「浩之ちゃん、わたし、ちょっと太っちゃったみたい」 「・・・」 「・・・どうしたの?」 「・・・一日で―――」 「?」 「一日でスモーレスラーなみに太るなぁっ!!!」 「・・・うぅ、ごめん」 ったく、謝るくらいなら、いきなり体積を5倍にして現れるなっつーの。 信じられねーやつ! だが、会話を聞いていた志保は、 「ちょっとヒロ! あんたねぇ、女の子がちょっと太ったくらいで―――」 俺の台詞に納得がいかないらしい。 皆まで言わせず、俺は反論した。 「これがちょっとか!? これがっ!」 あかりの腹を叩くと、妙に締まりのない感触が反ってくる。 うぅ・・・ 「浩之ちゃん、痛いよ・・・」 うそつけっ! 「とにかく! 普通は一日でこんなにはならん!」 「バカ言わないでよヒロ! 女の子だったら、ちょっと甘いもの食べただけで―――」 「なるかっ!」 と、その時。 「やあ、二人ともどうしたの?」 雅史か・・・ちょうどいい。 「おい、雅史! 見てくれよ、このあかりの太りようをっ!」 「え? あかりちゃん、太ったの?」 って、あのなぁ・・・ 「見りゃわかるだろ! 見りゃよ!」 俺の台詞に、雅史はあかりをじっと見つめるが・・・ 「そうかなぁ?」 くっ・・・雅史のやつ。 見れば、志保のやつ、したり顔でこっちを見ている。 くそっ! 「よく見ろよ雅史! これ、絶対太ってるって!」 「う〜ん、そう言われても・・・、むしろ前よりも痩せて見えるよ」 へ? 「あかりちゃんは、もう少し太ったくらいがちょうどいいと思うな」 「なっ、なっ・・・なにぃ!?」 なんだよそれ!? もしかして・・・俺は幻を見ていたのか!? 実はあかりは太ってなくて、雅史や志保が正しくて・・・ そうだよな! 人間がたった一日であんなに太るはずが・・・ 振り返る。 あかりは・・・ デカイ脂身の固まりだ。 「どうしたの浩之ちゃん? なんだかおかしいよ?」 「そうだよ、浩之・・・」 「くっ・・・くそうっ!」 「ふっふ〜ん! ヒロの負けよ、負け! おとなしくあかりへの暴言を取り消しなさい」 「・・・うぅ」 「?」 「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 「浩之ちゃん!?」 「絶対! 絶対あかりが太ってるってことを証明してやるからな! 絶対だぞっ!」 俺は、半泣きで走り出していた・・・ ちっくしょうっ! 覚えてやがれっ! 「志保のバカヤロウッ!!」 「なんであたしだけなのよっ!」 -------------------------------------------------------------------- いや、別に、デブ専ってワケじゃ・・・