笑えばいいと・・・ 投稿者: NTTT

「セリオ、こっちにいらっしゃい」
「はい、綾香様」
「この口紅、どう?新色よ」
「どう、とは、どういう事でしょうか?」
「だから、どう思う?似合う?」
「何に、どう、似合うのでしょうか?」
「だーかーらっ、私の顔・・・というか、全体の雰囲気というか、肌とか、ファッションとか・・・もういいわ。
あんたって、抽象的な事は今一つわかんないみたいだから」
「申し訳ございません」
「・・・そのくせ、人の機嫌はわかるんだから・・・」
「申し訳ございません」
「ねぇ、あんた、笑ってみて。・・・ああ、そうか、おかしくもないのに、笑えないわよね。ほいじゃあさ、あ
たしが笑った顔を見せるから、真似してみて」
「こうでございますか」
「おお!やれば出来るじゃないの、可愛いじゃない。じゃあ、こんな顔は?」
「こうでございますか」
「そうそう、そんな感じ。そういうのもいいわね。じゃあさ、右手で、鼻をこんな風にして、左手で、口を、
ほ、ほんな風にひて・・・」
「ほうへほはいはふは」
「顔、そのまま、そのままね。で、足は、こ、こんなポーズで・・・」
「ほうへほはいはふか」
「ぎゃははははははは!そうよ、そう。それでこんな風にピョンピョン跳ねて、セバスの所に行ってらっ
しゃい。あーおかしい。そう思わない、姉さん?」
「・・・・」
「姉さん!ちょっと、姉さんはしなくていいんだってば!!!ダメ!!行っちゃダメだって!!!」

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