日本の社長(「競作シリーズその弐 NTTT VS その他大勢」「お題:会話文のみ」) 投稿者:NTTT 投稿日:5月18日(木)21時40分
「今日は、若くして鶴来屋グループの会長となり、その経営手腕を振るわれている、正に現代の才
媛、鶴来屋の美人若女将、柏木千鶴さんをゲストにお招きいたしました。初めまして」
「あら、まあ、美人だなんて、どうしましょ。ちづりん、困っちゃいますぅ」
「…初めまして」
「あ、はい、初めまして」
「早速ですが、鶴来屋グループをその若さで継ぐのは、周囲からの反対など、かなり強かったと、
伺いましたが?」
「あら、まあ、若いなんて…確かに若いですけど、ほほ…」
「あの、鶴来屋グループを継ぐ際の、周囲からの反対などについて、お伺いしたいのですが」
「ま、まあ、そういうことも、就任当時は少なからずありましたが、今では、グループ一丸となって、
邁進しておりますから…ええ、それはもう」
「そうですか」
「はい、強行に反対していた方々も、今はもう、おりませんし…」
「確か、惨殺死体で発見されたと、伺いましたが?」
「本当に、恐ろしい事でした。あの時は、大変驚きました…ニュースにもなって、客足も遠のき、もう
少し、上手く…い、いえ、一時は、グループ存亡の危機でした…」
「そうでしょうね。噂によれば、巨大な獣に引き裂かれたようだと…」
「あ、きっと、狼ですわ」
「狼ですか…」
「あ、はい、あの辺には、結構おりますの。ほほほ…い、いえ、今はもう、絶滅しておりますから、お
客様がいらっしゃっても、何の心配もございませんから、はい、そりゃもう…」
「えーと、話を変えましょう。最近、全国的に不景気の波が押し寄せているようですが、そちらの方
は、どうですか?」
「大変、うまくいっております」
「そうですか」
「はい、一度来てくださったお客様が、その後も、足繁く通ってきてくださいまして。きめ細かいサー
ビスを心がけているかいがございます」
「名物料理が評判だそうですが?」
「ああ、キノコ料理ですね。はい、大変、ご好評を頂いております。お客様の中には、1日に一度は
食べないと落ち着かないなどと仰られる方なども、いらっしゃいまして…」
「落ち着かないというか、一日1回食べなければ体が震えて発作的に暴れだすほど不安になり、社
会生活が営めなくなってしまうという噂もありますが…」
「そこまで気に入って頂けるとは、光栄なことです。従業員が聞いたら、さぞ喜ぶことでしょう」
「…そ、そうですね」
「何か?」
「い、いえ、次の質問に移りましょうか。旅館の従業員を統括して束ねていく手腕はかなりのものだ
と、お聞きしておりますが、何かコツでも?」
「いえ、特には。従業員の皆さんは、これまで旅館経営に長年の間従事してきたプロですし、なによ
り、この仕事では私などよりも先輩ですので、ただ従業員の皆さんの後に従っているだけなんですよ」
「従わない従業員は部屋に呼んで、二人だけで話をされたりすると伺ったのですが」
「ま、まあ、そういうこともございます。どうしても意見の合わない方などでも、誠心誠意説得すれ
ば、なんとかなったりもしますから…」
「説得された従業員の方は、皆、一様にブルブル震えて、何を聞かれても『ハイ、オッシャルトオリ』
としか答えられないとも聞いていますが」
「私は暑がりなものですから、部屋のクーラーが効き過ぎるのでしょうね、ほほ…」
「真冬でも?」
「暑がりなんですぅ、てへ」
「……」
「……」
「…で、では、最後の質問を。ご結婚はまだのようですが、ご予定は?たしか、2番目の妹さんに婚
約者がいるらしいとは、聞いているのですが」
「………………………………………………………………・…………………………………………
……………………………………………………………………………………………………………
……………………………………………………………………」
「ハイ、オッシャルトオリ、オッシャルトオリ、オッシャルトオリ、オッシャルトオリ…」
「あらあら、それじゃあ、私が代わって〆ますわね。皆さん、鶴来屋に是非一度おこしくださいませ。
サービスいたしますわよぉ、てへ」


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会話パターン10:インタビュー