「お父さん、ちょっと、ちょっと」 「ん、どうしたんだ」 「これ、見て下さいよ」 「マンガだね。しかし、えらくたくさんあるが」 「そうなんですよ」 「しかし、マンガぐらいいいんじゃないか?それより、勝手に子供の部屋を開けちゃいかんよ、母さん」 「ただのマンガなら、私も文句言いませんよ」 「おお、そういえば、このマンガ」 「そうでしょう。どう思います?」 「あの子がこんなことに興味を持ってるとは、知らなかったな」 「冗談じゃありませんよ」 「しかしねぇ、私も若い頃は、こういう事にも興味があったしなあ・・・」 「あなたっ!」 「でもなあ、母さん、よく考えてみなさい。子供がこういう事に興味があるのなら、きちんと教えてあげる のも、親の役目じゃないだろうか」 「そんな。私は、嫌ですよ。あなたが教えるのにも、反対です。こんな事・・・」 「別に教えるわけじゃない。ちょっと見せるだけだよ」 「見せるなんて、そんな・・・」 「実際に見れば、あの子もわかるだろう。その上で、あの子が選べばいいんだ」 「選ばせるんですか!」 「なに、いつかはそういう時も来るだろうと思ってたよ。あの子は、もう大人なんだ」 「でも、もしもあの子がそういう道を選んだら・・・」 「大丈夫さ。あの子は、優しい子だ。実際に見れば、そんな道は選ばないだろうと思うよ」 「お父さん、信じていいんですね」 「ああ、大丈夫さ、きっと」 「あかりぃ〜〜!ヤック寄ってこうぜ」 「だめなの。今日は早く帰らないと」 「何かあるのか?」 「うん、お父さんが、後楽園ホールに連れてってくれるんだけど・・・」 「おおっ、今日はタイトルマッチじゃねえか!いいよなあ」 「・・・気が進まないなぁ・・・」 __________________________________