかしら・・
 
 でも、千鶴姉さんならともかく、私の歳で植木さんは
ちょっと・・・


 ・・・こんなことを考えている場合じゃなかった。
 今はとにかく耕一さんに謝らなくては・・・

 私は階段を降りて耕一さんのいる部屋へとむかった。

「耕一さん・・・」

 障子越しに見えた耕一さんが、ビクッ、と震えたよ
うに見えたのは気のせいでしょうか。

「か、楓ちゃん!?」
「はい、すこし、よろしいでしょうか?」
「う、うん。はいってよ。」

 障子を開けてはいると、耕一さんは優しく微笑ん
でいました。
 でも目を合わせてはくれません・・・

「なに?楓ちゃん。」

「あの・・・さっきのことあやまろうと・・」
「え?」

 そう、まずはひとこと「すみませんでした」って・・

「あの・・そ、その・・・」
「?」

「す・・・、す・・・、す・・・、」
「す?」


「すんまそ〜ん」


 しかもポーズ付き・・・

「・・・・」
「・・・・」 

 これなら・・・きっと耕一さんも・・・

「楓ちゃん・・・」
「はい。」

「・・・おさる(アニマル悌団)のネタなんて・・・」



 ・・・・気が付いたら部屋を飛び出していました。
 
 涙で何も見えません・・・

 でも・・・耕一さんって・・・

 わかってくれるから・・・・すき・・・