呪い・・・ 投稿者:MIO
 放課後、暇を持て余した俺は、オカルト部部室に遊びに行った。
「えっ? 浩之ちゃん、また来栖川先輩のトコにいくの!?」
「おう」
 あかりに限らず、俺がオカルト部に遊びに行くと言うと、みんな似たような反
応をする。
 多少気味が悪いとはいえ、学校でもなかなか面白いスポットだと思うんだが
なぁ・・・
 おれは真っ直ぐクラブルームを目指すと、部室の前でノックした。
 コンコン
「おぃーっす! 先輩、藤田だけどー」
 とりあえず名乗るだけ名乗って、勝手に中に入る。
 先輩の「どうぞ」ってのは、さすがに扉のむこうからじゃ聞こえないからな。
「よぉ先輩、遊びに来たぜ」
「・・・」
「え? 元気かって? おう、俺はいつでも元気だ」
 適当に話をしながら時間をつぶす。
 後は、たまーに先輩の作業を手伝うくらいだ。
「なぁ、先輩、今日は何の魔法なんだ?」
「・・・」
「え? 風を吹かせる魔法です? って、こないだの雨を降らすやつとは違うのか?」
「・・・」
「働きかける精霊が違う? ふうん・・・」
 相変わらずファンタジーの世界に住む人だな。
 特に興味のなかった俺は、本棚から魔術書を取り出して、パラパラとめくった。
 このあいだは、この本に記された『集中力を高める魔法』ってのを実践して、
ゲーセンのゲームをワンコイン・クリアしまくったが・・・
 今思えば、あの魔法はテスト前に使えばよかったんだよなぁ・・・
 まぁ、志保にヤックをおごらせる事は出来たし、それで良しとするか。
 とか考えながら、ページをめくると・・・
「おっ?」
 『一夜にして財を成す魔法』?
 これだよ、コレコレ! こういう魔法が欲しかった!
「先輩先輩! ちょっとちょっと」
「・・・?」
 先輩は、わざわざ作業を中断して、「なんですか?」と首をかしげた。
「これ、この『一晩で財を成す魔法』!! ぜひやって欲しいんだけど!」
「・・・」
 先輩は、俺の開いた魔術書のページをじっと見ると、申し訳なさそうに言
った。
「・・・」
「え? できません? どうしてだ?」
「・・・」
「えぇぇっ!? 処女の生け贄がいる!? そーなの!?」
 先輩は、コクンと頷いた。
 うひぃ〜、処女の生け贄と来たかぁ・・・
 今まで、ニワトリとかネコだったから、さすがにインパクトが大きいぜ。
 そうだよなぁ〜、なんだかんだ言って、黒魔術だもんな。
「・・・」
 先輩は、すまなそうにぺこりと頭を下げる。
 俺は、慌てて首を振った。
「おいおい、先輩が悪いんじゃだろ?」
「・・・」
「え? 別にいいって、無理しなくてもさ」
 そうだよ、よく考えたら、
「だいたい―――」
 俺は、うっかりと口走る。

「俺の周りに、処女は絶対いないから」

「・・・」
「・・・あ」
「・・・」
「・・・うそうそ、ジョーク」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

 俺は呪われた