マイ・パーフェクトレディ 投稿者:MIO 投稿日:6月11日(日)19時35分
 10年ぶりくらいに、親父にダダをこねてみる。

「わかった」

 そう言った親父が買ってきたのは、中古のメイドロボだった。

「セクハラ済みだぞ」

 嫌な親父だ。
 わざわざ言わなくてもいいものを。
 まぁいい。
 俺だって、前のユーザーに負けないくらいセクハラしてやる。
 俺は息巻いて電源を入れた。

「なんなりとお申しつけください」

 中古だが、親父の買ってきたそれは、間違いなくHM−13型セリオ。
 世間ではまだ最新型扱いのハズだ。
 どうやら、親父はかなりの掘り出し物を見つけてきたらしい。
 やったぜ。

「なんなりとお申しつけください」

 うむ。
 たしかセリオは、サテライトなんとかってのが使えたハズだ。
 衛星からどーのこーのして、様々な分野のエキスパートに変身・・・
 よーするにアレだ"ミン●ー●モ”みたなもんだな。
 
「なんなりとお申しつけください」

 わかったわかった。
 えーっと、どーすっかな。
 掃除・・・は昨日、自分でやったばかりだ。
 洗濯も然り。
 料理・・・
 しまった、さっき自分で作って食っちまったじゃねえか。
 くそっ、今日ほどマメな自分が憎たらしく思えた日はないぜ。
 う〜ん。

「なんなりとお申しつけください」

 おっ、そうだ。
 セリオは、プロフェッショナルに変身出来るんだよな。
 ここは一つ、専門職でもないと不可能なことをやらせてみよう。
 たとえば・・・散髪ッ!
 ちょうど髪も伸びてきたし、散髪ってのは専門のテクニックが必要だしな。
 よしセリオ、髪だ、俺の髪を整えてくれぃ!

「了解しました」

 サテライトなんとかってやつを使って、カリスマもビックリなヤツを頼む!

「了解しました。どのような髪型にいたしましょう」

 あん?
 そうだな、とりあえずカッコイイやつだ。
 なおかつ、偉く見えるように。

「偉く見えるように?」

 偉く見えるようにだ。
 あかりとか志保が、頭を地面にこすりつけるくらいに。
 偉く。

「了解しました」

 セリオは、慣れた手つきではさみを操り出す。
 ちょきちょき。
 ちょきちょき。
 なるほど、巧いものだ。
 ちょきちょきちょき。
 
「・・・」
 
 ところでセリオ。
 自分で言っておいてなんだが・・・
 偉く見える髪形って、どんなんだよ。

「はい、とりあえず、実際に偉くてカッコイ人を参考にして、カットしています」

 ほぉ。
 誰だ、その偉くてカッコイイ人ってのは?
 どのくらい偉い?

「すごく偉いです」
 
 ふぅん。



「北朝鮮でいちばん」



 ・・・
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 
 う、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?


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 あれ?
 SSが途切れてますよ?(笑)
 それはそれとして――
 あの髪型は、ちょっとオカシイと思う。

http://www.interq.or.jp/black/chemical/