秋空模様の小夜曲 投稿者:L&D
 今日は三宮をぶらつく計画の日だっ!
 さーて遊ぶぞ遊ぶぞーっ!…………ん?どうした、やーみぃ?
「甘いなひなたっ!ここにいるのが二人だけと思ったのかっ!?」
「な、何っ!?誰かスペシャルなゲストでもいるというのかっ!?」
「そう!見るがいいひなた、彼こそ今日のゲスト様だーーっ!」
 僕がやーみぃの指さす先を見ると……。
 そこには、可愛らしい子猫が座り込んでいた!
 にゃーん。
「どうだ、ひなた!?」
 腕組みして高笑いをあげるやーみぃ。僕は彼に向かって呟く。
「どうだって……ただの猫やん……」
 しかし、それはやーみぃにとっては笑いを掻き立てられるモノでしかなかったようだ!
「はははははは、そう思うのが素人の浅はかさよ!」
「し、素人っ!?いやこういうのにプロとかアマとかあるのかと思いつつ……」
「何を分からない事をいうとるかっ!さあ先生、出番ですっ!」
 すると子猫はにこっと笑って言ったのである。
「やあひなたん初めまして、智波です」
 …………………ぬわに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?
 久々野さんのSSに犬がSS書いてたってネタがあったけど……ち、ちなみんが本当に
猫だったなんて!アンビリーバブル!
 僕たちは騙されていたのかーーーーっ!?
「やーみぃやーみぃやーみぃ、猫な関係がひざぱで猫耳少女がビーストブリーダー!」
「何言うとるのかわからんがともかく落ち着けひなた!これが現実だ!」
 ががーん。
 錯乱する僕をおいといて、ちなみんは照れたように笑った。
「あ、このままじゃまずいですよね。姿変えますんで」
 ぽんっと煙が立ち、中から現れたのはひょうきんそうなお兄ちゃんだった!
 そうか、この人があのダークな作品群を生み出していたんだな!?そう言われるといか
にもそれらしい人だっ!
「ひなたん、ひょっとして何かすごく失礼なこと考えてない?」
「いえ、滅相もないっ!」
 とりあえず雫下敷きを某所でゲットしてからゲーセンに向かう僕たち。
 ソウルキャリバーであわよくばちなみんと対戦……などと考えていたが、そこで僕たち
は思わぬ機械を発見する!
「こっ、こりはぁ!」
「おおっ、激レアかもっ!?」
 声を上げるやーみぃとちなみん!
 遅れて僕が見ると、そこには東鳩ポスターのスロットが!
 見慣れている人にはさぞ笑止かもしれんが僕たちにとってはレアな機械だっ!
「止めるなっ、俺はやるぜぇぇぇっ!」
 ちなみんは咆吼をあげて二百円をつぎ込む。そう、こいつは二回二百円なのだ。
「芹香様、今俺が救い出して見せますぅぅぅっ!!」
 ちなみんが気合いを込めてストップボタンを叩く。
 その心意気たるや十分だぜちなみんっ!
 呻りを挙げてデジタルのメーターが止まる。
 2、2、3……!
「駄目だぁぁぁぁぁぁーーっ!」
「負けるなちなみん!まだ一回目だ!」
 5、5、6……!
「芹香様、俺は……俺はーーーっ!」
 ちなみんは絶叫すると、両替機に走り大量の100円硬貨を抱えて走ってくる!
 その金全部つぎ込む気か、ちなみん!?
「とりあえず600円ほど行ってみるぞ!」
 オールスカ。
「うがぁぁぁぁーーーーっ!」
「暴れるなちなみん!試しに僕がやってみよう!」
 2、2、2。
 お約束的一発ゲット。
 …………はっ、ちなみんの視線が冷たい!?
「殺してやるーーっ!」
「ひーーーーーっ!?」
 とりあえずおちついたちなみんはさらに400円をつぎ込み、ついにポスターをゲット!
「うっしゃあああああああああああああ!」
 嬉しいかちなみんっ!僕も嬉しいぞ!
 で、気になる中身は、と……。
「僕は綾香だ」
「……いいんちょ」
 ……………………………………………………………………………。
「芹香様ぁぁぁぁっ!!!!!!!」
「暴れるなぁぁーーっ!」
 そして、僕はちなみんの瞳の中に狂気の光を見る。
 ちなみんはちょっと危ない笑いを浮かべつつ、大量のコインを構えた。
「こうなりゃ当たるまでやったらーーーーーーーーーっ!!」
 ちなみん、パチンコの鉄則は決めた額以上は使わないことだぞっ!?
 だが、言えない!今のちなみんには恐ろしくて言えやしないよそんなこと……!
 かくしてちなみんはあっと言う間に2000円を散財する!
「何故でやがらねえんだちくしょーーーっ!」
「ひーーっ!?」
 そのとき、よこから僕たちの前に割り込んできた一人のゲーマーが!
「ちょっとごめんねー」
 2、2、2。
 オメデトウポスターヲアゲルネ(←電子音声)
 しかも、これで打ち止めらしい。なんか機械止まっちゃったし。
 ………僕はこそっとちなみんの横顔を窺った。
 ちなみんは思いの外おだやかな表情で鉄パイプを拾い上げると、言った。
「後ろから襲撃かけて奪いません?」
「犯罪でんがな」
 そのとき、僕がゲットしたポスターをしげしげと見つめていたやーみぃがぼそっと呟い
た。
「あのー、なんかこのトレーディングポスターには芹香様は居ないようなのですが」
 ネガポジ反転。
 時間と空間全ての軸の制止。
 そして……慟哭。
「ガァァァァァソリンもってこぉぉぉぉい!火ぃ付けたらぁぁぁ!!!」
「わーーっ、気持ちは分かるが落ち着けーーーっ!」
 だが、暴れるちなみんにさらにやーみぃの追撃がかけられる。
「しかもリスト見たらゴキブリ女がいるぞ。…つまり芹香様ってゴキブリ女に負けて…」
「うぎゃああああああああーーーーーーーっっ!」
 ああっ、ちなみんが暴走している!?
「ひどいじゃないかやーみぃ!いくらピンズに芹香様だけがいないからって!」
「うひぃぃーーーっ!?」
「充分酷いぞ、おまいも」
 がくっと力無くへたりこむちなみん。
 僕のポスターを見てぼそりと呟く。
「……この際綾香でいいから交換しない?」
「駄目」
「どして?」
 僕はふっと笑いながら言った。
「ハイドさんと悠さんに千円から競りさせたら五千円くらいになるかもしんないし」
「………外道だね、ひなたん」
 買うかい、ハイドさん?(笑)
「こ……こうなったらさっきの某ショップで芹香様バスタオル狩ってやるーーーっ!!」
「駄目だーーっ!9800円をドブに捨てる気かっ!?」
「ドブって言うなぁーーっ!」
 収拾がつかなくなってきた頃……。
「ん?」やーみぃが声を上げた。
 僕たちは顔を上げて彼の方を見る。
「どしたのやーみぃ?」
「いや……今そこに琴…」
 言いかけて、やーみぃはふるふると首を振った。
「……何でもない。疲れてるんだ、きっと」
 変な奴だなぁ。

