「雨、止みませんね」 「そうだね」 「先輩、タオル、使ってください」 「いいよ、たいして濡れてないし」 「ダメです。風邪でもひかれたら、私・・・」 「別に葵ちゃんのせいにしたりしないよ。責任感が強いんだなあ」 「・・・そういう事じゃ・・・なくて・・・」 「わかってるよ。心配してくれてるんだろう?」 「・・・・」 「ほら、葵ちゃんも、頭拭いて」 「先輩」 「ん?」 「・・・違うんです」 「何が?」 「だから、さっきの・・・先輩の事が、心配なんじゃなくて・・・もちろん、それもあるんですけど・・・」 「よく、わかんないなあ」 「あの・・・先輩が、修学旅行に、行ってた時・・・」 「ああ、葵ちゃんを一人ぼっちにしてたんだよな。それで、帰ってきたら・・・」 「も、もう。そういう話じゃ、なくて・・・」 「あ、ああ。それで、修学旅行の時が、どうしたの?」 「・・・私、弱くなっちゃったんです」 「強くなってるさ」 「・・・いいえ。先輩と、会えないと思うだけで、私、何もできなくなっちゃって・・・」 「葵ちゃん・・・」 「・・・だから、今も、先輩が風邪でもひいたら・・・私、一人で練習する事になるんだって、思っちゃって・・・」 「・・・・」 「・・・私、弱くて・・・イヤな子です」 「好きだよ」 「えっ!?」 「弱くもないし、イヤでもない。俺は、そんな葵ちゃんが、好きだよ」 「・・・先輩・・・」 「キス、しよっか?」 「・・・はい」 「あーあ、また始まっちゃったよ」 「部長も副部長も、よくやるよなあ」 「・・・俺も彼女欲しいなあ・・・」 「・・・もう、辞めようかなあ・・・こんな軟派なクラブ」 昇格したエクストリーム部、ただ今部員、14名