スパアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ! 俺のアゴをつきあげるように、綾香の右アッパーが決まった。 . . . . 「さて、何をきいてもらおうかしらね」 そう、敗者は、なんでもひとつ、勝者の言うことを聞かねばならない。それがルールだ。 まあ、何かおごれとか、そんなものだろうが、結構イタい話だよな・・・ 「それじゃあね、そこに仰向けに寝っ転がって」 へ?? まあ、草地だから別にいいけど、何するつもりだ、綾香?? 「ちがう、そうじゃないの!大の字じゃなくて、もっと手足を引っ込めて!!」 ・・・こ、こうかな? なんか、猫キックみたいな感じなんですけど・・・ 「そう。それで片手をグーにして、顔のとこに持ってくのよ」 ・・・はあ・・・ 「はいはい、それじゃ、グーのまま親指を立てて、口にくわえなさい」 ・・・ふ、ふわえまひたへほ・・・ 「ひゃはははははははははは!!!セリオ、今の見たわね」 「はい」 「デジカムに再生できる?」 「おまかせください」 セリオは、俺に再生した映像を見せてくれた。 ・・・あ、赤ちゃんポーズで指をくわえた、俺・・・ ・・・目尻も心なしか下がって、とても間抜けだ・・・ 「ぎゃはははははははははははははは!!!!昔のあの人みたい、ぷりちーよ、浩之!」 俺は走って家に帰った。 泣きながら。 「・・・ふう、あれがすべての始まりじゃったのかもしれんのお・・・」 裸一貫から身を起こし、いまや来栖川グループを参加におさめた政財間のドン、影の総 理藤田浩之は、記者にそう語った _________________________________