10年ぶりくらいに、親父にダダをこねてみる。 「わかった」 そう言った親父が買ってきたのは、中古のメイドロボだった。 「セクハラ済みだぞ」 嫌な親父だ。 わざわざ言わなくてもいいものを。 まぁいい。 俺だって、前のユーザーに負けないくらいセクハラしてやる。 俺は息巻いて電源を入れた。 「なんなりとお申しつけください」 中古だが、親父の買ってきたそれは、間違いなくHM−13型セリオ。 世間ではまだ最新型扱いのハズだ。 どうやら、親父はかなりの掘り出し物を見つけてきたらしい。 やったぜ。 「なんなりとお申しつけください」 うむ。 たしかセリオは、サテライトなんとかってのが使えたハズだ。 衛星からどーのこーのして、様々な分野のエキスパートに変身・・・ よーするにアレだ"ミン●ー●モ”みたなもんだな。 「なんなりとお申しつけください」 わかったわかった。 えーっと、どーすっかな。 掃除・・・は昨日、自分でやったばかりだ。 洗濯も然り。 料理・・・ しまった、さっき自分で作って食っちまったじゃねえか。 くそっ、今日ほどマメな自分が憎たらしく思えた日はないぜ。 う〜ん。 「なんなりとお申しつけください」 おっ、そうだ。 セリオは、プロフェッショナルに変身出来るんだよな。 ここは一つ、専門職でもないと不可能なことをやらせてみよう。 たとえば・・・散髪ッ! ちょうど髪も伸びてきたし、散髪ってのは専門のテクニックが必要だしな。 よしセリオ、髪だ、俺の髪を整えてくれぃ! 「了解しました」 サテライトなんとかってやつを使って、カリスマもビックリなヤツを頼む! 「了解しました。どのような髪型にいたしましょう」 あん? そうだな、とりあえずカッコイイやつだ。 なおかつ、偉く見えるように。 「偉く見えるように?」 偉く見えるようにだ。 あかりとか志保が、頭を地面にこすりつけるくらいに。 偉く。 「了解しました」 セリオは、慣れた手つきではさみを操り出す。 ちょきちょき。 ちょきちょき。 なるほど、巧いものだ。 ちょきちょきちょき。 「・・・」 ところでセリオ。 自分で言っておいてなんだが・・・ 偉く見える髪形って、どんなんだよ。 「はい、とりあえず、実際に偉くてカッコイ人を参考にして、カットしています」 ほぉ。 誰だ、その偉くてカッコイイ人ってのは? どのくらい偉い? 「すごく偉いです」 ふぅん。 「北朝鮮でいちばん」 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ う、うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? ------------------------------------------------------------------- あれ? SSが途切れてますよ?(笑) それはそれとして―― あの髪型は、ちょっとオカシイと思う。http://www.interq.or.jp/black/chemical/