「なんだか、ヒロ、遅いわねえ。雅史も、そう思わない?」 「一体、どうしたのかな?」 「何か、あったのかしらね…」 「寝坊したにしては、ちょっと遅すぎるよね」 「ね、電話、かけてみよっか?」 「かけてくれる、志保?」 「ほいきた。こういう時に備えて、いつもピッチ持ってきてんのよ」 「よく番号、確かめなよ。志保、結構、間違えそうだから」 「楽勝よ。ヒロん家の番号、間違えたりしないって。大体、登録にちゃんと入れてんのよ」 「よく、電話してるの?ひょっとして」 「て言うか、最近、毎日ね。そういえば」 「晩に電話するの、なるべくやめた方がいいよ」 「夜中の方が、料金安いんだから、仕方ないじゃない」 「言ってることはわかるけど、志保の電話って、結構長いからさ」 「30分くらいで終わらせるようには、してるって。でも、あかりとかと話してると、ちょっと長くなるとき も、あるわね…」 「寝てるときにベル鳴らされると、ドキッとするよ、僕なんかはさ」 「最近、雅史には電話かけてないわね、そういえば。今度かけるから、楽しみにしてて」 「テスト期間中とかは、ホント、やめてよね。こっちは、大変なんだから」 「ラスト三日で勝負するのが、男でしょ!何泣きごと言ってんの!!」 「ノート、貸してあげてるのになあ…」 「あ、あれは、まあ、感謝はしてるのよ、ホント」 「当然でしょ。毎回貸してあげてるんだから」 「ら、ラッキーだとは、思ってんのよ。いい友達持ったなー、って」 「点をもっと取って欲しいよね。貸してる方としてはさ」 「さっきからさ、ちょっとイヤミじゃない、雅史?」 「志保、進級危なそうだから。心配してるんだよ、これでも」 「もう、言わないでよ。ホント、シャレになんないのよー!」 「夜中に電話ばかりしてないで、ちょっとは机に向かったほうがいいって、ホント」 「と、言われてもねえ…」 「英語とか、普段からやっとかないと、絶対、点とれないよ」 「夜中にコセコセ勉強かあ…ああ、なんか、憂鬱…」 「次のテストでも赤点とったら、危ないんじゃないの?」 「の、ノート、貸して!志保ちゃん、一生のお願い!」 「いいよ。だから、ちゃんと勉強しなよ」 「よーっく、わかりましたー、って、トホホ…」 「ホントは、志保、勉強ちゃんとすれば、できるような気がするんだけどなあ、僕」 「クイズゲームとかだったら、わりと、なんとかなるんだけどさ…」 「さっき通ったゲーセンに、確か、新しいクイズゲーム、入荷したって、この前浩之から聞いたけど…」 「どーして教えてくれないのよっ!!さ、行くわよ。おごったげるから、ついてらっしゃい、雅史!」 「志保、で、電話は…ああ、行っちゃった…もう、友達、やめようかな…」 ___________________ 会話パターン9:?