「へぇ、それにしても年代もののピアノだな」 「スタンウェイだからね。日本には今、5台くらいしかないはずよ」 「綾香、弾けるのか?」 「い、一応、習ったからね・・・」 「なんだか、怪しいな。先輩、ホント?」 「・・・・(こくこく)」 「じゃあ、聞かせてくれよ。ほら」 「あ、あのね、でも・・・」 「本当は、弾けないのか?でも、先輩が嘘つくはずないし・・・」 「弾けるわよ・・・」 「じゃあ、聞かせろよ」 「じゃ、じゃあ、弾くからね」 「ふう・・・まさかこの年になって『猫ふんじゃった』を聞こうとは・・・音までずれてるし」 「うるさいわね!しょうがないでしょ、私は運動の方が好きだったから、すぐに止めちゃったのよ!」 「じゃあ、先輩は、ピアノやってたの?」 「・・・・(こくこく)」 「姉さんはすごいわよ。プロの指導を受けてたんだから。実際、プロ級よ!」 「先輩、聞かせて、聞かせて!」 「・・・・(こくり)」 「久しぶりに姉さんのピアノが聞けるのね。見てらっしゃい!藤田」 「オメーが威張る事じゃねーだろ!でも、先輩、張り切ってるなあ、腕まくりまでして・・・」 「あ、あのさ、綾香・・・」 「うるさいわね、今、いいとこなんだから。すごく上手でしょ」 「いや、上手いことは上手いんだけど・・・先輩、今、頭突きしなかったか?ピアノに・・・ほら、今、顎で 弾いたぞ」 「しっ!もうすぐ出るわよ・・ほら、スカートの中から手を出して弾いたでしょ・・やっぱり、すごいわ、姉さ ん」 「な、なあ・・・先輩、誰からピアノ習ったんだ?」 「世界的に有名なピアニストよ。日本じゃトップクラスね」 「だから、誰なんだよ!」 「山下○輔よ、決まってるじゃない!出た、肘打ち3連発!ブラボー、姉さん!」 「違う・・・何か違う・・・」 ____________________________