マイ・パーフェクトレディ #2 投稿者:MIO 投稿日:6月11日(日)19時55分
 親父が中古セリオを買ってきてから、一週間が経過した。
 アレ以来、中古セリオは特に不調を訴えることもなく、黙々と雑事をこなし
ている。
 妙な行動を起こすこともなくなった。
 まぁ、よく考えたら、セリオのあの奇怪な行動も、俺が適当な事を言ったが
ためだろう。
 知り合いに聞いたところ、メイドロボに中途半端な命令をして、ひどい目に
あったというヤツは多いらしい。
 とか、いろいろ考えていると――

「なんなりとお申しつけください」

 俺が命じた『一人で人生ゲーム』を終了させた中古セリオが、俺の前でちょ
こんと体育座りをした。
 ・・・
 もちろん、体育座りも俺の命令である。
 俺の前に座るときは、必ず体育座りをするよう言いつけてあるのだ。
 胸を張って言うが、これはセクハラである。
 ・・・
 しかし、今日の中古セリオは、何故か――
 上着を膝上までギュッと伸ばして、それから体育座りをしている。
 これでは見えない。

「なんなりとお申しつけください」

 見えないだろう。

「見えない? それは、なにがでしょうか?」

 中古セリオは真摯な瞳で、首を傾げた。
 
「なにが、見えないのでしょうか?」

 それは、ほら・・・わかるだろう?

「申し訳ありません。わかりません」

 だからさ。
 その・・・な?
 上着を押し下げてたら、体育座りしたとき、見えないだろう?

「申し訳ありません。質問は明確にお願いします」

 うむ。
 わかった。
 そこまでいうならば、順を追って説明してやろう。
 中古セリオよ。

「はい」

 普段、お前は短いスカートをはいているだろう?

「その通りです。ご主人様の命令で、短いスカートをはいております」

 ・・・
 自分の命令内容を、改めて他人の口から聞くと、
 俺はこんなにもヘンタイだったのか。
 とか思ってしまう。
 俺はヘンタイなのか?
 いや。
 そうじゃない。
 そうじゃないハズだ。
 俺は、俺の魂に忠実であっただけだ。

「もっと短いほうがよろしいでしょうか?」

 ッ!?
 ・・・
 い、いや・・・その・・・
 そうあからさまに言われると、俺も・・・

「これ以上短くすると、下着の露出が考えられます」

 ・・・
 い、いや・・・うん、そ、そうだよな・・・
 で、でもだな・・・

「例をあげるならば、階段を昇る際など・・・です」

 ・・・
 あ・・・

「先日のご主人様のように、階段の下で屈まなくても、見えてしまいます」

 う・・・
 あ、あれは違う・・・違うんだ。
 あれは、ワザとじゃなくて、つい・・・
 不可抗力・・・そう! 不可抗力なんだ!

「もちろん、ご主人様の目的が、わたしの下着の露出であるならば、なんら問
題はありません」

 ・・・
 あ、あぁ・・・
 ち、違うんだ・・・

「下着を見せるべく、スカートを短くするのですね。ご主人様」
 
 ・・・
 うっ・・・ううっ!?

「ご主人様は、わたしの下着を、覗き見たいのですよね?」

 そ、それはっ!
 で、でも・・・

「衛星のデータベースを検索しましたところ、あと2センチ切り詰めることに
よって、理想的なチラリズムが実現できます」

 セ、セリオ・・・

「なんなりとお申しつけください」

 俺が・・・俺が悪かったから・・・ 
 も、もうやめて・・・やめてくれ・・・
  
「ご主人様――」

 な、なに?



「若い男性には、ありがちなことですよ」



 そう言って、中古セリオは優しく微笑んだ。
 ・・・
 ・・・
 次の日、中古セリオは自らスカートを2センチだけ切り詰めた。
 ・・・
 ・・・
 俺は、その日から・・・


 中古セリオのスカートを覗かなくなった。


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 チラリズムの神秘と、罪人にしか聴こえないお説教、なんだか大人びた誘惑。
 それと、ちょっとした成長・・・
 ってところで、どう?

>ラスト・ヒーロー・イン・ねこっちゃ その後

 水方さん、続編をワザワザどうもでした。

http://www.interq.or.jp/black/chemical/