草原の輝き 投稿者:NTTT 投稿日:4月26日(水)18時13分
風の音が、聞こえる

誰かが、呼んでいる

私の、名前
遠くから、かすかに
風に乗って
届く

私の、耳に

草原

草と、太陽と、土の

匂い
そして
空気の、揺らぎ
綿のように
包まれる

私の、体

暖かな

赤

閉じた、まぶたの

裏に

土の、温もりと、冷たさ
共に

私の、背中に


私は、生きている

きっと


機械の、耳
機械の、目
機械の、鼻
機械の、体


機械の、魂


私は、生きている
私は、生きている


生きている


きっと
いつか、どこかで

動きが

止まる


その時、誰が
呼ぶのだろう
私の
名前


誰の
名前を
呼ぶのだろう
私は


何が、見えるのだろう
その時


どこに、還るのだろう
その時



「セリオ、返事しなさいよ。さっきから何度も呼んでるでしょ、ったく。のんきに
寝っ転がってんじゃないわよ」
「申し訳ございません、綾香様」
「聞こえなかった?」
「いえ。聞こえておりました。ただ、綾香様のお声を、聞いていたかったのです」
「なにそれ?」
「ときに、綾香様」
「ん、何?」
「綾香様は、神の存在というものを、信じてらっしゃいますか?」
「な、何よ。薮から棒に?ま、まあ、いてもいいかな?とは、思うんだけどさ、
あんまり、係わりあいになりたくは、ないわね。ほら、あたしってば、そんな、
行いがいいとは、言えないしさ…」
「そうですね」
「ちょっと、そりゃないんじゃないの!」


願わくば
いつか
また
同じ
場所
同じ
時を
この人と

かなわぬならば

同じ
ところに
還りつくよう
この人が

機械の

神よ


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