琴音ちゃん誕生日SS二番手  投稿者:NTTT




「もしもし、姫川さんの…」

「はい」

「あ、琴音ちゃん?」

「藤田…さん!?」

「そ、俺。今から出てこれるかな?」

「ええ…今日は…別に…」

「よかった。じゃ、駅前の噴水のとこで待っててくれるかな?」

「は、はい…」






「悪ぃ、遅れちまった。こいつが支度に手間取っちまってよ…」

「あーっ!浩之ちゃん、人のせいにする気?」

「ふ、藤田さん、に…神岸さん…」

「こんにちわ、姫川さん。ごめんね、遅れちゃって」

「い、いえ…」

「とりあえず、どっかでお茶しよーぜ。俺、いい店知ってんだけどな」

「あ、浩之ちゃん、ひょっとして?」

「おう、わかるか?」

「わかるよ、長い付き合いだもん」

「ナマ言ってんじゃねえ。じゃ、琴音ちゃん、まだ昼メシには早ぇから、お茶だけってことで…」

「は、はい…」





「この店な、スパゲッテイがうまいんだ。雅史が割に好きで一時通ってたんだぜ、二人で」

「そうですか…」

「浩之ちゃん、全然教えてくれなかったから、志保と二人でここまで跡つけたんだよ」

「あん時は参ったぜ。いつものように雅史と二人で来たら、お前ら先回りしていつもの席に座ってん
だからよ」

「だって、それは志保が…あ、浩之ちゃん、わたし、ちょっと行って来るから、レモンティー注文しとい
てね」

「行くって、どこにだ?ああ、トイレか」

「も、もう、浩之ちゃん!」

「ほらほら、早く行けって、もれるぞ…はは、あいつ、出がけにも行ったんだぜ」

「あ、あの…藤田さん」

「ん?」

「あの、ひょっとして、今日のこと…」

「ああ、誕生日なんだって。おめでとう、琴音ちゃん」

「…やっぱり、知ってたんですね」

「そりゃそうさ、琴音ちゃんみたいな可愛い子の誕生日は、ちゃんとチェックしとかねえとな」

「もう…藤田さんたら」

「いや、ホントだって。琴音ちゃんはマジに可愛いって、俺は思うぜ」

「そんなこと…神岸さんの方が、とっても素敵です」

「ええっ、そーかぁ?」

「そうですよ…とっても明るくて、素直で…わたし、神岸さんみたいな人、うらやましいです…」

「んー、そいつはどうかな。俺は琴音ちゃんは琴音ちゃんのままで充分素敵だって、思うけどな…」

「でも、わたしなんて…好きな人の前でも、自分の気持ちに素直にになれなくて…」

「ん?」

「い、いえ、なんでもありません…あ、注文聞きにきましたよ」

「あ、俺はコーラ、琴音ちゃんは…うん、じゃ、コーヒー、砂糖抜きな。で、あかりのは、そう、トマ
トジュースを…」

「ふふ…藤田さんって、面白い人ですね…」

「そうかぁ?ま、琴音ちゃんが笑ってくれたから、よしとするか」

「…藤田さんには、助けてもらってばかりですね…あの、『力』のときだって…」

「いや、俺はなんにも大したことはしてねえって。それに琴音ちゃんを心配してたのは俺だけじゃな
かったはずだぜ」

「でも…あ、神岸さん」

「おまたせ、浩之ちゃん」

「おう、あかり、大変だぞ」

「えっ!?」

「このままだと待ち合わせの時間に遅れそうなんだ。注文来たら速攻で飲んで出るぞ」

「あ、そうだね。注文してくれた?」

「おう」

「ふふ…」

「どうしたの、姫川さん?あ、どうせ浩之ちゃんがくだらないこと言ってたんでしょ」

「い、いえ…」






「あれ、まだ来てねーのかよ…」

「あ、いたいた、浩之ちゃん、あそこだよ」

「あれは…長岡さんと…」

「もう、遅いわよ、ヒロ!なにやってたのよ!!あ、姫川さん、お誕生日おめでとー♪」

「あ、ありがとうございます…」

「誕生日だったなんて、志保に聞くまで知らなかったよ。教えてくれなきゃだめだよ、琴音ちゃん」

「ご、ごめんなさい、佐藤さん…」

「姫川さんは悪くないって。雅史だってちゃんと聞いときなさいよね!!」

「ま、お前が聞きこんできたおかげで助かったってわけだ。ネットワークかなんだか知んねえけど、
役にたつこともあるのな」

「へへーん、見なおした?」

「ああ、だから俺達はさっさと先に行こうぜ」

「え、皆で行けばいいじゃない」

「二人っきりにしてやろーぜ、ほら」

「ああん、こっからが見たいのに〜」

「ほら、志保、邪魔しちゃ悪いよ」

「もう…雅史、あとで取材するから電話ちょーだいよ〜」





「あ、あの…ごめんなさい」

「いいよ。付き合ってるのに気がつかない僕が悪いんだし」

「そ、そんな…」

「とりあえず、誕生日おめでとう、琴音ちゃん」

「はい…」

「まずは…お腹もへったし、どこか行こうか?」

「あの、スパゲッティなんか…」

「いいね。どこかおいしい店とか…」

「わたし、この辺だとこころあたりがひとつ…」

「あ、僕もあるよ。行ってみない?きっと気に入るよ」

「はい」



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アニメ版その後〜♪

引っかかった人がいると、ちょっとうれしい^^