瑞穂の細腕乾燥機  投稿者:MIO


Get Free! Get Free! Get Free!!!

 やぁ、みんな! ついに! ついについに帰ってきたよ!
 誰がって? そりゃアンタ! 彼さ! 彼だよ!
 男らしい甲羅!
「シッルバァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
 鱗に鎧われたボディ!
「チャリオッ!!!!!!!!!!!!!」
 そうさ、僕らのポルナレフが!
 みんなのポルナレフが、ついに―――

「じゃっかしぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 暗雲を踏み割って、天空から護衛機と共に降り立つ私!
 対空射撃を鋼鉄のメガネで弾き返し、戦車を踏み潰す私!
 四本の巨砲が(臀部内蔵)、暗い空に火を噴き、街を紅蓮の炎に包むの!
 それが私!
 みずピーこと、藍原・ジュリア・ブリリアント・ナイアトラトフォテッ
プ・ヨグソトホート・クトルゥフ・ダゴン・ラングレー・スミス・アンダ
ーソン・アーカム・瑞穂!
 戸籍上で言うところの藍原瑞穂です!

 瑞穂の細腕シリーズを知らない人々に告ぐ!
 このシリーズを知らない人々・・・それは、つまるところ現代社会において『お
たく』とか『マニア』とか呼ばれ、一般人から理不尽な迫害を受けながらも、人と
しての生きる道を誤らず、清く正しく生きてきた人々!! 
 そう、今ディスプレイの前でニヤニヤ笑っていたキミだ!
 そんなキミにお教えしよう!
 これから怒涛の如く始まるかもしれない、瑞穂の細腕シリーズについて!

 そう、これは・・・希望に燃える一人の社会人一年生が、数々の苦難と、出会い
と別れと、強力なスタンド使いとの死闘を経て、千年のパズルを解き、立派な社会
人に成るまでを赤裸々に、何の惜しげも無く、躊躇も容赦も同情も無く、てやんで
ぇとめれるもんならとめてみやがれ的な勢いで書き綴る、サクセスストーリー気味
なSSなのである!!!!!

 さ、道を踏み外すときは来た! あって無いような前回までのあらすじを見よ!!!

 前回までのあらすじ。
 
 あのね、瑞穂の家はね、縄文時代から代々続く、由緒正しい魔物ハンターの家系なの!
 でも瑞穂、普通の女の子でいたいの! 普通にお友達と喋って、普通に恋するの!
 ああ、長瀬せんぱい!
 それなのに運命って残酷! そんな瑞穂のお願いもむなしく、学園に魔物が現れたの!
「うわー! たすけてくれー!」    
 長瀬せんぱいの大ピンチに、瑞穂は・・・瑞穂は!
「変身よ! コモンアンコモンヌイテヨンヒャクエンプラスショウヒゼイカヨ!!!」
 ピッカーーーー!
「みずピー! そのコスプレは一体!?」
「ああ、見られる快感!? 瑞穂、イケナイ女の子になりそう!」
 
