HAPPY WOMEN 投稿者:NTTT
「ねえ、綾香もそう思うでしょ、やっぱり1話と3話では性格が違ってるって!」

「え、ええ、そうね。ちょっと先行っててくれる」

「大体、主人公を変えるって聞いた時から、話がそれじゃ進まないんじゃないかって思っ
てたんだけど・・・ん?  あれ?  綾香?」






「ふぅん・・・あのエンディング曲の着メロは・・・メモメモ」

「立ち読みしながらメモらない方がいいと思うわよ」

「うっさいわねー!いいじゃないのよ、って・・・あなた・・・ひょっとして・・・前回のエクスト
リームの・・・」

「あ、知ってるんだ。そ、あたしが高校格闘技界の女王、来栖川・・・」

「綾香でしょ、なにポーズつけてんのよ。そういや、この前テレビの深夜放送で歌ってたわ
ね」

「へぇ・・・見てくれてるんだあ・・・ね、ひょっとして、ファン?」

「ぜーんぜん。他に面白そうのがなかったから、たまたまよ」

「あっそ・・・」

「ねえ、どいてくんない?あたしこれからゲーセン行くんだから」

「ちょっと、待ってってば」

「やめなさいよ!暴力反対!!」

「手をつかんだだけでしょ!ねえ、お願いだから、ちょっと付き合って」

「ちょ、ちょっと、待ってよ、あたしそんな趣味ないんだから〜」

「あたしだってないわよ!!  ちょっと聞きたい事があるだけなんだって」

「嘘よっ!!  格闘技の世界には多いって聞いたわよ!!「お姉様〜(はぁと)」とか呼ば
れてるんでしょ!!いくらこの志保ちゃんが可愛いからってこんなとこでナンパしてんじゃ
ないわよ!!」

「違うって!!そういうのも中にはいるし、実際そんな風に言い寄ってくるのもいるけどあ
たしは違うのよっ!!ノーマルだって!!あたしは 姉さんとあの藤田って男の事を聞き
たいだけなのよ〜!!」

「・・・ヒロの!?」

「そう、藤田、浩之。あんた、よく一緒にこの辺ブラブラしてたでしょ?」

「ふぅん・・・ヒロのねぇ・・・いいわよ、別に」

「はぁ・・・ねえ、場所、変えない?」

「そうね・・・ほらほら、通しなさいよ、見世物じゃないわよ!!」






「ね、藤田浩之って、どんな奴?」

「いきなり直球投げてくるわね、あんた。会った事ないの?」

「あるんだけどさあ・・・」

「じゃ、そん時あんたはどう思ったのよ?」

「んー、まあ、姉さんが好きそうなタイプかな?  とは思ったんだけどね・・・」

「へー!!  まあ、あの人、趣味変わってそうだからね・・・あ、ゴメン」

「あ、気にしないで。あたし達、よく言われるから」

「ふーん・・・」

「それでね、妹としては、やっぱ、心配なわけよ。外面いいだけの奴だったりしたら、ちょっ
とね・・・」

「あ、そんなら心配ないって。ヒロ、そんな器用な真似、逆立ちしたってできないから。見た
まんまよ」

「そうなの?」

「そ。馬鹿だからね。その上口は悪いし生意気だし、お調子者でスケベだし・・・」

「あはは・・・そんな感じかもね」

「そーよ〜!おまけに短気だしかまってやらないとすぐ拗ねるし、どーしよーもない奴なん
だから!!」

「でも、人気あるんじゃない?」

「ないない、目つき悪いから誰も近寄んないって!!」

「あなたは?  よく一緒にいるの、見かけるわよ」

「あ、あれはね、まあ、中学時代からの腐れ縁てーか、その、まあ、そういうもんなのよ・・・」

「ふぅん・・・」

「あ、なによ、その変な笑いは!!」

「なーんでも」

「あのね、言っとくけどあたしとヒロとはそんなんじゃないんだからね!!ただの『友
達』!!  わかる?ただの、とー、もー、だー、ち!!  大体、ヒロにはれっきとした彼女が
いるんだからね!!」

「マジ!?」

「大マジよ!!もう、幼稚園の頃からの付き合いなんだから!!」

「・・・ひょっとして、ヘアバンドしてる・・・」

「そう、それ、それ!!  見た事あるんじゃない!!  あかりとヒロとはもうずーっと昔っか
らの付き合いなんだから!!」

「ふーん・・・でもそんな感じに見えなかったけどなあ・・・」

「ホントだって!!  ま、あんたの姉さんには悪いけどね・・・」

「ふぅ・・・なーんか、気、抜けちゃったなあ・・・」

「大体、なんでそんなにヒロのこと気にするわけ?来栖川グループのお嬢様と付き合える
ようなガラじゃないって!」

「・・・なんか、ちょっとイケてるぽかったし、姉さんとうまくいきそうな感じに見えてさ・・・」

「ヒロが!?  あんたも変わった趣味よねえ・・・」

「ま、あたしと姉さんって、ちょっと変なとこばっか似ちゃってね・・・」

「へーえ・・・」

「なによ、その意味深な笑いは!!」

「べーつーに〜」

「あんたね、あたし怒らすと怖いわよ!! これでも前回のエクストリームチャンピオンな
んだからね!!」

「ちょっと、暴力反対よ!!」

「だったら挑発するんじゃないわよ!」

「はいはい・・・でもね、この前の深夜番組は、ダメダメね」

「え!?・・・やっぱ、そう思う?」

「あんた、歌うたうのはやめた方がいいって。正直言って、『ドヘタ』よ」

「・・・あれは、プロデューサーに頼まれて、仕方なくよ・・・大体、得意の歌じゃなかった
し・・・」

「高音がね・・・」

「ひっくり返ってたでしょ?」

「うん・・・ね、カラオケ行かない?」

「ええっ・・・い、いいって、別に・・・」

「レッスンしたげるって。あたし、歌うまいのよ。カラオケで80点より下、取ったことないん
だから!!」

「へええ・・・やるわねえ・・・」

「ほら、行こ」








「ねえ、あ、あれ・・・」

「あ、ホントだ・・・ヒローーー!あかりーーー!!」

「おお、志保に・・・綾香じゃねーか。どうしたんだ、お前ら」

「これから二人でカラオケ行くとこなのよ。さっき本屋の前でナンパされちゃってさ」

「げっ・・・そういう趣味かよ・・・」

「ちょっと!!」

「それじゃ、あんた達は二人で手でも繋いで帰んなさいよ〜!  さ、綾香、行くわよ〜ん」

「まったく・・・そういや、あんたの名前、聞いてなかったわね」

「志保。長岡、志保。あんたは気に入ったから、『志保』って呼び捨てにしていいわよ」

「はいはい・・・今日はホント、なんだかねえ・・・」

「ほら、早く行くわよ。この時間帯から込むんだから」

「ちょっと、引っ張んないでよ!!」

「ほら、早く」

「はいはい・・・志保」





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