最終カウント、72019 投稿者:NTTT 投稿日:5月27日(土)14時32分
「綾香様、昼食の用意ができました」
「んー、今はちょっとパス」
「何を、なさっておいでなのですか?」
「見ての通り、猫の毛を数えてんのよ。ええと…2万とんで625本…2万とんで…」
「綾香様?」
「ちょっと、今は話しかけないでちょうだい。2万とんで638本…2万…」
「お暇なのですか?」
「2万とんで802本…」
「お暇なのですね?」
「2…あーーっ!!横からゴチャゴチャ言うから、忘れちゃったじゃないの!!」
「2万816本まで数えておられました」
「あ、そっかそっか、えーと…あ、ダメ。手を放しちゃったから、どこまで数えてたか、場所がわかん
ないわ。がっくし。いいとこまで、いってたんだけどなあ…」
「あの…綾香様?」
「何よ」
「お暇だったのですね?」
「…そうよ。悪い?」
「いえ…」
「ほら、猫、もう用はないから、帰っていいわよ、姉さんとこにお帰り。しっしっ」
「…あの猫…かなり、弱っているようですが」
「まあ、長丁場だったからね」
「いつから、お数えに?」
「んー、起きたのが8時半だから…ま、9時ちょっと過ぎくらいからかしら」
「…3時間近く、数えてらっしゃったのですか」
「なんか、早く起きすぎると、やることなくってさ…暴れるたびに数え直しだから、大変だったのよ。ち
ょっと、疲れちゃったわね」
「もう、お昼ですが、お食事は、どういたしましょう?」
「食事ねえ…なんか、食べるのもかったるいって感じもするし…ねえ、セリオ」
「はい」
「代わりに、あんたの髪の毛、数えていい?」
「…構いませんが」
「よし、そういうことなら、そこ座って、ほら」
「あの、お食事は…」
「あと、あと」


「綾香様」
「喋らないの。数え忘れちゃうでしょ。ええと…7万2千とんで…」
「しかし、綾香様」
「もう、どうしたのよ」
「早急に、お話ししておかなければならない事態が発生しました」
「だから、何?」
「私、一昨日の夜から、充電しておりません」
「電源切れたって、あとで充電してあげるわよ。ほら、動かない」
「充電した電源は、1時間30分ほど前に使い切って、今は予備電源として、体内の電池を使用し
ております」
「なら、いいじゃないの」
「いえ、体内電池を使用した場合、電力を発生する際に、水を副産物として生み出すのです」
「だから、別にいいって。数え終わるまで、話すのヤメ」
「いえ。ですから、その水を定期的に排出する必要が…」
「細かいことは、あとでいいから、じっとしてなさいって」
「…ただの、きれいな水なのですが」
「はいはい、きれいな水ね、いいじゃない。ほら、動いちゃダメって言ってるでしょ」
「実は、私、こういう事態には慣れておりませんので、その…あ、ああ…」
「数えさせなさいよ、さっきからゴソゴソ、ゴソゴソ、何動いてるのよ!」
「も、申し訳、あ、あうー」
「セリオ?」
「今の状態を、こ、これ以上保持するのは、頭脳部分に、負担が…」
「何言ってるの?」
「で、ですから…は、はふー、へっきょんカラムダヘにょー」
「セリオっ??」

しゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぷしゅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これが、今なお関係者が黙して語らぬ、『綾香の部屋、夜中に絨毯総取っ替え事件』の真相である。



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いぢセリ(いぢめてセリオ普及委員会)に捧げとく。
つーか、他のとこには捧げられぬ、怖くて。