理緒ちゃん、宝くじを当てる。 投稿者:MIO
 その日、俺の家にイキナリ理緒ちゃんが殴り込んできた。
「藤田くん!!! た、ったたたたたた、たたたたたぁっ!!」
 んだ? 北○の拳?
「大変なのぉ!!!!!!!!!!!!!!!」
「な、なんだよ、一体?」
「とぅあたたたたたたたたたたっ!」
 だから、それは分かったって・・・
 理由は分からないが、めちゃくちゃ興奮している理緒ちゃんに、俺はコップ一杯
の水を手渡した。
「ホラ、これ飲んで落ち着いて」
 理緒ちゃんは、俺の腕からコップをひったくり、乾いたスポンジのごとく、猛
スピードで飲み干した。
 スゲ・・・
「はぁ、ちゃんとした水道水を飲むの、久しぶり」
 なんだそりゃ。
「おかわり!」
「するなよ」
「だって、飲み貯めしないと・・・」
「するなっつーの!」
 ったく・・・相変わらずの貧乏根性だな。
「んなことより、今日はなんか用があったんじゃ・・・」
「そ、そうなのっ! あのねアタシ―――」
 理緒ちゃんは、一枚の紙切れを俺の前に突き出して、言った。

「宝くじで、一等当てちゃった!!!」

 ・・・え?
「ぅえぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!?」
 マ、マ、マジかよっ!
 俺は慌てて理緒ちゃんの持ってる宝くじの番号をチェックした。
 お、おぉ・・・当たってる!
 一桁残らず当たってる!
 去年の・・・とか、そんなオチはない! 
 本当に当たってるんだ!
「スゲェ! マジで一億五千万!?」
「一億五千万だよ!!」
「うっわーー、コレが一億の宝くじねぇ・・・」
 ただの紙切れなのになぁ・・・
「あぁ、起死回生、乾坤一滴の宝くじが、まさか本当に当たっちゃうなんて・・・
、苦節十数年・・・やっと運が向いてきたのね!!」
 うんうん、よかったなぁ・・・
 これで、あの極貧一家で知られる雛山家も、金持ちの仲間入りだ。
「この宝くじで借金を返そう! そうすれば―――」
 そう、そうすればもう、取りたて屋に泣かされる事も・・・

「そうすれば、借金が半額になるわっ!!!」

「・・・・」
「・・・・」
「・・・・半額?」
「・・・・うん」
「・・・・」
「・・・・」

 一億五千万使っても半額なんスかーーーーーーーーーーーーっ!!!!??

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 どんな借金じゃ。