雅史マサシ雅史 投稿者:MIO
 やあ、僕は佐藤雅史。
 あんまり目立ってないけど、僕の事は知ってるよね?
 え? 知らない? あはは、まいったな。
『佐藤雅史くん!』
 え!?
「だ、誰!?」
 見ると、僕の部屋の窓際に、クマのぬいぐるみそっくりの生き物が立っていたんだ。
『佐藤雅史くん! 大変なんだ!』
「ぬ、ぬいぐるみが喋った!?」
『僕の名前はクーマ! こう見えても魔法の国の王子なのサ!』

 驚いたことに、それは、夢でも幻でもなかったんだ!
 クーマの話によると、魔法の国からこの世界に逃げ込んだ、悪い妖精たちを一週間以内
に捕まえないと、この世界は滅びてしまうらしいんだ!
「た、大変だ! すぐに捕まえないとっ!」
『悪い妖精は、人間の男の子に取り憑いているんだ! 取り憑かれた男の子は、体のどこ
かにハート型のアザが出来るはずだよっ!』
「よ、ようし・・・わかった!」


 放課後の教室。
「―――でよー、志保のヤツとうとう怒り出してさぁ」
「うふふふっ、浩之ちゃんったら・・・、でも、それって志保がかわいそうだよぉ」
 ガララッ!
「浩之!」
「よぉ、雅史じゃねーか。ちょうどよかった、聞いてくれよ、志保がさ―――」

「浩之、服を脱いでっ!」

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「で、でさあ、志保が―――」
「無視しないでよ浩之!」
「う、うるせぇっ! せっかくヒトが、さっきのデンジャーな台詞を、聞かなかったこと
にしてやったっつーのに!」
「大変なんだよ!」
「なにがだよ!」
「服を脱いでよっ!」
「あのなぁっ! とにかく事情を説明しろよっ! 事情をっ!」
「世界が滅ぶんだ!」
「なるほど、じゃあ脱ごう」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「―――って、脱げるかぁっ!」
「いいから、いますぐ裸になってよ、浩之!」
「な、なぁ・・・俺たちゃ、友達以上のカンケーになっちゃマズイと思うんだよ、なんつ
ーかさ・・・俺、その気ないし・・・ホラ、わかるだろ!?」
「わかるよ! わかるから、服を脱いで!」
「お前なぁっ!」
「脱ぐだけでいいんだ、浩之っ!」
「ま、雅史ちゃん・・・あの、その、愛情っていろいろあると思うけど・・・」
「だぁっ! さわんなっ!」
「脱いでってば! 世界が危ないんだよっ!」
「差別はしないよ? でもね、あのね、やっぱり、無理矢理は良くないかなって・・・」
「世界が危ないだぁっ!? 危ないのは、俺の貞操と、お前の頭の中だっ!!」
「何の話!? とにかく、服を脱いでくれればいいんだって!」
「私・・・、薄々気づいてたんだ、雅史ちゃんのキモチ・・・。うん、やっぱり正々堂々
がいいよね・・・、だから、上手く言えないけど・・・、お互いがんばろうっ!」
「わーーーーーーーっ!? お前、今なにしようとしたっ!?」
「こうなれば、無理矢理引っぺがすよ、浩之!」
「マジかよぉっ!!?」
「ハダカにっ!」
「ああっ! 雅史ちゃん、人の話し聞いてないっ!!!」
「ひぃぃぃっ! や、やめてぇーーーーーーーっ!!!」

 世界滅亡まで、あと7日・・・