いつまでもともだちでいよう 投稿者:NTTT
ピナレロ様と(設定、お借りしました)、AE様に捧ぐ(マジに遅くなった。許して)。
でも、いらなかったら、返して。






ピンポ〜ン!



「おう、すぐ行く。ちょっとだけ待ってろ。母さん!早くしてくれよ」

「まったく、朝練の日だけは早起きなんだから・・・」






「ひーっ、きちい、きちい。やっぱ、冬場は辛いぜ」
「もうすぐ、3年生もいなくなるから、僕らが頑張らないと」
「へいへい、キャプテン様」
「もう、まだ決まったわけじゃないよ。それに浩之だって、候補なのに」
「俺は、パス」
「どうして?」
「面倒くせえ。大体、オメーの方が人望あるしな」
「浩之なら、きっといいキャプテンになると、思うけどなあ」
「オメーの方が、もっといいキャプテンになるって。雅史キャプテン様、その節には、是非とも私めをレギュ
ラーに・・・」
「もう・・・あっ、そういえば、浩之、作文もう書いた?」
「そういや、提出、もうすぐだな。雅史は書いたのか?」
「うん、今日、持ってきた」
「うーん、こればっかりは、あかりのを写すわけにはいかねえからなあ・・・」
「タイトルが、『私の将来の夢』だからね」
「へたに『私の夢は、アイドル歌手になる事です』なんてのを写した日にゃ、笑いもんだしな」
「あかりちゃんは、そんな事、書かないよ」
「まあ、そうかもな。でも、志保なら、あるかも知んねえぜ」
「・・・あるかも、知れないね」
「ところで、お前は、何書いたんだ?」
「見る?」
「・・・いいのか?」
「うん」




「おはよう、浩之ちゃん」
「・・・おう・・・」
「なによ、ヒロ、朝からシケた顔して、元気ないわね。あっ、さては朝練に遅刻して、怒られたんでしょ。
まったく、だらしないわねぇ」
「志保、浩之は、朝練で遅刻した事は、ないよ」
「何かあったの?雅史」
「それが、よくわかんなくて・・・」
「浩之ちゃん、どうしたの?」
「・・・なんでもねえ、ちょっと、うるせえぞ、お前ら」
「うわ、今の目、見た?『うるせえぞ、お前ら』って、こーんな、釣り上がっちゃって」
「うるせえ!!!」


「な、なによ、そんな、怒鳴って・・・・・・」





「どうしたの、二人とも?こんなとこに呼び出して」
「うん、浩之ちゃんのこと、気になるからって、志保が・・・」
「ほら、キリキリ白状しなさいよ、雅史。一体、何があったの?」
「ホントに、わかんないんだ」
「んなわけないでしょ!朝になんかあったでしょ、ほら、思い出しなさいよっ!!」
「うーん、なんか、作文を見せたら、それからちょっと不機嫌になったような・・・」
「作文って、あの、『将来の夢』とかいう、あれ?」
「うん」
「・・・そういえば、すっかり忘れてたわ。あかり、あんた書いた?」
「うん、もう提出したよ、志保」
「あーっ!それじゃあ、写せないじゃない!!」
「ご、ゴメン」
「ま、まあ、いいけどさ・・・雅史は?もう提出したの?」
「いや、朝の騒ぎで、忘れてたよ。これから提出してくる」
「待ちなさいよっ!まず、私たちに見せるの!提出は、それから!!」
「う、うん、じゃあ、持ってくる」




「浩之、今日はどうしたの?練習にも、気が入ってないみたいだし」
「・・・まあ、こういう日もあるさ」
「あっ、あかりちゃん、待っててくれたんだ」
「うん、浩之ちゃん、一緒に帰ろ」
「・・・僕、今日は急いで帰んないと・・・」
「どうした、雅史?」
「・・・うん、その、ハムスターが、調子悪いみたいで・・・」
「おう、あいつか。俺も行こうか?」
「い、いや、それほどじゃないから・・・じゃあ、あかりちゃん、さよなら」
「さよなら、雅史ちゃん」






