葵ちゃん、琴音ちゃん、マルチ・・・ 三人を前にして、俺は問う。 「あなたの家が、突然大火事になりましたっ!」 葵ちゃんは、まじめにうなずく。 「はい!」 琴音ちゃんは、俺の真意を計り兼ねて、あいまいに微笑んだ。 「は、はぁ・・・」 マルチは・・・、良く分っていない。 「それは大変です!!!」 さあ、ここからがクエスチョン! 「たった一つだけ持って逃げれるとしたら、あなたは一体何を持って逃げますか!?」 最初に答えたのは、葵ちゃんだった。 「あの・・・、綾香さんからもらった格闘技の本があるんです。私、それで・・・」 「ふむふむ」 次に答えたのは、琴音ちゃん。 「あ、私、小さいころから大切にしている帽子があって・・・宝物なんです」 「なるほど・・・、んでマルチは? 何をもって逃げる?」 「わたしですか? えぇっと」 「なんか大切なものとか、ないか?」 「大切な・・・」 マルチは困った顔をして逡巡していたが、やがてパッと笑顔になった。 「わたし、浩之さんとの思い出が、一番大切です!」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「マ・・・マルチ正解!!! ほか全員退場ぉぉぉっ!!」