彼女の自転車 投稿者:MIO 投稿日:5月21日(日)19時31分
 マルチは自転車に乗れない。
 いくら練習してもダメだった。

 だから、浩之はビックリした。

 ちりり〜ん♪

 向こうから来るのは、マルチその人であり、そのマルチが乗っているのは、間違
いなく自転車だった。

「おわ」マルチめ、自転車乗ってやがる。

 しかも、軽快にベルなんかならしているゾ。

 ちりり〜ん♪

 マルチは、自転車を浩之の目の前で止めると、「うんしょ」とおりてペコリとお辞儀
した。

「浩之さんコンニチワ! 今日はとってもいい天気ですね」

「そうだな」自転車に乗れるマルチよ。

「天気の良い日は、キモチイイです」

「それよりマルチ、おまえ、自転車に乗れるようになったのか」おめでとう。

「え?」

「ん?」

「やだなぁ、浩之さん。違いますよー」

「ん? だから、なにが違うんだ?」

「これ、自転車じゃないですよ」

「自転車じゃない?」

「はい、これは―――」

 マルチは、自慢気に自転車(にしか見えない)を撫でて、こう言った。


「これは、タイヤ付き、エアロバイクですー」


「・・・」

「・・・」

「・・・そうか、タイヤ付きエアロバイクか・・・」

「はい! あ、それじゃ、浩之さん。また明日ですー」


 ちりり〜ん♪

 
 マルチは去っていった。
 俺は考える。 
 すごく、すごく、とても、とても、考える。

 翌日・・・


「同じじゃボケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」


 バスンッ!!


「べむらぁっ!!??」


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 いかん、気づいたらシリーズ化してるじゃないか・・・
 ってワケで、これで終わり。
 最終回。

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