タイトル 塚本にゃあ明神 投稿者:MIO
 にゃあっ!

「んじゃ、賽銭でも放るか・・・瑞希、金だせ」
「って、なんでわたしが出さなきゃいけないのよ! よりにもよって、あんたが漫画家に
なるためにお賽銭を払うなんて―――」
「わかった、わかった・・・冗談だって。え〜っと、100円でいいかな?」
「ダメだぁぁぁぁっ!!!!」
「わっ!?」
「きゃっ!?」
「貴様! まい同志和樹よっ! 吾輩と共に全オタクの頂点に立ち、至福の千年王国を築
こうという漢が! よりにもよって神社に神頼み!? いや・・・それだけなら、まだ許
せるというものっ!」
「・・・どっから、わいてでたんだ・・・」
「もぉ、なんでこーなるわけっ!?」
「―――だが! この尊い野望達成を願って支払う賽銭が・・・ただの百円硬貨一枚とは
これいかに! 答えるのだまいぶらざー! ええっ、まいぶらざー、あ〜んど、まいしす
たーよっ!!」
「で? お前なら、いくら賽銭を入れるんだよ」
「フッ! 吾輩は、ご縁がありますようにと―――五円だ!」
「・・・」
「・・・」

 にゃあ〜っ、千沙ですぅ!
 ただいま、賽銭箱の中からお届けしておりますぅ!
 え? どうしてそんなところに居るのかって?
 実は千沙、ただいま賽銭ドロボーの真っ最中なのですぅ!

「ふっ、まいぶらざー、賽銭は吾輩のように優雅に、そしてえれがんとに投入すべし!」
「普通に入れろよ、ふつーに」
 コツン!
 にゃっ!
 コツン! 
 にゃにゃっ!
 にゃあ〜、お賽銭が頭に当たってしまいましたぁ〜
「ねえ、ちょっと変じゃない? お賽銭の音・・・しなかったようだけど」
「ん? そう言えばそうだな・・・」
「よく気づいたなまいしすたー! それは、オタク絶対神に、我らの願いが届いた証拠で
あろう! 神! その名はダイバダ―――」
「あー、うるさいっ! お前はちょっと黙ってろ!」

 にゃぁ! このままでは、千沙が賽銭ドロボーであることがバレてしまいますっ!
 警察の留置所で、クサいメシはいやですぅっ!
 そんなことになったら、千沙は・・・千沙はぁぁ・・・
 そうですっ!
 千沙はとってもイイコトを閃きましたぁっ!
 
「にゃあ! わ、わたしは、神である・・・ですぅ!」

「・・・」
「・・・」
「おおっ! 賽銭箱の中から美幼女とおぼしき声がっ!」

「お、お賽銭・・・ありがたく頂戴するですぅ!」

「・・・」
「・・・」
「おお神よっ! 吾輩の聖なる野望を叶えたまえ!」

「そ、それではサヨウナラ」

「・・・」
「・・・」
「聞いたか、まいぶらざー! 神を味方に付ければ、我らの偉業ももはや達成されたも同
然だ! えくせれんっ!」

 ふぅ、なんとか誤魔化せましたぁ・・・
 そうだ! この方法を使えば、安全に賽銭ドロボーができますです!
 にゃにゃにゃぁっ!

 

 ―――本日未明、神社の賽銭を狙った、窃盗犯が逮捕されました。
 この窃盗犯は、神社の賽銭箱に潜み、神仏のフリをして参拝者から金を巻き上げるとい
う手口を繰り返し・・・
 
「やっぱり捕まったのか・・・」

 警察に通報され、2時間に及ぶ逃亡劇の末に・・・

「あのとき止めておけば良かったかな・・・千沙ちゃん」
「ホラ! マンガなんか描いてるから、犯罪者の知り合いなんかできるのよ!」
「ま、まあ、そう言うなよ瑞希、犯人もほら・・・」

 犯人は、金に困ってやったと犯行を認めており・・・

「反省してるみたいじゃないか」