『雅史寺女の事情』 投稿者:M10
 vladさん、無口の人さん、NTTTさん、takatakaさん、たろすけさん、感想あり
がとうございました。
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『フジヒロの女』


 今日も今日とて、矢島は口説く。


「あ、あかりさん・・・」
 学校を取り囲む塀の金網際まであかりを追いつめる。

「オレ、あかりさんが・・・」



「だめっ!!」 (ドップラー効果希望)


 その横を向いたあかりの首筋に「藤田浩之」とプリントされた文字が。


「!?」
「御免なさい・・・駄目なの・・・」

 呆然と立ち尽くす矢島を余所に、あかりは去っていく。


「お、お、おのれ・・・藤田浩之っ!!」

 その場で絶叫する矢島。


 だが、彼は知らない。
 去り際にあかりの口元が歪んだことを。

 クスッ・・・。


・
・
・

 その頃、

「ねぇ、ヒロ。それ、耳無し法一?」
「ほっとけ・・・」

 教室では身体中の隅々まで、赤の油性ペンで「あかり」と書かれた浩之が机にうっ
伏していた。


                          <おしまい>


『脇役達の放課後』


 坂下と矢島がいた。

「なぁ、坂下」
「何、矢島?」
「最近、オレ達、苛められてないか?」
「そうよね」
「ここは復讐するしかないと思うんだが?」
「どうやって?」
「主人公やヒロインを一切排除したTHにするんだ」
「え?」
「そうすればもう、藤田の野郎なんか目じゃないぜっ!!」
「そうかしら?」


「ああ。これならオレが主人公、お前だってヒロインになれるぜっ!!」


・
・
・

 数年後。


「なぁ、あかり」
「何、浩之ちゃん?」

「葉書届いたんだけど・・・ほら・・・『結婚しました 矢島』って」
「本当だ・・・でも、隣の人・・・」
「ああ、こいつ確か葵ちゃんの先輩の・・・」



 ・・・これでいいのか?



                          <おしまい>



『強い女』



「誰か強い相手いないかしら・・・」

 トレーニングを終えた綾香が愚痴る。


「――ひとり、いらっしゃいます」
「あ、セリオ。誰?」
「――名前、シンディ宮内。年齢、28歳。職業、・・・」
「いいから、どう強いの?」


「――空手8段、合気道6段、柔道7段に加え、護身術や、シュートボクシングなど
、幅広い趣味を持っていて・・・」
「へ〜え・・・どれどれ・・・」

・
・
・

 その夜。

 仕事帰りのシンディが夜道を歩いている。


「!?」

 シンディが気配を感じて、足を止める。



「勝負っ!!」



 ドキューンッ!!



 シンディの勝ち。


                        <おしまい>