最新情報  投稿者:MIO


「最新情報ぉ?」
 セリオの言葉に、綾香は首をかしげた。
「それが、新サービスなの?」
「はい、契約すると、さまざまなジャンルの最新ニュースを、素早く、確実に入手
可能です」
「なんかメリットあるわけ?」
「ないですか? メリット」
「・・・」
「・・・」
「あるわね、メリット」
「はい」
 綾香は、ちょっと考える。
 要するに、セリオは綾香に、その新サービスを試してみるかどうかを聞いてるん
だろう。
(最新のニュースねぇ・・・あの長岡って娘ほど、情報には飢えてないんだけど・・・
でも、そうね・・・面白そうだし―――)
「わかったわ、そのサービス試してみようじゃない」
「分かりました・・・それで、情報のジャンルはいかがいたしましょう?」
 ジャンル・・・
「あー、格闘技関係とぉ・・・あと、適当にみつくろっといて」
「はい」


 時計が、午前2時を指した。
 マルチが浩之の寝顔を激写している、ちょうどその頃・・・
「綾香お嬢様・・・綾香お嬢様・・・」
 ユサユサ・・・
「うぅ〜・・・」

「起きてください・・・綾香お嬢様・・・」
 ユサユサ・・・
「・・・ん〜・・・うるさ〜いぃ・・・」

「・・・セリオ光線!」
 カッ!!!
「うっ!?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「セリオ、あ、あんた今なにを―――」
「それよりも、最新情報です」
「は?」
「最新情報」
「???」
 綾香の寝ぼけた頭が、徐々に正常な働きを取り戻し始める。
 数秒後、昼間交わした、セリオの新サービスの契約のことを思い出した。
「たった今、最新の情報が入りました」
「い、今何時だと思ってるの・・・」
「情報は、新鮮であるほど有利なのです。お寿司のネタと同じです」
「理屈はわかるけどねぇ・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「最新情報が・・・」
 早く寝たい。
 怒るのは一眠りしてからでいいや・・・
 綾香はそんな事ばかり考えている。
(聞くだけ聞いて、早く黙らせよう・・・それで、明日の朝一番に解約ね)
「最新の情報が、最新でなくなってしまいますが・・・」
「あー、はいはい、聞きます聞きます・・・ふぁ〜」
 投げやりな綾香に、セリオは得意げに言った。


「一重化学で、画期的な農薬『イナサクZ』が開発されました」


「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「で? それを私にどーしろと?」
「・・・」
「・・・」
「たわむれに農作業などを―――」


「するかっ!!!」