千点頭脳 投稿者:MIO 投稿日:11月1日(水)00時15分
 志保は、パッと椅子の上に飛び乗ると、

「ぱんぱかぱ〜ん! 第二回ッ!! 定期テスト直前付け焼刃勉強会を、これより
開催いたしまぁ〜っす!!」

 元気全開フルスロットルの志保に対し、
「はいはいよかったねぇ、どんどんどんぱふぱふー」
 脱力気味の浩之。
 この態度には、さすがの志保も不満だったが、
「イェーイ! 待ってたヨ、シホー!!」
 何故かノリノリのレミィに後押しされて、機嫌を回復。
 ニヤリと笑って、司会進行、出発進行ぉ!

「どっかの誰かさんは、なんだかヤル気ないみたいだけどぉ〜」
 浩之は半眼で「ほっとけ」と、律儀に合いの手。
「確かにッ! 前回の勉強会は、ちょーっと失敗だったかもしんないわねぇ!」
 コトの元凶であるハズのレミィは笑顔で「そんなことないヨー」
「しかーし!」
 志保は、マイクを持ったフリをして、ググッと力む。
「わたくし志保ちゃんは、同じアヤマチを二度は繰り返さないのであります!」
 浩之はあいかわらず椅子にもたれて「へいへい」
 志保はもう、構うのをやめて弁舌に集中する。
「なんと! 今回は、ヒジョーに優秀な助っ人を用意しておりまぁーす!」
 レミィが目を輝かせて「ホント、ホントー!?」
 浩之が「あぁ? 聞いてねぇぞ」と身を起こす。
 志保は「イヒヒヒ」と下品に笑って、

「浩之、レミィの二人にしつもーん! 我が校における才媛! いわゆる三大頭脳
とか呼ばれちゃってるところの、だーい天才を三人挙げてみようかぁ!」

「さんだいずのうだぁ?」
 首を捻る浩之に代わって「ハーイハイハーイ!」と元気に挙手したのはレミィ。
「では、宮内クン、キビキビ答えてみたまえぃ!!」
 志保に指されたレミィは、ピョコッとSTAND UP!! 
 椅子は後ろにバタン。
 浩之はウンザリ顔。

「エーット、三年生ではクルスガーワのセリーカ先輩だヨ! それからそれから、
二年生ではトモコだよネ! 一年生ではコトーネって聞いてるヨ!」

 志保は、椅子の上で危なげなくジャンプ!
 クリッとまわって、ビシリとキメる。
「ぴんぽんぴんぽ〜ん! 大当たりッ! あんたは偉いッ! あんたが大将!」
 当たり前の文句に、しかしレミィは普通に照れる。
「それほどでもアーリマセーン」

「んで!」

 んで?
「今回は、な、なななんと! その三大頭脳のお一人をお迎えしておりますッ!!」
 浩之は「なんだよ、委員長まで呼んだのかぁ?」と、眉をひそめ。
 レミィは、よくわかっていないけれどニコニコ。
 志保はますますヒートアップ。
「それでは! われら三バカトリオの救世主ッ!」
 浩之が「こらこら、おれを混ぜるな、おれを」と、とりあえずツッコむが、志保
はとりあわない。
 たぶん、聞こえてない。


「おいでませッ! われらが才媛、姫川琴音っちぃぃーーーーーー!!!」
 
 レミィは盛大なる拍手。
 浩之はというと、頬杖がカクンと外れて、テーブルで顎を打つ。
 扉が開いた。
 志保ちゃん、イェーイ!

 姫川琴音、おずおずと登場して、ぺこりと一礼。 

 志保、浩之、レミィを順に見回してから、コホン

「あ、あの、わたし、一年生なので二年生の勉強は全然わからないんですけど・・・
でも、頑張ってお力になります。よろしくおねがいします」

「・・・」 
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
 レミィは、ニコニコ笑顔。
 よくわかってない。
 志保はというと、呆れ顔の浩之に半眼で睨まれて、漸く気付いた。

 姫川
 琴音
 さん
 通称
 ねこ
 っちゃ
 は
 一年
 生
 なので
 二年生
 の
 勉強は
 難しくて
 よく
 わかんなーい☆

「だ、だだだだだぁっ! だれよッ! このコ連れてきた大バカはぁッ!?」

 志保の疑問に、レミィがニコニコと答えた。

「志保デース」
  
  

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