中庭にて(「競作シリーズその弐 NTTT VS その他大勢」「お題:会話文のみ」) 投稿者:NTTT 投稿日:5月14日(日)23時48分
「よお、先輩、今日も弁当?」
「……」
「いや、俺は学食。ほら、俺んち、親父もオフクロも滅多に帰ってこねえから、って、前に話したっ
け?」
「……」
「ああ、話してたか。ま、そんなわけだから」
「……」
「うーん、そんな淋しいとは、あんまり感じたことないんだよなあ…」
「……」
「いや、ただ、慣れたっていうかよ、ほら、解放感とか、それなりにあるだろ。自分一人だから、何し
てもオッケーみたいな」
「……」
「一人の時?まあ、テレビ見たり、マンガとか読んだり、音楽聞いたり…」
「……」
「あ、そりゃそうか。結局、オヤジ達が家にいた頃とあんまり変わんねえこと、してるのかもな。で
も、たまにハメとか外せるってのは、なんていうか、精神的に軽い感じじゃあるんだぜ」
「……」
「んー、だからよ、徹夜でゲームやったりとか、マンガ読んだりとかな」
「……」
「そう言われてみりゃ、ハメ外すったって、大したことしてねえなあ、俺…小市民ってやつか…」
「……」
「あ、いや、そんな気にしてねえって。大体、うちなんて、庶民も庶民、親父もオフクロも小市民っぽ
いしな」
「……」
「どんな方、って聞かれてもなあ…別に普通だぜ、親父もオフクロも。それより、先輩のお父さんと
かお母さんとかの話、聞いてみたいな、俺」
「……」
「いや、普通ってのは、ねえだろ。さすがに」
「……」
「だから、ほら、先輩んちって、大金持だろ。なんか、俺達とは、生活がかなり違うような気がしてさ」
「……」
「一緒って、言われてもなあ…あ、なら、先輩のお父さん、朝、メシ食いながら、新聞とか読むの
か?」
「……」
「へえ、読むのか。なら、あれだ、喫茶店とかはいると、袋に入ったオシボリ出るだろ。あれどうやっ
て開けてる?」
「……」
「ああ、やっぱりあれ、誰でもするのか。それじゃあ、大きないびきとか、かいたりすんのか?」
「……」
「育毛剤とか、使ってる?」
「……」
「ふーん。一緒の銘柄だよ、親父と…あと、風呂で歌ったりとか、する?」
「……」
「うわー、演歌かよ。先輩のお父さん、俺の親父とよく似てるよ。すげー普通の人だったりしてな。
会ってみてぇ…」
「……」
「え?嫌でも、会うことに、なる?」
「……」
「頑固だから、覚悟しててくれ?」
「……」
「な、なあ、さっきから、何言ってんだよ、先輩。あ、今、笑ったろ。わかるんだぜ、俺。何なんだよ、
一体…」


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会話パターン1:片方の言葉を想像しなければならない会話