あたし、マルチって、いいます。 こう見えても、家事全般をこなせるように作られた、メイドロボなんです。 だから、今、ご主人様のために、朝食を作ってるんです。 あたしのご主人様は、藤田浩之っていって、とっても、素敵なご主人様なんです。 いつも、あたしの頭を撫でて 「マルチ、可愛いぜ」って、言ってくれるんです。 そんな時、あたし 「じゅんっ」って、なっちゃうんです。 時々、他の所も撫でてくれて、あたし 「じゅじゅじゅんっ」って、なったりも、しちゃうんです。 そうすると、ご主人様は、もっと他の所も・・・ いけない、早く支度しなくっちゃ。 きっとご主人様は、居間であたしの後ろ姿を見ています。 見えないけど、わかるんです。 視線を、感じるんです。 ご主人様・・・ あっ、早くしないと・・・ あたし、ぼうっとしている内に、ちょっと、濡れちゃったんです。 早くしないと、ご主人様が大学に遅れちゃいます。 トーストを、焼かなくちゃ・・・ 「マルチ!!」 ご主人様の声が、すぐ近くで聞こえました。 いつの間にか、あたしのすぐ後ろに、立ってたんです。 「ご主人様、今すぐ、しますから」って、言おうとしたら、あたしの体、急にピクピクしちゃったんです。 「あっ、ご主人様ぁ〜〜〜」 痺れるような感覚が、それはとてもゆっくりと、あたしの中に・・・ あたしの中から、熱く痺れるような感覚が、広がって・・・ 体が軽くなるような、熱く、いつの間にか、激しくなったその感覚が、ピークに、達して・・・ あたし、気を失っちゃったんです。 「マルチっ!しっかりしろ、マルチ!!」 「うぅ〜〜ん・・・あっ、ご主人様」 「濡れた手でコンセントに触るなって、いつも言ってるだろ!人が注意して見てても、やるんだから・・・」 「うぅっ、すいませんですぅ〜〜〜」 _________________________________ ・・・俺だな、やっぱり・・・ −おまけ− 「あ、あかりっ、パーマなんかかけて、どうしちまったんだよおおおおおっ!!!それに、その、ルーズに、 マニキュア・・・ホントに、どうしちまったんだよおおおおおっ!!!!」 「あっ、浩之じゃん」 「『じゃん付け』すんなあああああああっ