よぉ！
　俺が誰だかわかるかッ！
　解るな、解るともさ！
　『や』から始まる三文字の名前が教える、究極のナイスガイッ―――

　ヤ●ザ

　ち、ちがうッ！！
　俺は――

「矢島だッ！！！」

　というわけで、俺様こと、漢一匹信州一人旅矢島は、透明人間になった！
　唐突だが、とにかく俺は透明人間なのだッ！
　いろいろと経緯はあるが――

　透明であるッ！
　
　そのことに間違いはないッ！
　まぁ、今更透明になぞならなくても、俺のハートは限りなくクリアー！
　無限大の器を持つ漢・・・それがヤジマだッ！！
　さて！！
　いくら漢ヤジマが嘘を好まぬ、宇宙的ナイスダンディであるとしても、透明な人
類というものを、一口に信じるわけにはいかないだろう！？
　ナァ、古い地球人よッ！
　だから、今こそ――
　稀代の英雄にして、新人類であり、超矢島帝国の王である、さすらいの無頼漢、
この俺矢島が、懇切丁寧に、透明であることを実証してみせよう！！

　ふふ――
　
　俺はほくそえみ、そっと神岸さんの前に立った。
「・・・」
　ほら見ろッ！
　神岸さんは、まったく俺に気付いていないじゃないかッ！
　それどころかッ！！
　
　バッババッ、シュタァッ！！

　このように、超矢島的かっこいいポーズをばっちりキメても・・・
「・・・」
　神岸さんは気付いていないッ！
　な、スゴイだろう！？
　今、俺は透明なんだ！！
　ふふふ、もっとスゴイものをお見せしよう・・・
　
「あ、浩之ちゃん」
「おう、なんだあかり」
　
　一見、いつもの二人の会話・・・
　しかし、二人の間に俺がいるッ！！
　二人はまるで俺に気付かずに、会話をしているぜッ！
　俺を挟み込んで！
　それなのにまったく気づかずにッ！
　ふふふふふふ・・・

「ははははっははははっ！！」

　わ､笑いがとまらんなぁっ！！！
　
「わーーーーはっはっはっはっは・・・・は・・・」

　は・・・ははは・・・はは・・・
　は・・・

「・・・」

　うっ・・・うう・・・

「・・・お、お願いですから、もぉ無視はやめてください、神岸さぁん・・・」


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ベタ
　　　

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