「ねえ、浩之ちゃん」
「ん?」
「サッカー、やめちゃうの?」
「・・・なんで、そう思うんだ」
「・・・今日ね、雅史ちゃんの作文を、読んだの」
「・・・あいつ、誰彼かまわず、見せてるのか?」
「ううん、志保に言われて、仕方なくだよ」
「・・・まったく・・・」
「それでね、思ったの。浩之ちゃんが、不機嫌だったのって、雅史ちゃんが、浩之ちゃんと一緒に、プロの選
手を目指してるからかなって・・・」
「・・・・」
「なんか、上手く言えないけど、浩之ちゃんは、きっと、雅史ちゃんが、浩之ちゃんに頼ってるのは、良くな
いって、思ったのかなって・・・」
「・・・そんなんじゃねえんだ」
「・・・・」
「あのな、雅史がサッカー始めたのは、俺が誘ったからだって、書いてあったろ」
「うん、最初の試合、私も応援に行ったよ」
「あれ、別に深い意味なんて、なんにも無かったんだ。ホント、冗談みたいなもんだったんだ」
「・・・・」
「・・・でも、あいつは、一生懸命、頑張ってて、それで、俺も弟子みたく思ってさ・・・」
「ホントに、サッカーばっかりしてたね、あの頃」
「ところが、あいつはいつの間にか、俺より上手くなってて、俺も悔しいから、あいつに隠れて、特訓したりし
てな・・・」
「・・・・」
「今じゃ、マジに俺より上手いんだよ、あいつ」
「そんなこと・・・」
「本人が言うんだぜ、間違いない。それに、でっかい目標まで、もっててさ」
「浩之ちゃんは?」
「俺は、ダメだ。プロなんて、考えもしなかった。なにより、サッカーを、『夢』にからめて、考えたこと自体、な
かった」
「・・・浩之ちゃんだって、きっと・・・」
「なれねえ、って言うか、そこまでなる気はねえ。今日、ずっと考えてたんだ」
「・・・・」
「こんな俺じゃ、あいつの足をひっぱりそうでな。あいつ、努力家だから、人望もあって、来期のキャプテン
は、間違いないんだ。実際、俺なんかとは、段違いなんだ」
「そんなこと・・・」
「・・・なんだか、悔しいような、でも、嬉しいような、寂しいような、変な感じだ」
「ホントに、やめちゃうの?」
「まあ、この時期やめるのが、後輩への影響も少なくて、いい気がするしな」
「・・・雅史ちゃん、きっと・・・」
「だから、早いとこ、言わなくちゃな」
「・・・・」
「あかり、俺がサッカーやめるの、イヤか?」
「・・・ううん」
「そうか?」
「うん、浩之ちゃんが、しっかり考えて、決めたことだもん」
「・・・高校に入ったら、きっと、何かホントにやりたいことを見付けて、頑張るか。ほいで、可愛い彼女でも
作ってな・・・」
「・・・その前に、受験、頑張らないと、今の成績じゃ、浩之ちゃん、どこにも入れないかも・・・」
「あかりっ!!」

ぺしっ







「・・・浩之」
・・・俺がサッカー部やめた時、こいつ、泣き出しちまったんだよなあ・・・
「・・・浩之」
・・・俺もつられて、泣いちまって・・・
「聞いてる?浩之」
・・・やっぱり、今でもまだ、俺と一緒にサッカーやりたいのかねぇ・・・
「だから、僕が左サイドから引き付けといてセンタリングするから・・・」
「ええと、もう一回、最初から、頼む」
「もう、聞いてなかったんだね。いくら授業のサッカーでも、負けたらグラウンド20周なんだから何がなんで
も勝とうって言ったのは、浩之なんだよ!」
「悪かったって、全く、サッカーの事になると、人が変わるんだからなあ・・・」
「何か言った?」
「いや、左からボールまわしてセンタリングな、了解」
「じゃあ、頼んだよ」



・・・あんま、頼りになんねえけど、こちらこそ、よろしく頼むわ、相棒・・・


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あんま、時間ナシ。よって、オマケも感想も、今回は、ナシ。