 その後、昼食を食べにラーメン屋に行く。
 そしてそこに待っていた者こそ僕たちがもっとも恐るべき者であった!
「いらっしゃいませー☆」
 ウェイトレスのお姉ちゃんに僕たちは次々にオーダーしていく。
「はい、半チャンコーンにチャーシューですね。しばらくお待ち下さい」
 運ばれてきた麦茶を啜ってから、僕たちは同時に振り返った。
『千鶴さん!?』
「は?」
 だが、そこに立っていたのは似ても似つかないラーメン屋の店員さんだった。
「いや……本気で疲れてるのかな……」
「今、何か居るわけのない者が……」
「気のせい……だな」
 意味もなく笑ってから、雑談して時間が過ぎるのを待つ。
 やがて運ばれてきたのは巨大な鍋だった。
『………オイ』
 三人同時にツッコミを入れて、おそるおそる蓋を開ける。
 中には耕一さんがぐつぐつと煮えていた。

 何処をどう歩いたのか、そこからは覚えていない。
 怪しい鍋を食べてから某L学園の校歌を斉唱したようなしなかったような気もする。
 ただ明らかになったのは、ちなみんが実は電波使いであったということであった。
「ち、ちなみんって実は電波を受信できたんだねっ!?」
「おうっ!N○K以外ならなっ!」
 受信料が必要だかららしい。
「じゃあ何か電波つかってみせてよっ!」
 だが、ちなみんはちっちっと指を振った。
「残念だがこの力はやすやすと人には見せられないな。ちょっと危険で……」
 そのとき僕たちの背後から声がした。
(見てー、あの人達リュックからポスター出てるよ)
(やだ、アレが有名なオ○クよ、オ○ク)
(気持ちわるーい。ダサダサよねー)
 僕たちはおそるおそるちなみんの顔を見た。
 ちなみんは好青年らしい笑顔を浮かべると、大きく息を吸い込み……。

 この日、三宮の町は電波障害に包まれたことは言うまでもない……。

              おしまい
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ひ:L&Dユニット!
や:特別編!
ち:だニャー!
や:そうそう、作中についてだけどトレーディングポスターは非売品じゃないから
  あまり値は付かないらしいな。
ひ:がーん。ハイド売りつけ計画失敗?(笑)
ち:(ひくっ)
ひ・や:あ……………!?
ち:俺の二千円返せーーーーーーーーーーっ!
ひ:わーーーっ、落ち着けちなみん!いいんちょで我慢するんだ!
ち:ふざけんなーーっ!芹香様だ、芹香様!いいんちょなんてどーだってい…

(ずごしゃっ!)

や:あ……ふーりゅんの鉄槌が………(汗)



 みなさんこんにちわ、赤十字美加香です!
 今回は台風通過の翌日、日本に帰国された智波さんをゲストにお迎えしてお送りしまし
た。作中を見る限りではちなみさんがかなりヤバめの人に見えますが、あくまでもこれは
事実を元にしたフィクションであり、現実の彼は好青年ってゆーかあんまり作中と変わら
ないってゆーか実は二、三の行動はノンフィクションだったりしますが気にしないで下さ
い。基本的にいい人です。
(ばきっ)
 あぅぅっ、すみませんすみません〜!(涙)
 これまた基本的にこの作品は脚色がかなり大げさになっていますが、ひなたさんによる
と「ちなみんに会ったことは本当だからいいのだ」らしいです。でもここだけの話本当は
全部事実です。
 ええ、智波さんは電波を使って猫に変身できるんですね。千鶴さんもいつの間にラーメ
ン屋でバイトを始めたんでしょうかねぇ。そうそう、私はと言えば今日はおうちでお留守
番してたんですよ。智波さんが来ると知っていればおうちの片づけをやっていた所なんで
すが、ひなたさんは汚い部屋にお客さんを通すわけにはいかないって遠慮してました。今
度は私も智波さんに会いたいなぁ。
 さて、今回のL&D日記もそろそろお開きにしましょうか。
 それではみなさん、またお会いしましょーーっ!
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 この作品はフィクションです。
 実在の人物・事件・企業名とは結構関係ありますが思ったほどではありません。