納得の品質 投稿者:MIO 投稿日:10月30日(月)23時31分
 放課後、俺とあかりは二人でヤックに寄り道した。

 適当に注文して腰を落ち着けると、他愛ない雑談が始まる。
 いつものパターンだ。
「・・・」
 会話のネタにつまったときは(そうそうあることじゃないが)、あたりを見まわ
してみる。
(ん?)
 ふと、俺の目線が、いままでパクついていたチーズバーガーにとまった。
 
 おっ、そうだ。

(たしかこの間のテレビ番組で――)
 俺は、このあいだテレビで仕入れた知識を思い出すと、さっそくひけらかしてや
ろうと、あかりの方へ向き直った。
「なぁ、あかり、知ってるか?」
 俺の得意げな表情に、あかりはさっそく興味を抱いたようだ。
「え? なになに?」
 少しだけ身を乗り出す。
 そんなあかりに、俺は、自分のチーズバーガーを指さした。
「ヤックはなぁ、ハンバーガーに使う牛肉一つにも、80以上のチェック項目を設け
ているんだぜ?」
「へぇ、そうなんだぁ〜」
 驚くあかり。
 うむ、素直でよろしい! 
 それでこそ自慢し甲斐があるってもんだぜ。
 俺はますます胸を張り、
「でだなぁ、このような細やかな気配りが、ヤックというビックネームを――」
 だが、
 言いかけた俺を遮って、あかりが微笑んだ。

「でもね」

 でも? 

「わたしだって、浩之ちゃんに108のチェック項目を設けているんだよ」


「・・・」
「・・・」
「え?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

 108・・・

「な、ななな、なにをチェックしてらっしゃるんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 百八もッ!!?




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