め・ぐ・す・り  投稿者:MIO


 河原に寝そべって空を見上げると、雲が見当たらない。
 そうか・・・今日はいい天気なんだな。
 そんな下らない事に、今ごろ気づいてしまった・・・
 ん?
 もしかしたら、空を見上げたのは、これが今日で最初なんじゃないか?
 ・・・
 そういや、昨日は空を見上げただろうか?
 ・・・
 まあ、なんにせよ、今日はこいつがいるから・・・
 そうだな、こいつがいるから、空を見上げてるヒマなんてない。

「アハハッ、そんなの絶対ウソよぉ〜」

 綾香が可笑しそうに笑って、そう言った。
 まったく信じてないその口調に、俺は少しだけムッとする。
「ホントだって。信じろよ」
「だってさぁ」
「彼氏の言う事が信じられないってーのか?」
「なに怒ってるの? まあ、本当にやってくれたら信じても良いけわよ?」
「ホントだな?」
「もちろん! 神に誓うわ。 そのかわり、で・き・た・ら・ね」
 綾香はまるっきり信じていない。
 んだよ、本当にできないと思ってんのか?
「よぉし、じゃあ、ホントに出来たら、俺の言う事なんでも聞けよ!」
「いいわよ。そのかわり浩之が負けたら・・・」
「負けたら?」
「こってりラーメンおごって」
「・・・」
 相変わらず安い女だなぁ・・・
 ま、助かるけどよ。
「降参するなら今のうちよぉ?」
「なに言ってやがる。ホレ、綾香っ、膝枕っ膝枕っ♪」
「もぉ、それが目的じゃないでしょうねぇ?」
 ブツブツ言いながら、綾香は河原にぺたんと座った。
 頭を乗っける・・・
 う〜ん、あいかわらずジャスト・フィットだな。
「まるで俺のためにあつらえたかのような・・・」
「バカなこと言ってないの」
「うむ。では見せてやろう、藤田浩之24の必殺技の一つ! 『まぶたを指で押さえ
ずに目薬を指す俺様』!!!!」
 この技は、『トイレで小便を異様なまでにアワ立てる俺様』についで強力な必
殺技だっ!!! この目薬技で、俺は雅史を泣かしたこともある!
 ちなみに・・・
 トイレの方の必殺技では、あかりを泣かしたぜ!!
「見てろよぉ〜!」
 俺は得意満面で、ポケットから目薬を取り出した。
「いくぜ、綾香!」
「はいはい、いつでもどーぞ」
 俺は目薬のふたをあけて、顔面の上に運んだ。
 決してはずさん! 一発で決める!!


「どりゃあぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 行ける! 今日の俺は絶好調だ!
 自己新記録が出せる!!
 俺が勝利を確信したその瞬間!
「ぷっ・・・ぷあはははははっははははははっ!」
 綾香が爆笑した。
「コラ! 笑ってないで見ろよ!」
「だ、だって、アハハッ・・・」
「ホラ、いくぞ! でりゃぁーーーーーーっ!」
「ぷぷっ・・・あはっ! あはははははっ!」
「ちゃんと見ろって! ホラ、雫が落ちるから! ホラ! おりゃあああっ!」
「あははっ、な、なんでいちいち叫ぶのよぉ〜」
「必殺技だからだろうが! ホラ、今だよ、今! 見ろって! そりゃあっ!」
「あははっははははっ!」
「のぅりゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ひぃひぃひぃ・・・そ、それに、どうして口が半開きなのぉ〜っ?」
「自然となるんだ! けりゃぁぁぁぁぁっ!」
「ぶあははははははーーーーーーーーっ!」
「どりゃりゃぁっ!!」
「ま、間抜け面ぁっ! あははははははっ!」
「そりゃそりゃそりゃぁ〜いっ!!!!」
「あははははははっ! お、お腹痛いぃ〜」



「うりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 



----------------------------------------------------------------------

>日々野さま
 そうですね。
 もっと早くに、やりだした俺が、自重すべきだったのでしょう。
 俺がボヤボヤしているばっかりに、気分の悪い発言をさせてしまった事、深く
お詫びします。



 っつーワケで、俺は矢島いじめをしばらく自重しようかなぁ〜
 とか、思っております。
 ・・・
 それが俺の決断なワケっス。
 ・・・あくまで『俺』のですが。
 そう―――
 貴方が、なにかしら思うところがあるのなら、なにかしら信念があるのなら、必要だと
感じちゃってるのなら、ラブラブだってんなら、間違い無く、矢島は貴方のものだ。
 たぶん。
 愛があるなら、止める理由もねぇっス。
 SSにゃあ愛! あと良識! 良識! 
 ・・・
 ・・・
 ・・・
 それと、夢と魂と妄想と野望と欲望と挑戦と向上心と度胸と根性とミラクルとぉ・・・