 全部ウソだ!
 どんまい☆


 真 瑞穂の細腕シリーズ
 ――世界最後の地球静止作戦――
 第?話『千年王国の野望』

  
 あ、どうも。
 私、藍原瑞穂は社会人一年生のメガネっ娘です。
 ここんとこずっと休んでいましたが、ついに復活です。
 さあ、ディスプレイの前の大きいお友達!
 復活祝いですよ! 一緒にみずピーのポーズを取りましょう!
「右手を前にっ! 掌はパー!」
 バッ!
「左手も前にっ! こちらはグー!」
 ズバッ!
「右と左、ジャンケンしたらどっちが強いか!? そりゃ当然パーでしょう!!
グー負け!!! 負けって事で―――自分を殴るっ!」
 バキッ!
「ぐはぁっ!」
 ぜーぜーはぁーはぁー・・・・
 すごく痛いです。
 口の中血だらけ。
「ぺっ」
 からん
 歯が・・・
 私は、私自身の奇行に驚き、呆然としてしまった・・・
 どうして私は、私の歯がへし折れるほどの勢いで、私を殴るのか・・・
 まさかスタンド能力に目覚めてしまったのカシラ!?
 とか考えていると・・・
「いきなりバイオレンスね、瑞穂」
 この声・・・
 このロボット刑事も裸足で猫を追いかける、冷淡な声は!
「香奈子ちゃん!」
 香奈子ちゃん香奈子ちゃん香奈子ちゃぁん!
 振り向くと、艶やかな黒髪と、やや三白眼気味の瞳が印象的な美少女が、こちら
を見つめていました。
 太田香奈子ちゃん・・・私の大大大大大大親友なの!
 その憂いを帯びた表情に 瑞穂のハートはいつでもドキンコです。
 瑞穂と結婚してほしい! そんなイケナイ妄想を私に抱かせる罪な少女、それが
太田香奈子ちゃん、私は彼女のことが―――
「好き・・・」
 ぱん!
 ぶたれた。
「どどどど、どうして突然平手打ちするの?」
 香奈子ちゃんは、ぷいっとそっぽを向きました。
 もぉ、とっても照屋さん。
 スゲェ好きだ! 弔いの鐘が鳴り響くほどに! 世界の果てを見せてやりてぇ!
「そういえば、私たち同僚になったのよね」
「同僚? でも、今までも・・・」
「今までは違うわ!!」
「香奈子ちゃん・・・」
 そう、確かに今までは違いました。
 私は雫商事の新入社員、そして香奈子ちゃんは、雫商事を産業スパイするために
派遣された、悪徳商事のエージェント(コードネームはスミス)だったのです。
 ですが、些細なトラブルから私は雫商事を辞めました。そして、香奈子ちゃんと
同じ悪徳商事に入社してしまったんです!!
 ああ、私もついに悪の道へ・・・トホホ
 とは言え、私も立派な大人です。たとえ嫌な仕事だろうと責任を持ってこなす! それが社会人というものでしょう! 有名人でなくても新聞の一面を飾れるということを、身を以って世間に知らしめるの!
 そのためには、たとえ手が後ろに回っても、ジャケットだけはかぶらないわ!
 アハハハハハッ、ほらほらアタシにもっとフラッシュをちょうだいな!!
 というわけで・・・
「さ、私はどんな悪事を働けばよろしいですだ? ドロン○ョサマ〜!」
 ぱん!
「あっ!」
「瑞穂、私の平手打ちは痛い?」
「痛気持ち良いカンジだよ。 それよりも―――」
「うん、詳しくは柳川部長に聞いて」
 柳川部長・・・私たち産業スパイの上司にあたる方です。
 メガネの似合うクールガイで、社内でも一番の悪党というウワサ! 当然、女子
社員(緑ラルヴァ)の憧れの的です。
 私は、さっそく柳川部長にお話を伺いました。
 社会人の基本は『ほうれんそう』! 食べて頑張れ、もやしっ子! という意味
です、タメになるSSだなぁ・・・
「それで、お仕事ですけど―――」
「・・・貴様も知っての通り、表向きの我が社は、人材派遣会社ということになっ
ている」
「そうだったんですか?」
 可愛く小首を傾げるみずピーに、柳川部長は知らん顔。
 もう、ヤなカンジ!
「―――だが、本来の職務は違う。我々の真の職務とは、さまざまな会社に産業ス
パイとして潜り込み、事業の邪魔をしまくって、嫌がらせすることだ」
「嫌がらせ」
「そう、嫌がらせだ」
 部長は相変わらずムスッとした顔で頷きました。
「―――それで貴様には、この会社をスパイしてもらう」
 部長は、私のペタンコな胸に、資料を乱暴に押し付けましす。
 きゃっ、セクハラよ!!
 まあ、それはともかく。
 ええっと、私がスパイする会社はぁ・・・
「来栖川グループ?」
 私が思わず呟いた、その時!!


「お待ちなさい!」


 突如聞こえてくるラテンな音色・・・これは『ヒロミ・GO!』の歌声!?
 曲名は、懸命なる読者諸君の想像にお任せするとして―――
「だあれ!? ―――あン!?」
 猛烈極まりない逆光!?
 これは一体―――
「蛍だ、瑞穂」
 柳川部長は、いつのまにかサングラスを装着し、腕組みしていました。
「蛍!?」
 柳川部長の言葉に目を凝らすと・・・・本当だ!
 あの猛烈な輝きは、億千万の蛍たちの仕業!?
 ああ、でもやっぱり眩しいです! 私には、女性のシルエットしか見えません!
「来栖川グループの産業スパイの座、あなたみたいなヒヨッ子には―――」
 誰!? 一体全体誰なの!?

「わたしませんことよっ!!!!」(エコー)

 あ、あなたは―――
 思わず叫びそうになる私。
 しかし、柳川さんの呟きが、いち早く私を制しました。
「おネギ夫人、君か・・・」
「お、おネギ夫人!?」

 お台場三丁目に現る〜♪


 続く!!!!!!!!


 次回予告!!!

 横浜中華街の路地裏。
 pm 18:27
 どしゃ降りの雨。

 ポルナレフだ・・・
 なに? 俺の話はどうなったかって? 
 ふっ、悪いが昔の話をするのは好きじゃないんでね・・・
 現在の話? 現在ってのは産まれたての過去のことを言うのさ。
 振り返っちゃいけない・・・俺達は、いつだって未来に生きている。
 がむしゃらさ。
 今だって、あの時だって、いつだって―――そうだったろ?
 なぁ、ジョニー―――ゲホッ、ゲホッ!
 ふふっ・・・すこしお喋りが過ぎたようだ・・・
 つまり・・・ゴホッ! つまり、俺が言いたいのは―――
 
次回『君が未来に託すもの・・・』

 まいったな・・・血が、とまらない。



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 次回からは、もうちょっとマトモになります・・・
 たぶん。